新型コロナウイルスの影響により女子ツアーが開幕を迎えられないなか、東京オリンピックの延期も発表された。本来であれば、すでに開幕した女子ツアーで中心にいたはずの渋野日向子は、いまなにをしているのだろうか。コーチの青木翔に話を聞いた。

オリンピック延期でも「気持ちが切れることなく進んでいける」

2020年の目標をオリンピックでメダル獲得と掲げていた渋野日向子。そのコーチ・青木翔プロに話を聞いたのは、オリンピック延期が決まる直前のこと。青木は、「仮に1年後に延期になったとしても来季(2021年)は国内ツアーに参戦するという考え方ではありません」という。

「彼女(渋野)の性格を考えたときに、米ツアーに挑戦せずにオリンピックの切符を獲ったとしても満足しないと思います。自分たちが決めた道を信じて進んだうえで、オリンピックだけに固執し過ぎてもいい結果が生まれないのかなと考えています。(日程などに)柔軟に対応しつつ、(ツアーが)始まったらよーいドンで全力で駆け抜けていけるような準備さえ整えておけばいいのかなと思っています」(青木)

画像: 右手一本で打つ基礎練習をする渋野日向子(右)と青木翔コーチ(左)(写真は2019年のニトリレディス 写真/大澤進二)

右手一本で打つ基礎練習をする渋野日向子(右)と青木翔コーチ(左)(写真は2019年のニトリレディス 写真/大澤進二)

まだ新型コロナウイルスの影響が現在ほどには拡大する前、女子ツアーの開幕に向けて渋野は順調に調整を進めていた。東京オリンピックに向けてスタートダッシュを決めるべく、日本と海外を行き来するスケジュールも練りに練っていた。

それが蓋を開ければ女子ツアーは開幕せず、海外メジャーも延期となり、最大の目標のオリンピックも……といった状況で、モチベーションを保つことの難しさは考えるまでもない。しかし、目標がオリンピック“だけ”ではないのが渋野のいいところだ。

「今季はオリンピックでメダル獲得と来季の米ツアーの出場権の獲得を目標に掲げてきましたが、オリンピックが延期になった場合は、来季の米ツアーの出場権を獲得するというのが一番の目標になりますから、気持ちが切れることなく進んでいけると思います。日本でツアーが開催されるようになれば、出場しながら海外メジャーに挑戦していくこと、自分たちがどうあるべきか? というところにフォーカスして、やるべきことをやっていこうと思っています」(青木)

最後に、気になる渋野の最近の様子を聞いてみると、この難しい時期も、渋野の“練習の虫”っぷりにはいささかも変化がないようだ。

「練習ではショットはほとんど打っていないですね。この一カ月でウェッジの溝4本が潰れてフェースの真ん中がへこみました。せっかくもらえた開幕までの時間をしっかりと基礎練習の時間として過ごすことが、オリンピックや米ツアー出場権の獲得につながると思っています」(青木)

前代未聞の事態が起こるなか、ひたすら地道に“基礎練習”ができる。いざ開幕を迎えたとき、また一段と凄みを増した渋野日向子を見ることができそうだ。

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