国際オリンピック委員会の委員が東京五輪を「延期で決定した」と発言したと米紙が報ずるなど、新型コロナウイルスの影響で世界のスポーツ界のスケジュールに大きな影響が出ている。もちろんゴルフ界も例外ではないが、世界のメジャーはどうなるのか? 現状を海外ツアー取材歴20年のゴルフエディター・大泉英子がまとめた。

新型コロナウィルス関連の情報は日に日に深刻なものとなっており、ゴルフ界にもすでに甚大な影響を与えているが、ついには東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定したと国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員が述べたと米全国紙「USA TODAY」が報じる事態となった。

つい先日、カナダ、オーストラリアは今年の東京オリンピックには選手団を派遣しないと発表したばかりだが、各国のオリンピック委員会からも延期を求める声が相次いでいた。ここまでくれば、4週間の検討期間も必要ないだろう。出場できない選手がいるなら、健全な状態での開催はできない。延期に向けて、準備を始めるのみである。

さて、7月下旬開催のオリンピックが仮に延期された場合、今度はいまだ延期か中止かを発表していない6月の全米オープンや7月の全英オープンはどうなるのか? が気になるところだ。

画像: 新型コロナウイルスの影響で「マスターズ」や「全米プロゴルフ選手権」の延期がすでに発表済み。残るふたつのメジャーはどうなる?(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

新型コロナウイルスの影響で「マスターズ」や「全米プロゴルフ選手権」の延期がすでに発表済み。残るふたつのメジャーはどうなる?(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

USGA(全米ゴルフ協会)は3月17日に「2020年の全米女子オープンと全米オープンの日程は予定通り」と発表し、R&Aは19日に「全英オープンとAIG全英女子オープンも今のところ予定通り」としているが、オリンピック延期となれば、判断が変わる可能性もある。

実際、USGAからは来月中旬にも全米オープンの開催に関して何らかのアナウンスがなされると見られているが、現在、全米オープンが開催されるニューヨークでは事実上の外出禁止令が出るほどの厳戒態勢ぶり。開催地のウィングドフットはコロナウイルス感染拡大による封じ込め区域となったニューロシェルから約5キロのところにあり、コースは現在クローズされている。また、全米オープン開催に向けて、通常であればギャラリースタンドの設置などの準備を進める時期ではあるが、これらも全てストップしているという。

そして現在政府から発令されている「渡航禁止」「入国制限」が持続するようであれば、外国人選手の入国も不可能となり、イベントとして成り立たない。もちろん6月にはこの大流行も収束に向かう可能性もなくはないが、医療品が枯渇し、さらに死者が増えるのでは? という見方もあるだけに、非常に危険な状態が続くことは確実であろう。

R&Aについては、4月に開催を予定していたアマチュア大会を2試合中止しているが、全英オープンはオリンピック直前に開催予定だっただけに、オリンピック延期となれば、それはかなり大きく影響するのではないか。今年はイングランドのロイヤル・セントジョージズが舞台だが、イギリスも現在は事実上の外出禁止令が発表されており、重大な局面を迎えている。

マスターズに関しては、10月8~11日に開催されるのではないか? という憶測が流れている。当のオーガスタナショナルからは公式には何の発表もないが、実際、この1週間のホテル代が普段の5倍以上に膨れ上がっている。私がマスターズを取材するときに定宿としているホテルのオーナーは「4月初旬に何らかの発表がオーガスタからあるようだ」と語っているが、来週末には憶測通り、10月開催の発表がなされるのかもしれない。

次々に延期・中止が決まっていく世界のゴルフ界。現在、PGAツアーは5月7〜10日開催のAT&Tバイロン・ネルソンまで中止が決定し、メジャーに関してはマスターズと全米プロの延期が決まっている。ヨーロピアンツアーは5月21~24日開催のメイド・イン・デンマークまで延期あるいは中止が決定し、一部8月開催のチェコ・マスターズの中止も決まっているが、今の状況ではさらにツアーの中止・延期が長引きそうである。

いったい、ツアーの再開(あるいは開幕)はいつになるのか? 延期と表明している試合のリスケジュールはどうなるのだろうか? 

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