スウィングに合ったクラブを見つけるためにはシャフト選びが重要となるが、最近ではカスタムシャフトのスペックが増えているのだ。その意図をトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが改めて考えた。

ディアマナDプラスは50グラムのRも設定あり。軽・硬シャフトも増殖中!?

3月に発売されたばかりの三菱ケミカルの「ディアマナDリミテッド」。もともと、「ディアマナDプラス」という名前で、アメリカで展開していたシャフトだが、コスメティックを光沢のあるものにして、満を持して日本で発売されることになった。

「ディアマナDプラス」は、タイガー・ウッズやブルックス・ケプカがドライバーに装着し、17〜19年のメジャー大会で12戦6勝という驚異的な勝率をあげている。ケプカが4勝しているとはいえ、これだけの実績を出したシャフトもなかなかない。

このシャフトは、“白マナ”と呼ばれる手元調子系シャフトの系譜に連なるモデルで、先端から中間部の剛性が高いのが特徴だ。タイガーは60g台のTX。ケプカは70g台のTXを愛用していて、タイガーに関してはさらに先端をカットして使用しているというウワサもある。絶対に左にいかせたくない、シャフトに余計な動きをしてほしくないという意図を感じる選択だ。

海外ツアー選手のパワーを受け止めるための、まさにハードヒッター向けのシャフトと言えそうな、この「ディアマナDリミテッド」。日本の一般的なゴルファーには少しハードなのでは?と思われても無理もないだろう。しかし、日本での発売にあたり、スペックを拡充し、50g台のRやSRといった軽量かつ軟らかめのシャフトもラインナップされている。これなら扱える人も多いかも知れない。

画像: タイガーはディアマナDプラス(日本ではディアマナDリミテッド)を採用している(写真は2019年の全英オープン 撮影/姉崎正)

タイガーはディアマナDプラス(日本ではディアマナDリミテッド)を採用している(写真は2019年の全英オープン 撮影/姉崎正)

「ディアマナDリミテッド」に限らず、ここ最近のシャフトはスペックのバリエーションを増やす傾向がある。昨年発売した同社のシャフト「ディアマナ ZF」の場合、40g台のR2から、80g台のTXまでラインナップされている。注目したいのは、40g台にX、50g台にTXといった、軽量でかつ硬いスペックも用意されていることだ。

シャフト選びの常識としては、パワーのある人は重くて硬いシャフトを使い、そうでない人は軽くて軟らかいシャフトを選択するというのが一般的だ。しかし、実際には、切り返しやしなり戻りのタイミング、スピード感などがマッチして、軽くて硬いシャフトや重くて軟らかいシャフトが合う人が、一定数存在するのだ。

筆者の知人にドライバーの飛距離が、250〜270yくらいの飛ばし屋がいる。セオリーでいえば、シャフトの硬さはSかXを選択するところだろう。しかし、三菱ケミカルのフィッティングを受けたら、60g台のSRを勧められたという。

早速、「ZF 60SR」にリシャフトしたところ、飛距離が伸びて安定感が増したと大喜びしている。トップで間のあるタイプで、程よい軟らかさがタイミングの取りやすさにつながったようだ。

逆に、スウィングタイプによっては、それほどヘッドスピードが速くなくても、硬くてしなり戻りの速いシャフトが合う人も少なくない。つまりヘッドスピードで選ぶというよりも、タイミングの取りやすさやインパクトでスクエアに戻りやすいことで、硬さを選ぶと考えたほうが、より合理的なのだ。

画像: カスタムシャフトは幅広いライナップになっている

カスタムシャフトは幅広いライナップになっている

三菱ケミカルに限らず、近年は特に、各シャフトメーカーがスペックの拡充を行っている。例えば、USTマミヤの最新モデル「アッタス11」は、やはり40g台でR、S、Xの3フレックスが用意されている。50g台にはさらにSRもあり、軽量のシャフトを使いたいというゴルファーが増えていることを感じさせる。グラファイトデザインの「ツアーAD XC」も40g台から80g台までの幅広いラインナップだ。

「スピーダー」でおなじみのフジクラも、比較的早い時期から幅広いスペックを展開していて、渋野日向子も愛用することで知られる「エボ6」は、なんと30g台からラインナップがある。女性から超ハードヒッターまで同じシリーズのシャフトが選べるというのは、なんとも魅力的だ。

ゴルファーには、「硬いシャフトのほうが上手い」みたいな信仰があって、SよりもX、RよりもSRといった具合に、硬いシャフトを使いたがる傾向がある。愚かなことだと笑う人もいるだろうが、この信仰はかなり根強くて、国内のメーカーはおなじS表記でも近年になるほど、より軟らかくなっているケースもある。フレックス表記を軟らかくすることを、良しとしない人が多いのだ。

カスタムシャフトメーカーが、これだけ豊富にラインナップを揃えているのは、そんな先入観をやめて、自分にあったシャフトを柔軟に選びましょうというメッセージに他ならない。昨年あたりから、メーカーのカスタムシャフトも60gから50gに変わりつつあるように、トレンドも軽いシャフトに向かっているようだ。「自分は60gのS」などと決めつけずに、一度先入観を捨てて選び直すのも面白いだろう。

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