本来であれば7戦目にあたる「KKT杯バンテリンレディスオープン」までの開催中止が決定した女子ツアー。未曾有の事態を前、いま女子プロたちはなにを思うのか。今シーズンを自身初となるシード選手として参戦する予定だった黄金世代・吉本ひかるに現在の心境を聞いた。

「そうですね、いつ開幕するのかなというのはすごく不安ですし、どうなるのかわからない状況が不安です。とくにモチベーションを保つのが大変ですし、やりそうだった試合もギリギリで中止になって、正直なところ(気持ちの)浮き沈みがあります」(吉本ひかる:以下同)

本来、開幕戦となるはずだったダイキンオーキッドレディスは無観客試合と報道されていたが、2月28日と開幕直前に中止が発表された。開催1週間前のことで、仕方ないことだとはいえ、選手の中にはすでに開催地の沖縄入りしている者もいた。吉本も、そのひとりだ。

画像: 昨年初の賞金シードを獲得。新しいシーズンに初優勝を目指す吉本ひかる(写真は2019年の三菱電機レディス 撮影/小林司)

昨年初の賞金シードを獲得。新しいシーズンに初優勝を目指す吉本ひかる(写真は2019年の三菱電機レディス 撮影/小林司)

当然ながら渡航費や滞在費のぶんだけ赤字。そんな状況でも、女子プロたちはゴルフ界を盛り上げようとファンに向けてインスタグラムの動画生配信(インスタライブ)を実施。有村智恵、諸見里しのぶ、比嘉真美子たちが開催コースの琉球ゴルフクラブ18ホールの攻略法を約2時間半に渡って解説し、ホールごとに他の選手たちがゲスト出演。吉本もそのうちのひとりで、同世代の新垣比菜とともにゲスト出演し、今シーズンの目標を語るなどファンとの交流を深めていた。

吉本は昨季最高順位が2位と何度も優勝争いに加わった。今年は初優勝に向け気合十分だった。しかし、開幕戦の中止決定からひと月以上が経ち、いまだいつが開幕戦となるかは不透明なまま。吉本は、オフシーズンが今も続いているような日々を余儀なくされている。

「オフシーズンに引き続き、兵庫にあるゴルフアカデミー中島でトレーニングと練習は欠かさずやっています。(中島敏雅)コーチに練習を見てもらっていますが、『この状況では(開幕できないのも)しょうがない』と話していて、だからこそ、いつ始まっても大丈夫なようにしっかり小技などを磨いています」

そして、開幕できたとしても今季は昨季よりも短いシーズンとなる。賞金シード争い、優勝争いも、より短期間かつ激しいものになるかもしれない。吉本はどんな対策を立てているのだろうか。

画像: 「元気なプレーを」と意気込みを語った吉本(写真は2019年の日本女子プロゴルフ選手権 撮影/岡沢裕行)

「元気なプレーを」と意気込みを語った吉本(写真は2019年の日本女子プロゴルフ選手権 撮影/岡沢裕行)

「私の場合はシーズンを通しての戦略を立てるというよりは、一試合一試合に集中するようにしています。そのためにも、いつ始まってもいいように準備してます。(昨季)初シードを獲得できて、今年は初優勝を目指していきたいですが、まずは新型コロナウイルスが終息して、安心してプレーできることが、最初の願いです」

もちろんそのために、本人も感染予防には全力を挙げている。仕事で東京に行くのにも新幹線や飛行機を避け、兵庫から東京まで姉と2人で交代で運転したりと(それでも一部の仕事はキャンセルとなりとんぼ返りとなったそうだ)、手洗いうがいだけではなく様々なコロナ対策をしているようだ。このインタビューも、対面ではなく電話で行われた。

最後にファンに向けたメッセージをと水を向けると、「元気なプレーをファンのみなさんに見せられたらと思います!」とファンに向けて明るく意気込みを語ってくれた吉本。女子プロたちは“職場”がないという緊急事態かつ先の見えない状況のなか、きたる開幕に向けて心技体に磨きをかけている。

彼女たちの全力プレーを見られる日を、今はただ願うばかりだ。

This article is a sponsored article by
''.