プロ野球セ・パ両リーグでチームドクターとして活躍した吉松俊一氏は「幼少期からの運動が脳の活性化につながる」という。吉松俊一氏とその息子・吉松俊紀氏の共著「頭がよくなる運動教室 オリンピック子育て論」から、頭のいい子どもを育てるヒントをご紹介。

「運動神経がいい」とはどういうことか?

幼少期はなにより、運動神経の基礎をつくる時期です。この基礎についてわたしは、次の8つのように定義しました。

【1】体が柔軟であること
【2】敏捷性が優れていること
【3】反射神経がいいこと
【4】速く走れること
【5】跳躍力があること
【6】バランスがいいこと
【7】リズム感がいいこと
【8】全身を使う能力が高いこと

の、8つです。

器用であるとか、判断力に優れている、あるいはゲームの展開を読む、といった能力もスポーツには要求されます。これらも広い意味では、運動神経と考えることもできるでしょう。

ただ、こうしたスキルは「運動神経の基礎」があって、初めて磨かれるものです。そしてこの基礎は神経回路が急速に発達する、プレゴールデンエイジと呼ばれる4~7歳から、ゴールデンエイジと呼ばれる8~12歳くらいまでにほぼ形作られてしまいます。

画像: 運動神経の基礎は幼少期に磨かれる(写真はイメージ)

運動神経の基礎は幼少期に磨かれる(写真はイメージ)

オリンピックでメダルをとる、あるいいはプロアスリートとして活躍するには、幼少期からひとつの競技に親しむことは重要であり、わたしもそれを否定するものではありません。しかし、医師として大脳と運動神経の発達からみた場合、幼少期はいろんな遊びや複数の運動を経験させることが理想です。

脳の発達には4段階ある

より効果的に大脳を鍛えるためにはその発達段階を知り、それに応じた遊びやスポーツ、体を動かすことが重要です。

さまざまな大脳生理学の研究を踏まえ、わたしは大脳の発達を次の4段階に分けてみました。

【1】基礎ができる時期
生まれてからヨチヨチ歩きをする3歳くらいまでの時期です。この時期はニューロン(神経細胞)の数が飛躍的に増える時期でもあり、大脳の基礎がつくられます。具体的には手足を動かし、音や光に反応する、親の顔や声を認識する、感情を出すなどを指します。

【2】脳が働くシステムができる時期
プレゴールデンエイジと呼ばれる4~7歳くらいまで。大脳が働くのは、ニューロン同士が伸びて絡み合ってできる神経回路によってです。この時期はニューロンが著しく伸びる一方で、不要な脳細胞を間引きして、より効率的な神経回路をつくります。いろんなことを真似しながら知識と経験を増やす時期であると同時に、好きなこと、興味のあることが生まれる時期でもあります。これを間引きと呼びます。

【3】創造の時期
8~12歳くらいまでで、ゴールデンエイジとも呼ばれる時期です。間引きが完了し、伸びたニューロンはさらに神経回路を発達させます。いろんなスキルが身につく時期でもあり、それはやる気や、もっと上達するための努力や創意工夫も生むようになります。

【4】鍛錬の時期
13~18歳くらいまで。重量、配線図ともにほぼ完成した脳をさらに鍛え、スキルを磨く時期です。

こうした大脳の発達を踏まえ、子どもたちには成長時期にあった運動やスポーツをさせてあげましょう。

「頭がよくなる運動教室 オリンピック子育て論」(ゴルフダイジェスト社)より ※一部改変

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