生涯獲得賞金“20億円”の名手も参戦。現在進行形で試合続行“アウトローツアー”ってなんだ？

優勝賞金55万円の試合ではときに珍事も

アウトローを直訳すると「ならず者」。黒いバンダナで口元を覆ったテンガロンハットの男性の顔をモチーフにしたツアーロゴはまさに西部劇に出てくるならず者そのもの。これだけでもシャレが効いているが愉快なことが頻発しているようだ。

日本でもニュースになったが3月の終わりから4月のはじめにかけて行われたペラードファウンダーズ選手権では出場60名中およそ4分の1の14名が失格になるという珍事が起きた。

失格の理由は「間違ったティーイングエリアを使用したこと」。いみじくもプロがティーイングエリアを間違うとはどういうことか？

じつはこの試合、通常営業のゴルフ場で行われていた。つまりアマチュアが同じコースで回っていたということ。初日の3番パー3で前の組の一般客が204ヤードに設置されたティーイングエリアでプレーしていたのを見てアウトローツアーの選手たちが続いてプレー。ところが本来そのホールは222ヤードのティーイングエリアを使用すべきだった。

たとえアウトローツアーでもルールはルール。罰則ではなくあえなく失格と相成った。それにしても一般客につられてティショットを打つとはなんとも間抜けな話ではある。

フルフィールドでも出場は60名。3ラウンドで競われ約半数が予選落ちするのだがツアーのモットーは「競争の激しいトーナメント環境で才能あるプロゴルファーを発掘、活躍の場を与える」というもの。

PGAツアーはもとより下部ツアーにも出られない若手育成の場かと思いきや、4月の中旬に行われたアローヘッドクラシックに“大物”が登場した。欧州ツアー4勝、米ツアー1勝のベテラン、アレックス・チェイカ だ。

生涯獲得賞金20億円の大ベテラン（49歳）が最終日に64をマークし後続に2打差をつけ優勝を飾って得た賞金は5000ドル（約55万円）。駆け出しの若手にとっては大金だがチェイカにとっては…？　賞金は少額でもアリゾナのお隣、ネバダ在住の彼にとって交通費をかけずこの時期試合の緊張感を味わえたことが重要だったようで「ハッピーだ」と満面の笑み。一見強面だが目が合うと必ずウィンクしてくれるお茶目な一面も持ち合わせている。

世界中のプロが試合に出たくてうずうずしている。一日も早く毎週試合が行われる当たり前の日常が返ってきてくれることを祈るばかりだ。