昨シーズンは初優勝と米女子ツアーのQTを突破という大きな目標を達成し、今シーズンは米女子ツアーに参戦する河本結。昨シーズンの活躍を目澤秀憲コーチに振り返ってもらった。

初優勝の要因はドライバーとパターのチェンジ

2018年に下部ツアーにあたるステップアップツアーで4勝を挙げて賞金女王となり、2019年ツアーに臨むこととなった河本結。初戦は予選落ち。2戦目は18位、3戦目は37位という成績で、初優勝を挙げた4戦目を迎えた。ステップアップツアーに参戦する前から河本を指導し、ともにゴルフを作り上げてきたコーチ・目澤秀憲は初優勝の要因は2つあったと振り返る。それはいずれも“クラブ”だ。

画像: 2019年に初優勝を果たし今季は米女子ツアーに参戦する河本結(写真は2019年の中京テレビブリヂストンレディス 写真/岡沢裕行)

2019年に初優勝を果たし今季は米女子ツアーに参戦する河本結(写真は2019年の中京テレビブリヂストンレディス 写真/岡沢裕行)

「初優勝の勝因を挙げるとしたら、パターとドライバーです。開幕してからツアーに同行していなかったのもあってスウィングを崩していました。スピン量が多くカットボールのように右へのミスが出ていたんです。そこで、それまで使っていた『ローグ』に変えて『エピックフラッシュ』を投入したんです。その結果ボールがつかまるようになり、スピン量も減ったことでショットが安定したんです。それとそれまで使っていたエースパターと新しいパターの2本で練習ラウンドしていたのですが、どちらにするか決めきれていなかったところ、キャディを務めた弟の力君がエースパターをロッカーに置いて、新しいパターに絞ってくれたのです。この二つが大きかったと思います」(目澤)

画像: 2019年の「アクサレディス」でキャディを務めた河本力(左)と初優勝を挙げた河本結(右)(写真/岡沢裕行)

2019年の「アクサレディス」でキャディを務めた河本力(左)と初優勝を挙げた河本結(右)(写真/岡沢裕行)

その結果、初日から順調にスコアを伸ばして4戦目での初優勝へとつなげたわけだが、そこまでのドライバーの不調もまた、クラブにあった。

「開幕でシャフトを換えたのが逆効果になり、ドライバーの調子を崩すことになってしまったんです。アイアンは調子が悪くなかったので、ドライバーとパターを変えたことで一気に解消できたんです。最終日に見に行ったときにはフェアウェイに打てていましたし、要所でパットも決まっていたので。それでも優勝するとは驚きでした」(目澤)

クラブを変えたり調整することでトップ選手でも調子を崩したり、取り戻したりする。そのことがよくわかるエピソードだが、群雄割拠の女子ツアーで勝ち切る力は、ステップアップツアーで培ってきたものだと目澤は続ける。

「ステップで4勝を挙げたことで、いわゆる”勝ちぐせ”をつけることができて、それが残ったまま開幕を迎えられたのは大きかったです。また、(2018にスポット参戦で)レギュラーに出たときに、ステップでやってきたことをそのままやったらトップテンに入れたんです。自分の実力通りにやれればある程度通用すると(いう自信が)本人の中に残っていました」(目澤)

初優勝のあとは予選落ちもなかった代わりに目立った活躍もなかったが、目澤自身がキャディを務めた「サロンパスカップ」以降は試合中に行った調整も功を奏して復調。2位のあと3週連続3位タイに入るなど、一気にトッププレーヤーへと駆け上がっていった。

画像: 2019年の「サロンパスカップ」で河本結のキャディを務めた目澤秀憲コーチ(左)と河本結(右)(写真は2019年の「サロンパスカップ」 写真/岡沢裕行)

2019年の「サロンパスカップ」で河本結のキャディを務めた目澤秀憲コーチ(左)と河本結(右)(写真は2019年の「サロンパスカップ」 写真/岡沢裕行)

夏場に少し成績は落ち込んだが、米女子ツアーのQT(翌シーズンの出場権を争う予選会)も見事に突破。負けん気の強さを結果に結びつけられるところが河本の強さだと目澤は話す。

「しっかりと自分で考えて対処できるところが彼女の強さになっていると思います。米ツアーのQTでもそうですが慣れない環境でも誰かに頼ることはできません。そういう中でも自分で考え実力を発揮できるところがすごいところですね」(目澤)

米女子ツアーは今のところ6月に再開するとアナウンスされている。新たなステージ河本結がどんなゴルフを見せてくれるのか? そこで活躍できれば、来年に延期されたオリンピックの出場権争いにも絡んでくる。

ツアーが再開されたそのときは、エネルギーをため込んだ河本結の爆発に期待したい。

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