2020年の最新ドライバーを見てみると、そのほとんどがヘッド体積460㎤の大型ヘッドだが、それよりも小ぶりなモデルも一定数存在している。ツアープロが大型ヘッドを使う今の時代に小ぶりヘッドのモデルはなぜ作られるのか。また、小ぶりであるメリットとは何か。ギアオタク店長ことクラブフィッター・小倉勇人に詳しく聞いた。

昨今のドライバーのトレンドとして、アマチュアはもちろんツアープロまでがルール上限である460㎤の大型ヘッドを好む傾向がある。これはひとえに「結果が出やすいから」にほかならない。

打点の安定しないアマチュアにとって、いわゆるスウィートエリアを広く作りやすく、打点のミスに強い大型ヘッドが人気になるのは自然な流れだが、ボールを細かくコントロールするよりも少々のミスはヘッドの寛容性を利用して方向性を確保し、自身はより飛距離が出る方向に意識を使うといった考え方からツアープロまでもが大型ヘッドを好むようになっているのだ。

しかしそんなトレンドの中でも必ず一定数発売されるのが、460㎤よりちょっと容量の小さいドライバー。最新の2020年モデルでも、キャロウェイ「マーベリックサブゼロ(450㎤)」、本間ゴルフ「TR20 440(440㎤)」、ヨネックス「EZONE GT 435(435㎤)」などが発売されている。

画像: 左からマーベリックサブゼロ、TR20 440、EZONE GT 435。いずれもヘッド体積が460㎤を下回る小ぶりヘッドの最新ドライバーだ

左からマーベリックサブゼロ、TR20 440、EZONE GT 435。いずれもヘッド体積が460㎤を下回る小ぶりヘッドの最新ドライバーだ

ちょっと極端な例にはなってしまうが、テーラーメイドのオリジナルワン(275㎤)といったミニドライバーと呼ばれるモデルまでが市販されているのだ。

画像: ヘッド体積275㎤のミニドライバー「オリジナルワン」

ヘッド体積275㎤のミニドライバー「オリジナルワン」

このいわゆるデカヘッド全盛期になぜこういった小ぶりなドライバーが存在するのだろうか。クラブフィッターの小倉勇人氏に話を聞いた。

「結論から言ってしまえば小さいヘッドのほうが結果が出る、もしくは好むゴルファーがまだいるということです。クラブの製造技術が進化し、強度を確保しながら余剰重量を多く作り出すことができるようになったので、投影面積の大きいヘッドでも重心位置、つまりヘッドの特性を大きく変えることができるようになりましたが、そういったクラブは見た目と性能の差が大きくなります。小さめのヘッドを好むゴルファーは操作性やヘッドの回頭性などの性能を求めることが多いので、いくら性能が同じでも小さめの見た目と性能が一致しやすい小ぶりなモデルを選ぶのでしょう」(小倉氏、以下同)

では小さめのモデルはみなそういった操作性重視の性能になっているのかといえば「そうとも言い切れません」と小倉氏。

「前述した通り製造技術が進化しているので、直進性を重視した小ぶりなヘッドのモデルもあります。小ぶりなモデルは複数のモデルをラインナップしたシリーズで存在しているケースが多く、兄弟モデルの中によりサイズの大きいモデルが存在していることが多いです。そういったモデルと比べてしまうために操作性が良い! と表現されることが多いのですが、単体で打ってみると十分直進性の高い性能を持ったモデルもあります」

実際に、例として挙げたマーベリックサブゼロ、TR20 440、EZONE GT 435の3モデルも、同じ小ぶりヘッドという括りでも、「操作性がいい」の一言で片づけられないほど、性能は異なるものとなっている。

小倉氏の試打コメントを見てみよう。

「マーベリックサブゼロはつかまりを抑えた、叩いても左に行きにくいモデル。ヘッドはターンしやすいですが、ライ角やフェースアングルでつかまりを抑えてあるのでテクニックがある方が使うとちゃんとつかまえることができます。上級者やツアープロが好む小ぶりなヘッドのイメージに近い仕上がりです」

画像: キャロウェイ「マーベリックサブゼロ」。ヘッド体積は450㎤だ

キャロウェイ「マーベリックサブゼロ」。ヘッド体積は450㎤だ

「TR20 440は、つかまり具合はニュートラルで狙ったところに打ち出しやすい印象。操作性は適度で弾道をコントロールすることもできますが、基本は直進性の高い弾道が打ちやすいモデルです」

画像: 本間ゴルフ「TR20 440」。ヘッド体積は440㎤だ

本間ゴルフ「TR20 440」。ヘッド体積は440㎤だ

「EZONE GT435はヘッドがターンさせやすく、ボールをコントロールしやすい仕上がりですが、思ったより曲がりが少なく収まる印象。そのぶん思い切って操作できるクラブですね。つかまりはニュートラルなので狙ったところに打ち出しやすかったです」

画像: ヨネックス「EZONE GT 435」。ヘッド体積は435㎤だ

ヨネックス「EZONE GT 435」。ヘッド体積は435㎤だ

さらに上記3モデルよりもさらに小ぶりなヘッド体積275㎤のミニドライバー、オリジナルワンに至っては「ドライバーというよりも、ちょっと大きめのフェアウェイウッドといったサイズ感ですね」と小倉氏。

画像: テーラーメイド「オリジナルワン」。ヘッド体積は275㎤だ

テーラーメイド「オリジナルワン」。ヘッド体積は275㎤だ

「長さも標準で43.75インチとドライバーとして考えるとかなり短めで、性能としてもドライバーとしてとらえるよりは長めで飛距離重視のFWと考えた方がしっくりくる性能ですね。短いぶん、やや重めに設計されているのでティアップして打つとドライバー顔負けの飛距離を出せますが、ミスの寛容性はやはり劣ります。操作性はヘッドが小ぶりなだけにバッチリ! しっかりヘッドがコントロールできるゴルファーが、確実に打ちたいエリアに向かって打っていくといった感じで使うと生きるクラブです」

ちょっと小ぶりなドライバーはどんなゴルファーに向けたクラブなのか。最後に小倉氏に総括してもらおう。

「大型ヘッドは一言で言えば『芯を外しても曲がりを少なくするように設計』されたモデル。対して小ぶりなヘッドは『芯に当てやすいように設計』されたモデルと言えます。小さめのサイズはヘッドをターンさせやすいので自身で操作しやすいですからね。こう表現すると難しそうな印象を与えますが、昔の小ぶりヘッドと違ってかなりミスには強くなっているので、大型ヘッドが上手く狙った方向に打ち出せないという方は最近のちょっと小ぶりなモデルを試すと良い結果が得られるかもしれませんよ」

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