トップ選手たちのクラブセッティングは、否が応でも気になってしまうもの。米PGAツアー在米ゴルフジャーナリストのアンディ和田によれば、多種多様なトップ選手たちのクラブセッティングにもある程度傾向が似通った部分があるという。詳しく教えてもらおう。

トップ選手でもだいたい2パターンに分かれる「5つの項目」

トッププロがどのようなクラブを使っているか、というのは常に気になるところですよね。私もPGAツアーでの現場取材を通して様々な選手たちのクラブをチェックしデータベースを作っているのですが、ジャンル分けしていくと大多数の選手が2つの派閥のどちらかに該当している項目がありました。以下の5つです。

【1】パターのヘッド形状:ブレード派 VS マレット派

【2】フェアウェイウッドの本数:1本派 VS 2本(以上)派

【3】ウェッジの本数(ピッチングウェッジ含む):3本派 VS 4本派

【4】アイアンのヘッド形状:マッスルバック派 VS キャビティ派

【5】アイアンのシャフト選択:重量125グラム以上派 VS 軽量シャフト(125グラム未満)派

今回は世界ランキング上位50人(2020年4/27時点)の使用クラブを対象にカウントしました。みなさんはそれぞれ、どちらの派閥のほうが多いと思いますか? 当ててみて下さい。

ヒントになるかどうかわかりませんが、参考資料として世界ランク50位の選手を年代別で分けると以下のようになります。

20代:19人(最年少は22歳のイム・ソンジェ)
30代:22人
40代:9人(最年長は47歳のリー・ウエストウッド)

パター形状は「ピンタイプ/ブレード派」と「マレット派」で拮抗

まずパターのヘッド形状ですが、ピンタイプ/ブレード派が24人、マレット派が26人とマレット派に軍配が上がりました。

画像: オーソドックスなピンタイプ/ブレード形状パターと大慣性モーメントのマレットパター。世界ランクトップ50の選手たちの中ではどちらが多数派?(撮影/有原裕晶)

オーソドックスなピンタイプ/ブレード形状パターと大慣性モーメントのマレットパター。世界ランクトップ50の選手たちの中ではどちらが多数派?(撮影/有原裕晶)

タイガー・ウッズは2018年にマレットパターを試した時期がありましたが、メジャー15勝はすべてスコッティー・キャメロンのブレードパター。松山英樹選手もエースパターがブレードパターなのでピンタイプ/ブレード派使用者としてカウントしました。世界ランク20位内だとブレード派が11人/マレット派が9人というデータになります。

フェアウェイウッドは「1本派」と「2本(以上)派」どっちが多い?

フェアウェイウッド(以下FW)を2本以上(通常、3番と5番の2本)入れる選手は27人。「1本派」(通常、3番ウッドを採用する場合が多い)は23人でした。

松山選手は3番ウッドのみ採用の1本派。230~250ヤードはユーティリティでカバーします。タイガーは通常強風が吹く全英オープンでは2番アイアンを採用するケースもありますが、通常はFW2本派。

画像: タイガーはSIM MAXの3番ウッドとM3の5番ウッドの2本を採用している(撮影/姉崎正)

タイガーはSIM MAXの3番ウッドとM3の5番ウッドの2本を採用している(撮影/姉崎正)

FW1本派の中で17人はユーティリティを使用しています。ブルックス・ケプカやアダム・スコット、トニー・フィナウらは5番ウッドやユーティリティを採用せず、距離が出る3番アイアンを使っています。

画像: アダム・スコットはFW1本派。5番ウッドやユーティリティではなく、3番アイアンを採用している(写真提要/アンディ和田)

アダム・スコットはFW1本派。5番ウッドやユーティリティではなく、3番アイアンを採用している(写真提要/アンディ和田)

タイガーは「3本派」、松山は「4本派」だが……どちらが多数派?

ピッチングウェッジを含めたウェッジの本数の比較となります。ウエッジ4本派が50人中36人ということで主流となっています。

アイアンロフトがストロングになっていく傾向の中で、番手間の距離ピッチは10ヤードではなく13から15ヤードにしていく選手も多いようです。世界ランク上位勢で3本派はウェブ・シンプソン(PW、54、60)とタイガー・ウッズ(PW、56度、60度)。

画像: タイガーはロフト角49度、56度、60度のウェッジ3本派(撮影/姉崎正)

タイガーはロフト角49度、56度、60度のウェッジ3本派(撮影/姉崎正)

タイガーのアイアンセットはプロ転向時から変わっていませんね。アイアンのロフトは寝ていて9番アイアンが45度、PWが49度という設定です。世界ランク22位の松山はPW、52度、56度、60度という4本セッティングです。

意外にも接戦!? アイアン「マッスルバック派」VS「キャビティ派」

ツアープロ=軟鉄鍛造のマッスルバックという印象がありますよね。ふたを開けてみるとやはりマッスルバックが多数派だったのですが、キャビティタイプを使う選手も過半数には達しないものの、23人います。

画像: 世界ランクトップ50の中では、マッスルバック(左)形状のアイアンを好むプロが27人、キャビティバック(右)派が23人と、僅差だった(撮影/有原裕晶)

世界ランクトップ50の中では、マッスルバック(左)形状のアイアンを好むプロが27人、キャビティバック(右)派が23人と、僅差だった(撮影/有原裕晶)

タイガー、松山、ロリー・マキロイ、アダム・スコットなどはマッスルバック派。一方キャビティ派は、世界ランク10位以内だとジョン・ラームとパトリック・カントレー。6番アイアンまでキャビティ、7番以下がマッスルバックという2選手(マーク・リーシュマン、ベルント・ウィスベルガー)はキャビティ派にカウントしています。

アイアンシャフトは重量スチールが多数派

最後のカテゴリーは少々マニアックですが、アイアンシャフト重量の比較になります。125グラム以上のスチールシャフト使用者が36人。使用率1番のダイナミックゴールドX100やS400は130グラム台の重いスチールシャフトです。

画像: 世界ランクトップ50のうち36人が、ダイナミックゴールドX100をはじめとする重量のあるスチールシャフトを好んで使用している(撮影/有原裕晶)

世界ランクトップ50のうち36人が、ダイナミックゴールドX100をはじめとする重量のあるスチールシャフトを好んで使用している(撮影/有原裕晶)

一方、ここ近年で使用率が増えてきているのが110~120グラムのスチールシャフト。今回は125グラム未満のシャフトは軽量派とカウントしています。軽量シャフト派の14人の中で、世界ランク最高順位の選手はパトリック・カントレー(ダイナミックゴールド120X)。

素材別に見てみると、世界ランク50位以内でスチールシャフトを使用する選手は48人。ベテラン選手マット・クーチャーと「ゴルフの科学者」ブライソン・デシャンボーがのアイアン用カーボンシャフトを使用しています。

さて、以上が今回調べたクラブデータ比較になります。意外だった点はありましたでしょうか?

ショットのミート率が高くヘッドスピードがある選手は敏感なクラブを使い、逆に再現性を高めることを優先してクラブの性能でミスをカバーしてもらいたい選手は鈍感、というかやさしいクラブを選ぶ傾向があるといえるでしょう。数年後に今回の割合がどう変化していくかというのも個人的に興味があります。

みなさんもクラブ選びは好むツアープロが使うクラブを憧れで選ぶか、スコアメイク重視のやさしめのクラブを選ぶか悩ましいところですが、どうしていますか?

画像: ジョニ男開眼!フェアウェイウッドをまっすぐ飛ばす「のぞき見ショット」ってなんだ!?【講師:小澤美奈瀬】 youtu.be

ジョニ男開眼!フェアウェイウッドをまっすぐ飛ばす「のぞき見ショット」ってなんだ!?【講師:小澤美奈瀬】

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