2年の歳月をかけて生まれた新ブランド「G」
グラファイトデザインから新たに登場した「G」シリーズは、女子プロからのフィードバックをもとに、2年の歳月を経て生まれたシャフト。プロや上級者に愛用される「ツアーAD」が少しハードに感じられるゴルファーに向けて開発された。
ブランド名の「G」には、“アンチグラビティ”の意味があり、重力に逆らって「世界の果てまで飛んでゆけ!」というメッセージが込められている。
「G」シリーズの第一弾シャフトとなる「aG33」は、同社の人気モデルである「ツアーAD XC」の先端部にも採用されている高強度素材、トレカ®「M40X」をシャフト手元部に採用。それにより、先端部が走り、ボールのつかまりがよく、飛距離性能を高めている。
グラファイトデザインの看板ブランド「ツアーAD」と比較した
今回の試打ヘッドは、試打者の中村が愛用するテーラーメイド「SIM」10.5度。計測は弾道計測器、フライトスコープを使用。ツアーADの“走り系”シャフトである「ツアーAD VR」と比較することで、その特徴をあぶり出した。
まずツアーAD VRの「5S」から試打をスタート。ヘッドスピードを44m/s前後で振ってみると、中村の持ち球である軽めのフェードが出た。
<シャフトデータ>『Tour AD VR-5 (S)』
重量:57.0g
トルク:4.5度
キックポイント:中調子
「50グラム台でも手元寄りがしっかりしているのを感じます。切り返しでシャフトに強く圧力をかけるタイプの人でも、安心して振れるでしょう。先調子シャフトですが、先が走りすぎて左に引っかかるようなこともなく、球筋はフェード気味になりました」(中村)
フライトスコープでの飛距離は280y。ミート率も1.5を超える高い数値を叩き出したから、さすがの飛距離性能だ。
「普段から熱心に練習したりカラダを鍛えている人などが、パフォーマンスを引き出せるシャフトでしょう」と中村。
振り抜きが良く、自然とスピード感が増していく
新シャフトの「G」は、まず「VR」と同じ50グラム台のSフレックスから試打。「ツアーAD」でおなじみの縞模様ではなく、シックな黒と鮮やかな赤でデザインされたコスメが印象的だ。これなら様々なカラーリングのヘッドにもマッチするのではないだろうか。
<シャフトデータ>『aG33-5 (S)』
重量:58.0g
トルク:4.7度
キックポイント:先調子
「ワッグルしただけで、手元のしっかり感を抑えているのがわかります。でもグニャっと頼りない感じではなく、ほどよいしなりを感じますね」(中村)
実際に打ち始めると、プロが見た目にも軽やかに振っているのがわかる。振り抜きが良く、スウィングのスピード感が増しているのだ。
「よくしなりますね! VRは先端がほどよくしなったのに対して、Gは先端から中間部までがシャープにしなり戻ります。このしなり戻りを活かすことで、最大飛距離を狙えるシャフトです。同じ50グラム台のSでも、打ち比べるとVRのほうがハードに感じます」(中村)
フライトスコープでの計測では278ヤード。ミート率も1.49と高い。では、『VR』と比較してどうか。
「飛距離性能はまったく同じと言っていいでしょうね。ただ、VRはある程度しっかり振って、自分でクラブをしならせたときにベストパフォーマンスを発揮し、Gはその部分をシャフトが勝手にやってくれるという違いを感じます。また、VRと比較するとGのほうがややスピンが入り、打ち出しも高くなる傾向があるので、ボールの高さが出しやすいですし、方向性が安定するというメリットもありそうです」
<試打データ>『aG33-5 (S)』※計測データは5球の平均値
ヘッドスピード:43.8m/s
スピン量:2897rpm
打ち出し角:15.1度
飛距離:278.1Y
<試打データ>『Tour AD VR-5 (S)』※計測データは5球の平均値
ヘッドスピード:44.1m/s
スピン量:2790rpm
打ち出し角:14.7度
飛距離:280.3Y
40グラム台を選べばさらに高弾道! ビッグキャリーが手に入る
さらに、「G」のより軽量な40グラム台のSフレックスも試してみた。
<シャフトデータ>『aG33-4 (S)』
重量:49.0g
トルク:5.9度
キックポイント:先調子
「こちらはより自然とつかまって、ドローボールになりやすいですね。中間から先端にかけて、大きくしなり戻りますが、軽くてやわらかいシャフトにありがちなビヨーンと嫌なしなりや頼りなさが一切ありません。このスペックでも、ここ一番のしっかりした振りにシャフトがついてきて、応えてくれます」(中村)
飛距離は275ヤード。ミート率は1.49。打ち出し角とスピン量はやや高めに出た。軽量な分、中村がやや加減して打ったのでヘッドスピードがやや落ちているので、当たり前だが飛距離性能そのものは50グラムと同等。
<試打データ>『aG33-4 (S)』※計測データは5球の平均値
ヘッドスピード:43.6m/s
スピン量:3130rpm
打ち出し角:15.6度
飛距離:275.2Y
ヘッドスピードの高くないゴルファーが振れば、このスペックならヘッドスピードの向上も期待できるだろう。
「印象に残ったのは、シャフトのしなり戻りを感じながら打つことができること。よくしなるけども頼りなさがなく、しっかりとシャフトの“芯”を感じられるのが『G』の大きな特徴です。そして、一生懸命に振らなくてもスピードが出せる。だから力まずテンポとリズム良く打つことができる。これならスウィングも効率化するし、ラウンド中も疲れないでしょう」(中村)
これまでカスタムシャフトに縁がなかったり、試してみても苦戦してきたゴルファーは多いのではないだろうか。「G」はそんなゴルファーに恩恵がありそうだ。「今まで、メーカーの純正シャフトを使っている人などには、替えた効果をとても感じられると思います。挙動が素直なので、ヘッドの相性も問わずに性能を発揮してくれそうです」(中村)
より幅広いゴルファーにマッチしそうな新シャフト「G」。一般男性ゴルファーとヘッドスピードが近い女子プロの使用者も続々と増えているという。今年の下半期、この新シャフトが、大いに話題になりそうだ。
撮影協力/パフォーマンスゴルフスタジオ