アプローチの打ち方のひとつ、ボールを高く上げる「ロブショット」の正しい構え方からロブショットの使いどころまでまとめて解説。

ロブショットとは

アプローチの打ち方は「ランニングアプローチ」、「ピッチ&ラン」、そして「ロブショット(フロップショットとも)」と大きく分けて3種類。このうちロブショットはボールをふわりと高く浮かせてキャリーで寄せ、ランはほとんど出ない打ち方だ。

画像: ウェッジのフェースを開いて構え、ボールを高く上げて寄せる「ロブショット」(撮影/増田保雄)

ウェッジのフェースを開いて構え、ボールを高く上げて寄せる「ロブショット」(撮影/増田保雄)

ピッチ&ランもロブショットと同様にボールを浮かせて打つアプローチだが、ボールの高さとランに違いがある。ピッチ&ランではロフトなりに打ち出すため降下角は比較的浅めとなりランもほどよく出る。

対してロブショットはフェースを開いてさらにロフトを寝かせ、ボールを前ではなく上に上げるように打つため、降下角は高さのぶん地面に対して垂直に近い状態となり、ランがほとんど出ない。いわゆる「高さで止める」アプローチが実現できる。

ただし、フェースを開いて打つ、ボールを上に上げるぶん振り幅を大きくする必要があるなどの理由から、ロブショットはミスのリスクが高く、また実際にミスショットとなったときのダメージも大きい。100を切りたいレベルのゴルファーであれば、基本的には選択しないほうが無難なアプローチと言えるだろう。

ロブショットを使うべき場面は?

グリーン周りの状況

ロブショットは、グリーンエッジからピンまであまり距離がない、バンカーを越えてすぐにピンが切られている、砲台グリーンなどでボールを上げる必要がある、下り傾斜に対して打っていくなど、主に障害物を越えるために高さが必要な場合やランを出したくない状況に適した打ち方となっている。

画像: バンカー越えかつピンがエッジ近くに切られていたりや砲台グリーンに対してアプローチする場合など、高さを出したい、またはランを出したくない状況でロブショットは役立つ

バンカー越えかつピンがエッジ近くに切られていたりや砲台グリーンに対してアプローチする場合など、高さを出したい、またはランを出したくない状況でロブショットは役立つ

ライ

グリーン周りの状況に加えて、ライにも気を配る必要がある。ロブショットはロフトのついたウェッジをさらに開くことでさらに上げやすくして打つため、基本的にはボールの下にクラブが入りこむ程度のスペースがないと打ちにくい。そのため、ボールが地面よりわずかに浮いている状態が好ましい。

画像: プロがラフなどでロブを打つのはボールの下に空間があるからだ。ただし、空間があることでボールが前に飛ばない「だるま落とし」のミスもつきまとう

プロがラフなどでロブを打つのはボールの下に空間があるからだ。ただし、空間があることでボールが前に飛ばない「だるま落とし」のミスもつきまとう

逆にロブショットに適さないのは、ボールが沈んで接地しているライや、深いラフなどボールが浮き過ぎるようなライ。前者はフェースがボールの下に入りこめずトップが起きやすく、後者はボールの下を空振りしてしまう“だるま落とし”の危険がある。

ロブショットの打ち方

フェースを開き、スタンスはオープン

まずロブショットを打つ際のクラブ選択は、基本的にはロフトが54度より寝ているサンドウェッジ。PGAツアーのプロなどは、ロフトが60度以上あるロブウェッジを使用するのが一般的だ。

ロブショットを打つ際は、ボールを上げるためにさらにロフトを寝かせる必要がある。リーディングエッジを目標よりも右方向に向けるイメージで、フェースを開いて構えよう。

画像: ターゲットライン(写真白線)よりも右側にリーディングエッジを向けて構えよう

ターゲットライン(写真白線)よりも右側にリーディングエッジを向けて構えよう

注意点は、先にフェースを開いてからグリップを握ること。普段どおりにグリップを握ってから、手先や腕を右に回してフェースを開いてしまうと、スウィング中に開いたヘッドがスクェアに戻り、ボールを高く打ち出すことができないので注意だ。

フェースを開いたぶん、スタンスはボールと目標を結んだターゲットラインに対してオープンに構えよう。ボールの下にヘッドをくぐらせるような、ゆるやかな軌道で打ちたいので、肩幅が収まる程度のやや広めのスタンス幅で構えよう。

画像: スタンスはオープン、肩幅が収まるくらいの幅で構えよう。ボールは左寄り、クラブを構えたときにシャフトが地面と垂直になる位置がベストだ

スタンスはオープン、肩幅が収まるくらいの幅で構えよう。ボールは左寄り、クラブを構えたときにシャフトが地面と垂直になる位置がベストだ

ボールは体の中心よりもやや左、クラブを構えたときに正面から見てシャフトが地面と垂直になるような位置が基準だ。手元がクラブヘッドよりも体の左側にあるハンドファーストで構えてしまうと、そのぶんロフトが立ってしまいロブショットが打てないので注意しよう。

フェース向きを変えずに打つ

スウィングはターゲットラインではなく、オープンにしたスタンスのラインに沿って振る。ターゲットラインを基準に考えれば、アウトサイドインの軌道となる。

ロブショットはフェースを開いて打つため、ヘッドのヒール側からトウ側へ斜めに抜けるようなイメージでインパクトすることになる。インパクトゾーンでフェースを返す動きが入ってしまうと、ボールに対してヒール側からヘッドを入れていくことができない。ただし、逆にヒール側から入れようと意識しすぎると、シャンクのミスが出やすくなるので注意しよう。

スウィング中は開いたフェースの向きを変えないように、大きくゆっくり、途中で急加速したり減速せず、一定のリズムで振り抜く。バックスウィング、フォローでフェース面がどこを向いているかで、フェースの向きが変わっていないかどうかの目安になる。自分のほうを向いていれば、フェースの向きが変わっていない証拠だ。

ロブショットの練習法

前述したように、ロブショットを打つ際はボールが地面からわずかに浮いていて、クラブがボールの下をくぐりやすい状態であるのがベスト。そのためロブショットの練習をする際もショートティなどでティアップしてボールを地面から浮かせた状態で打ってみよう。

難易度が高いぶん、ロブショットは飛距離もバラつきがち。どの程度の振り幅ならどれくらいボールが上がって飛ぶのかも、しっかりコースで実践する前に練習場で把握しておきたいところだ。

ロブショットは高難易度でミスの危険性も相応にある。もちろんリスクの低いランニングアプローチやピッチ&ランで寄せられる状況ならそちらを選択するのがベターだが、特定のシビアな状況からの寄せではその真価を発揮してくれる。ある程度ゴルフに慣れ、アプローチの幅を広げたい、という方はぜひロブショットに挑戦してみてはいかがだろうか。

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