月曜日に最終日が順延となったアース・モンダミンカップで、単独首位にいるのが黄金世代の田中瑞希。そんな田中のスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説。最終日の展望も含めて語った。

トータル11アンダーで現在単独首位

アース・モンダミンカップ最終日が、悪天候のため明日6月29日(月)に順延となりましたね。女子ツアーの場合、たとえ4日間競技であっても36ホールが消化していれば競技成立となるので、予備日が設定されていても使用せずにそれまでのスコアで結果を決めることも多いですが、今回は72ホール完遂することが事前に主催者とJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の間で協議決定されていましたので、予備日を使ってプレーすることになりました。

この主催者とJLPGAの判断に、まずは敬意を表したいと思います。

画像: 大雨のため、アース・モンダミンカップ最終日は6月29日(月)に順延となった(Getty Images/JLPGA提供)

大雨のため、アース・モンダミンカップ最終日は6月29日(月)に順延となった(Getty Images/JLPGA提供)

3日目終了時点で首位に立っているのは、トータル11アンダーの田中瑞希。1998年度生まれ、渋野日向子、畑岡奈紗らと同学年の、いわゆる黄金世代の一人で、今シーズンはQT(予選会)ランキング17位の資格でツアーに参戦しています。

画像: 現在トータル11アンダーで首位の田中瑞希(Getty Images/JLPGA提供)

現在トータル11アンダーで首位の田中瑞希(Getty Images/JLPGA提供)

2020年シーズンの多くの試合が中止となったことで、2021年シーズンと統合して「20~21年シーズン」とする措置が取られたのはご存知の人も多いかと思いますが、先々のスケジュールが不透明な中、シード権を持たない田中選手にとっては出場できる試合がすべて勝負どころです。

「私はQT組なので、出場できる試合は全部出ようと思っています。リランキング(シーズン21試合終了後に、出場優先順位を付与し直す制度)で上位になれたら休むかもしれないけど、またこういった(予期せぬ試合中止がつづく)状況になったらと考えると不安で休めないかなと思っています」

開幕前、みんなのゴルフダイジェストのインタビューにそう語ってくれていましたが、そういった状況を考えると、シード権どころか初優勝をつかむ絶好のチャンス、ぜひともモノにしたいところでしょう。

さて、田中選手は昨シーズンもQTランキング24位の資格でフル参戦しています。33試合に出場したうちの20試合で予選落ちと、賞金ランクはシードに遠く及ばない80位ですが、実戦で積んだ経験はやはり相当大きかったようです。昨シーズン途中に開催されたプロテストに合格できた要因を、田中はこう語っています。

「レギュラーツアーで戦うようになって、経験値が上がったんだと思います。空気にも流されずに自分のペースでプレーができるようになって、(プロテストも)イケる! と思っていました」(田中)

今大会のプレーでも、昨年のツアーでの経験に裏付けされた自信が伺えますね。加えて、オフシーズンでは昨シーズンの試合で見えてきた自身の課題、ショートゲームとパッティングを重点的に強化したようで、実際にグリーンを外してもしっかりアプローチで寄せてパーセーブするシーンが随所に見られました。トレーニングによって飛距離もさらに伸びているようです。

トップはコンパクトながら深い捻転で飛ばす

2019年シーズンのドライビングディスタンスを見てみると、身長151センチと小柄ですが平均242.99ヤード飛ばしています。今大会でも240~250ヤードをしっかり飛ばしていますね。

飛ばしの秘訣は、体を効率良く使っていること。バックスウィングの始動から背中・肩が動き始め、コンパクトなトップですが深い捻転が作られていることがわかります。

画像: 始動の段階で背中・肩が動き始め、トップでは深い捻転が作られている

始動の段階で背中・肩が動き始め、トップでは深い捻転が作られている

切り返しでヘッドをループさせてスウィングプレーンにクラブを乗せたら、そのままフェースローテーションをほとんどせず、体の回転力を活かしてフィニッシュまで振り抜いていきます。

画像: フェースローテーションは少なめで、捻転で作られたエネルギーを活かして振り抜く

フェースローテーションは少なめで、捻転で作られたエネルギーを活かして振り抜く

下半身を止めずにしっかり体を捻転し、ねじり戻しのエネルギーを利用することで小さい体でも飛距離が出るし、思い切って振ることができていますね。

最終日を単独首位で迎えるのを「ワクワクする」といえるメンタル

もうひとつ、彼女の強みは楽しめているというメンタルにあります。3日目を終えて、最終日への意気込みを聞かれた際の回答がこちら。

「楽しみですね。ワクワクして、あんまり緊張とかよりは、どうなるんだろうというワクワクのほうが強いですね」(田中)

会見での受け答えもすごく明るくて、普段通りと言った感じ。ツアーに慣れている選手でも優勝争いに絡めば緊張で体が動きにくい、なんてことも起こってしまいますが、彼女の場合非常に自分らしくプレーができていますね。

今大会でもドライバーに限らず、どのショットもすごく良く振り切ることができているのは、このメンタルの強さが大きな理由でしょう。最終日も三日目までと同じようなプレーができれば初優勝が見えてくるはずです。

しかし、すぐ後ろからは三日目に5つ伸ばした西郷真央と6つ伸ばした古江彩佳、2位タイの両選手が追いかけてきています。2位タイとは3打差ありますが、「6アンダーくらいは出せる」というのは選手たちの認識としてあると思いますから、まだまだ油断はできませんね。

画像: 三日目を6つスコアを伸ばし、現在トータル8アンダーで2位タイの西郷真央(Getty Images/JLPGA提供)

三日目を6つスコアを伸ばし、現在トータル8アンダーで2位タイの西郷真央(Getty Images/JLPGA提供)

加えて、三日目はドライバーの不調に苦しんだ鈴木愛が、順延によって調整の時間を多く取ることができることになりました。不調でも三日目のスコアを1アンダーでまとめ、現在トータル7アンダー、4位タイに位置していますから、復調し必ずスコアを伸ばしてくるでしょう。

画像: ドライバーさえ復調すれば、鈴木愛も必ずスコアを伸ばしてくると中村(Getty Images/JLPGA提供)

ドライバーさえ復調すれば、鈴木愛も必ずスコアを伸ばしてくると中村(Getty Images/JLPGA提供)

このまま田中選手が逃げ切って初優勝を勝ち取るのか。それとも古江、西郷、鈴木らが逆転するか。最終日のプレーにも注目です。

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