6月16日に50歳の誕生日を迎え、シニア入りを果たしたフィル・ミケルソン。今年に入って予選落ちが続き、さすがの彼も年齢とともに勢いを失いかけたかに見えたが、先日のトラベラーズ選手権では「まだまだやれるミケルソン」を大いにアピール。復活の兆しを見せた。

トレーニング大成功。怪我なく元気に飛距離アップ

予選2日間をローリー・マキロイ、ブライソン・デシャンボーというツアー屈指の飛ばし屋とプレーした彼は、2人の圧倒的な飛距離に左右されることなく、自分のプレーに集中し、64、63と連日の好スコアをマーク。単独首位に躍り出た。

「ブライソンとローリーというツアーの飛ばし屋たちと互角に戦おうとしなかったのがよかったね。彼らがドライバーで飛ばすところをボクは3Wで打って、それでもバーディチャンスにつけることができたんだから」

画像: 50歳の誕生日を迎えたフィル・ミケルソン。キャリアグランドスラム達成なるか?(写真は2019年のシュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン 撮影/姉崎正)

50歳の誕生日を迎えたフィル・ミケルソン。キャリアグランドスラム達成なるか?(写真は2019年のシュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン 撮影/姉崎正)

今年、ジェネシスオープンでブルックス・ケプカ、ババ・ワトソンという2人の飛ばし屋とラウンドした時、ミケルソンは彼らの飛距離に張り合おうと、自分もできるだけ強打しようとしたという。しかし結果は予選落ち。その時の経験から学んだ彼は、今回は2人の“怪物”を前にしても動じることなく自分のゲーム運びに集中した。

しかし飛ばし屋たちに比べれば「飛ばない」とはいえ、ミケルソンの現在の平均飛距離は302.3ヤードであり、ツアーで49位。ツアーで戦うのに決して不十分な飛距離ではない。彼はここ数年、厳しいトレーニングを積んでいるそうで、「厳しいトレーニングを9ヶ月積んだら、その後急にスイングが毎時6マイル速くなった」と語っている。

また、彼のスウィングはタイガー・ウッズやブルックス・ケプカ、ダスティン・ジョンソンたちのような大きな筋肉を使い、ヒップターンを制限するような今どきの打ち方とは違うが、それが奏功しているのか、背中やヒザなどにケガを抱えることもない。

「自分のスウィングを物理的に研究し、弱点を強みに変えたんだ。ジムでトレーニングを積んだが、トレーニングは完ぺきだった」

再開1戦目の「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」で予選落ちを喫したミケルソンは、コーチとスウィングをもう一度見直した。そして、長いクラブに関してはインパクトにかけてクラブをリリースするような動きを意識したところ、真っすぐ飛ばせるようになったのだという。

3日目、最終日は71、71と連日のオーバーパーを叩き、優勝争いからは離脱したものの、通算11アンダーでホールアウト。24位タイで終了した。

「今週は“進歩”の1週間だったね。もちろん目標は優勝だけど、ここのところ予選落ちが続いていたし、自分が望むプレーができていなかったんだ。でも今週はいいものをたくさん発見できたし、いいショットもたくさんあって本当に楽しかったよ。自分のプレーが戻ってきているのがわかるんだ」

今季に入って11試合中、予選落ちは6回。相性のいいAT&Tペブルビーチプロアマでは3位に入賞しているが、それ以外はほとんどいいところがなかった。だが、チャールズ・シュワブ・チャレンジ辺りから、徐々に自分のプレーを取り戻せている感覚はあったという。50歳を迎えても、まだまだ我が子と同じくらいの年齢の若手と太刀打ちできる技術と体力、飛距離を備えていることが証明された1週間でもあった。

50歳以上でPGAツアー優勝を果たした選手は過去7人しかいない。中でもサム・スニードの52歳10ヶ月8日は最年長記録となっている。2000年以降では、クレイグ・スタドラー(50歳)、フレッド・ファンク(50歳)、デービス・ラブⅢ(51歳)のたった3人だけ。ミケルソンが、もし先週優勝すれば8人目に加わったわけだが、特に体に故障のない彼なら50代での優勝も時間の問題だろう。

マスターズ、全米プロ、全英オープンで3大メジャー優勝を成し遂げた彼が、キャリアグランドスラムを達成するには、全米オープンのタイトルだけ。しかも今年は特別規定で世界ランク50位以内でなくても出場できることになっただけに、現在世界ランク64位の彼にとっては非常にラッキーな展開だ。しかも開催場所は、前回の全米オープンで最終ホールまで首位をキープしていた“リベンジ必須”のウィングドフットである。これらの滅多にないラックを大いに活かして前人未到の50歳でメジャー優勝、グランドスラム達成を果たしてほしい。

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