アマチュアゴルファーの高い壁でもある100切りを達成すると、待ち構えているのはさらに高い“スコア90の壁”。プロキャディ・伊能恵子は、この壁を乗り越えて80台のスコアを出すためには「逆算の考えが必要」だという。果たしてどういうことか

「少しでも近づけたい」という気持ちをぐっとこらえることができるか?

18ホールをボギーペースでプレーすると90だけど、ひとつだけパーをとるだけで89。そう考えると簡単で冒険しなければ90は案外切れたりするのではないでしょうか。

私が思うに90が切れないゴルファーってグリーン近くまでボールは運べているのに、30~50ヤードくらいのアプローチでつまらないミスをする確率が高いように思うんです。ティショットやセカンドは全然悪くなくて、そこそこ打てているのに上がってみたらダボとかトリになっちゃう。思い当たるフシがありませんか? 

たとえば350ヤードのパー4。ティショットのドライバーが薄く当たって飛距離200ヤードくらい。残り150ヤードからのショットも芯を喰わずに、30~50ヤードが残ることってすごくよくあると思うんですよね。

画像: 自分の得意な距離を残すことでピンに寄る確率がグッとあがるかもしれない(撮影/増田保雄)

自分の得意な距離を残すことでピンに寄る確率がグッとあがるかもしれない(撮影/増田保雄)

この残り30〜50ヤードがクセモノだと私は思います。100ヤード前後からショートアイアンでフルショットを打つのより、30~50ヤードのアプローチのほうがグッと難易度が高くなってしまうんです。

これはプロにも当てはまることで、自分である程度加減、調整しなきゃいけない30~50ヤードの距離は100球打って全球寄りますかって言われたらやっぱりそうはいかない。もちろんプロたちはそれが職業だからある程度は寄っていくけど、80~90ヤードくらいのウェッジでフルショットできる距離のほうが寄る確率ってすごい増える。ピン奥に落ちたボールがバックスピンがかかって「入れ!」ってなる状況は試合でもよくありますよね。

たとえばプロはロングホールで2オンを狙わずに3打目勝負となったとき、100ヤード以内で自分の得意クラブで打てる得意距離を残しますよね。そして、その得意な距離を残すためにセカンドは何ヤードを何番で打って行こう、という逆算の考えが必要になってきます。

画像: 古閑美保、片岡大育らのキャディを務めた伊能恵子。江戸時代に日本地図を作った伊能忠敬の子孫としても有名(写真は2017年のダイヤモンドカップゴルフ 撮影/姉崎正)

古閑美保、片岡大育らのキャディを務めた伊能恵子。江戸時代に日本地図を作った伊能忠敬の子孫としても有名(写真は2017年のダイヤモンドカップゴルフ 撮影/姉崎正)

それと、少し長めのパー4でセカンドショットが180ヤードくらい残っているとき、3番ウッドや5番ウッドを持ってもグリーンに乗る確率は低いですよね。そこそこ当たっても、バンカーに入ったり、バンカー越えが残ることも多くて、難しいアプローチが残ってしまう。

でもこれが80ヤードくらいでウェッジでちょうどフルショットできるというのであれば、ゆるまず振り切れるから、結果的に乗る確率が高くなるんです。30ヤードより80ヤード残すほうがずっといいっていうことが、ゴルフだとよくあるんです。だからこそ、100ヤード以内で自分が得意な距離を見つけることがマネジメントする上でのポイントになる。

実際のラウンドであえて距離を残す戦略を取り入れるのは勇気がいるけど、18ホール徹底してこれでプレーしてみようかなって1回チャレンジしてみると、90切りのきっかけをつかむことができるかも。私はそう思います。

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