リラックスして集中力を上げることもパフォーマンスを発揮するコツだが、「ここ一番」でのメンタルを強くするには「ストレス」が大事なんだとか。プロも指導するメンタルコーチ・池努が、「ここ一番」で役立つトレーニングのやり方を教えてくれる。

ストレスが「ここ一番」でのメンタルを強くする

ストレス社会化が進む現代ではマインドフルネス(瞑想)、ヨガなどによる調身(姿勢を正す)・調息(呼吸を整える)によるストレスマネジメントが主流となりつつあります。ゴルファーの皆さんも「瞑想やヨガがメンタルにいいらしいよ」という情報はなんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか。そして、実際にYouTubeの情報などをもとに実践されている方もいらっしゃるかと思います。

私も当サイトの記事でマインドフルネスの利点や実践方法を紹介してきました。瞑想やヨガが集中力の向上やブレない感情コントロールに効くことは科学的にも証明されている通り、実践していくことで効果を感じることはできるのですが「ここ一番」でのメンタルに効くかというと、そこにはひとつの視点の追加が必要です。それが何かというと「ストレス環境」です。

一般的な瞑想やヨガは静かでリラックスできるスタジオや部屋の中で行いますので集中しやすい環境があります。そこはそもそも「リラックス環境」ですのである意味、集中できて当然の環境でもあるのです。このリラックス環境でいくら集中した状態で一つのことに注意を向けられているマインドフルな状態になれたとしても、それは「ここ一番」という「ストレス環境」ではあまり役立たないこともあるのです。

ここ一番でのメンタル、たとえばプロゴルファーでいくと「予選カットラインぎりぎりの状態での残り3ホールのプレー」などのプレッシャーがより重くのしかかる傾向にある状況は日常では感じることがほとんどない「ストレス環境」でのプレーになります。このような状況で目の前のワンパッド、ワンプレーに集中できるメンタルを身につけるためには「リラックス環境」でのマインドフルネスではなく、「ストレス環境」でのマインドフルネスの実践が重要です。

画像: 試合でプレッシャーがかかる状況でメンタルを強くするためには、練習のときから自身でプレシャーがかかるルールを作ることがポイントとなる(写真は2019年のNOBUTA GROUP マスターズGCレディース 撮影/岡沢裕行)

試合でプレッシャーがかかる状況でメンタルを強くするためには、練習のときから自身でプレシャーがかかるルールを作ることがポイントとなる(写真は2019年のNOBUTA GROUP マスターズGCレディース 撮影/岡沢裕行)

人間にはホメオスタシスと呼ばれる恒常性維持機能が備わっています。これは、環境に適応しようとする能力でストレスがかかればストレスに心身は適応しようとする機能を指します。あえてストレスがかかった環境でのマインドフルネスを実践することでノンストレス状態では身につかない「ここ一番でのメンタル」へつなげる狙いがあります。

たとえば、騒がしいカフェで瞑想をする。満員電車の中で瞑想をするなどは日常生活の中でも簡単にできるストレス環境下でのマインドフルネス・トレーニングになります。さらにゴルフでいうとプロゴルファーの方には次のようなトレーニングを提案しています。

どのように試合でのここ一番に似たストレス環境をつくればいいかという一例を紹介すると、たとえば次のようなルールをつくります。「クリーン上で3パット以上したホールの数×2キロ走る」(※この設定やルールはあくまでも一例です)

このようにあえて強めのプレッシャーがかかるような設定をし、試合のようにプレッシャーを感じる環境をつくりあげパッティングするのです。そして、その中で「入らなかったら走りだ」「前みたいにまた外しそう」などと未来や過去への思考に意識をむけることなく目の前のワンパットに集中できるようにトレーニングするのです。そして、その環境の中、各ホールで集中できたかどうかをチェックしていくのです。

このような設定をしない限り、「ここ一番」という状況は試合でしかおとずれることはありません。試合慣れする以外にはこのように自分自身の工夫でストレス環境をつくりだし試合を想定したトレーニングをすることをおすすめします。

実は本来のヨガ行者も修行場所は朝晩で寒暖差の激しい過酷なヒマラヤなどで行われるといいます。ストレス環境下で修行するからこそ、究極のストレスマネジメント術が体得されるのでしょう。あなたがもし「ここ一番」でのメンタル強化を進めたい場合は今回の情報をご活用ください。

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