3月から地元・茨城県を拠点にトレーニングと調整をひたむきに続けている畑岡奈紗。世界ランクは現在4位で、本来であればオリンピック代表に内定し、本番に向けて心技体を整えていたはず。延期になったオリンピック、休止がつづくツアーに向けて、いま畑岡はなにを思うのか。単独インタビュー!

オリンピックに向けて「準備期間が1年あるということ」

――昨年の好調なシーズンを終え、今季の序盤も2位が2回と好調さを維持してきました。いよいよオリンピックに向けてというところで、ツアーは休止、オリンピックも延期となりましたが、気持ちの変化はありますか?

畑岡奈紗(以下、畑岡):噂では、オリンピックが延期じゃなくて「あるかないか」というようなことを聞いていたので、東京大会が中止になってしまうのではないかと思っていました。それが一年延期となり東京五輪が中止にならなくてよかったなと思っています。準備期間が一年あるということで、いい準備ができればと思っています。

――6月の国内ツアー開幕戦「アース・モンダミンカップ(畑岡は38位タイでフィニッシュ)」での調子はいかがでしたか?

畑岡:調子自体は悪くなかったと思いますが、試合になると練習でやっていたことがなかなかできなくなってしまったり、ひとつのミスから流れが変わったりというのがありました。久しぶりの試合で試合勘というのを戻すこと、たとえば、風の読みだったりグリーンの読みだったりというのが(時間が)空いてしまうと難しいと思いました。

画像: 2021年に延期された東京オリンピックで金メダル獲得を目標にする畑岡奈紗。今年から着用するアディダスのスパイクレスシューズは「グリーン上で傾斜を感じやすい」という(写真提供/アディダス ジャパン)

2021年に延期された東京オリンピックで金メダル獲得を目標にする畑岡奈紗。今年から着用するアディダスのスパイクレスシューズは「グリーン上で傾斜を感じやすい」という(写真提供/アディダス ジャパン)

――昨年の日本女子プロゴルフ選手権、日本女子オープン(ともに優勝)ではプレーの内容だけではなく、米ツアーの第一線で戦っているプライドや確固たる意志のようなものが感じられました。

畑岡:どこでプレーしていても常に勝ちたいという気持ちを持ってやっています。アメリカでやっているからというプライドというのは感じてはいないです。選手権や、女子オープンの開催される9月、10月の秋ごろは、自分では体が動きやすかったりして調子がいい傾向にあるので、その時期に(国内ツアーに参戦できるタイミングが)重なっているというのはイメージとしてはいいですね。

――試合のない期間、ブラッシュアップしているテーマは?

畑岡:昨オフまでは下半身のトレーニングが8割方だったのですが、今オフからは上半身のトレーニングを以前よりするようになって、今も継続しています。トレーニングは割と好きなほうです。体が少し硬いので、ストレッチを多めにして、少しでも可動域を楽にしていきたいと思っています。自分のスウィングをもっと効率のいいスウィングにしていきたいと思っています。

コーチはつけずに、携帯にメモをしながら感覚を磨き上げる

――畑岡プロはコーチをつけていませんが、効率のいいスウィングを手に入れるために、どのような工夫をしていますか?

畑岡:自分の感覚を大事にやっているので、自分の調子がいいときのことを携帯にメモしたりして、イメージが合っていくようにしたりとか。私はショットでスコアを作っていくタイプなので、ショットが崩れてくるとなかなか4日間安定してプレーできないというところがあって、もちろん再現性の高いスウィング目指すというところと、もう少し飛距離が欲しいなと思っているので、そこはスウィングをとくに変えるというよりは安定したスウィングをしながらトレーニングでもう少し距離を伸ばしていければいいと思います。

――練習をしているときに携帯にメモするのはどんな内容ですか?

畑岡:カメラで撮った自分のスウィングの印象と、自分の中の感覚で打っている印象(の違い)です。たとえばテンポが速くなっていると思わなくても、カメラで写したのを見るとスウィングのテンポが速かったり、タメがなかったとかということを書いています。その原因が何かというのを今までメモしたところだと、切り返しのタイミングで下半身から下りてきていないとか、クラブが先に下りてきてしまっているとか、コックがほどけてしまっているとか、タメができない様々な原因をメモしているので、そういうときには振り返っています。

画像: ツアー休止期間中は、トーナメント再開に向けて地元を拠点に黙々と練習の日々を過ごしていたという(写真提供/アディダス ジャパン)

ツアー休止期間中は、トーナメント再開に向けて地元を拠点に黙々と練習の日々を過ごしていたという(写真提供/アディダス ジャパン)

――試合勘をキープするためにやっている練習法はありますか?

畑岡:普段からやっているのはドローとフェードの打ち分けや、ボールの高さの打ち分けには気をつけてやっています。あとは中途半端な距離の30から60ヤードに苦手意識があるので、10ヤードずつターゲットを置いてそこに向かって打つという練習をしています。

――飛距離についても聞かせてください。やはり世界で戦う中で飛距離が重要なのでしょうか?

畑岡:アメリカに限らず「アース・モンダミンカップ」でも感じましたが、日本ツアーも徐々に距離が伸びてきていて(総ヤーデージが)6500~6600(ヤード)というのが当たり前になって来ています。パー3の距離が長かったりすると、今まで(パー3で)ハイブリッド(ユーティリティ)を持つことはなかったのですが、日本でもハイブリッドを持たなければならいホールが増えてきています。そこをアイアンで打てればスピンが効いてよりピンに近づく確率も高くなると思うので、そういう意味でドライバーもそうですし、全体的に飛距離をアップできればいいなと思います。

――今年からスパイクレスシューズを試していると聞きましたが、その影響はありますか?

今まではスパイクレスシューズは滑ったりするようなイメージがあったのでなかなか履く機会が少なかったのですが、今季はアディダスのスパイクレスを履かせてもらって、まったく滑るということがなくて、グリップはすごく大事なんだと感じています。

世界ランク4位だが「下位にも自分より強い選手、上手い選手はたくさんいる」

――次の出場予定はどの試合でしょう?

畑岡:まだ確定してはいないのですがスコティッシュ女子オープンと全英女子オープンには出場しようと思っています。

――日本やアメリカとは違う環境での試合になりますが、対策は?

畑岡:とくにヨーロッパでは成績を残せていないので、リンクスコースでは雨、風があり、一日の中で四季があるというくらい天候の変化が激しいので、風の対処ができるように低いボールとか長いクラブを持ってコントロールする(練習をしている)。フルショットするとボールが高く上がって、どれくらい飛ぶかという計算をしにくいので、うまくコントロールショットを使っていければいいと思っています。

――スコティッシュ女子オープンは無観客試合になるようですが、観客がいるといないでは違いますか?

畑岡:そうですね、いいショットでも悪いショットしたときにも反応がなかったりすると、学生のころの試合を思い出します。やっぱりファンの人の声援というのは大きいんだなと前回の試合(アース・モンダミン)で思いました。

――プレースタイルも変わりますか?

畑岡:とくに変えずにいつも通りピンだけを見て攻めていきたいと思います。

画像: 「やるからには世界1位になりたい」と語る畑岡奈紗。オリンピックでの目標はもちろん金メダルだ(写真提供/アディダス ジャパン)

「やるからには世界1位になりたい」と語る畑岡奈紗。オリンピックでの目標はもちろん金メダルだ(写真提供/アディダス ジャパン)

――現在世界ランキング4位(7月13日時点)でオリンピック代表の最有力の位置にいますが、オリンピックでの目標は?

畑岡:世界ランキングは4位なのですが、実際はそういう数字というだけであって、ランキング的には下位であっても自分よりも上手かったり強い選手はたくさんアメリカにいますが、それでもやっぱりオリンピックに出られたら金メダルを獲りたいと思います。

――オリンピックまでは、あと一年しかないのか?まだ一年あるのか?どちらでしょうか?

正直に言うと長く感じています。今年であればもうオリンピックが始まる時期だと思っていたので、あと一年となると長くは感じますね。とくに試合がないので、より長く感じます。今取り組んでいることが試合でもできるようになれば自信にもなると思うので試合で成績を残すということが一番です。

――ありがとうございました。スコティッシュ女子オープンと全英女子オープンでの活躍を楽しみにしています!

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