今週開催の海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」に出場する石川遼のバッグを担ぐのは、今シーズンから石川のコーチを務め、統計学的データ分析の専門家としての顔も持つ、ゴウ・タナカこと田中剛コーチ。そんな田中に、コースセッティングや現地の雰囲気についてレポートしてもらった。

石川が5年ぶりのメジャー挑戦へ

「全米プロゴルフ選手権」に参戦する石川遼。2015年の「全米オープン」以来実に5年ぶりの海外メジャー挑戦となるが、その大舞台のキャディを務めるのは、石川を指導する田中剛コーチだ。

「コロナ禍においてなるべく少人数で行ったほうがいいだろうということで、僕がキャディを兼ねて(2人での渡航で)リスクを下げるという形になりました」(田中)というのが、今回田中コーチが石川のバッグを担ぐことになった経緯。

画像: 全米プロゴルフ選手権に出場する石川遼(写真は2019年のパナソニックオープン 撮影/有原裕晶)

全米プロゴルフ選手権に出場する石川遼(写真は2019年のパナソニックオープン 撮影/有原裕晶)

現地TPCハーディングパークで調整を重ねた2人だが、「石川選手のコースに対しての対応力の高さは素晴らしい。日本(のコース)では使わないようなアプローチに対する理解と、それを習得する速さは流石としか言いようがないですね」と田中は語る。また、現地では石川とPGAツアーメンバーが交流する場面も頻繁に見られたという。

「(PGAツアーは)久しぶりながら、非常に馴染んでいるなと感じました。PGAツアーメンバーたちも石川選手のことを知っていて、『おぉ、リョウ!』みたいな感じで気軽に会話するようなシーンが何度も見られました。(PGAツアーメンバーたちは)真剣なんですけど楽しそうなんです。こんなに良い雰囲気なんだなっていうのがまず驚きでしたね」(田中コーチ)

「本当にすべてが必要」な難関セッティング

セッティングについては、「日本のコースよりも圧倒的に難しい。とにかくショット力が徹底的に求められて、さらにアプローチ力も要る。本当にすべてが必要という印象です」と田中。

「距離がとにかく長くて、(パー4で)470ヤードを超えてくるホールがほとんど。寒さで飛距離が落ちるのに加えて、風が強いので距離のジャッジも難しい。結構アゲンストなホールもあるので、本当に飛距離が大事になってきます」(田中コーチ)

さらに、「ラフも多く、厳しいセッティングです」と続ける。

「ラフはある程度の長さがあって、基本的に重いです。少し運の要素もあるというか、入り方によってはなんとか打てる場合もあれば、プロでも120ヤード飛ばすのがやっと、まともなショットが打てないくらいの重さになってしまうこともありますね。選手たちのコメントでも『ラフが厳しい。ドライバーをまっすぐ打ってフェアウェイを捉えることがキーになる』というのはみんな口をそろえていました」(田中コーチ)

グリーンについては「まあまあ固いといった程度でグリーンスピードもフェアな感じ」だが、「アンジュレーションが強めなので、狙いどころをしっかりしないといけませんね」と田中。さらに、セカンドショットやアプローチの難易度も高めだという。

「(グリーン周りは)すぐラフがかかってくるので、アプローチが結構難しい。アダム・スコットなんかも『スクランブリング(パーオンを逃した場合にパーより良いスコアで上がること)がかなりカギになってくる』と言っているレベルです。あと、(グリーン付近の)バンカーのアゴが上がっているような見た目のホールが多いので、2打目地点の景色に圧があります。普通に打てばいいところを、ジャストで打ちたくなる、そうじゃないと奥に行っちゃうんじゃないかなと思ってしまうような、恐怖にかられるようなセッティングですね」(田中コーチ)

石川をサポートしながら、PGAツアー選手の練習も垣間見た田中。そのレベルの高さに驚いたという。

「みんなすごい高いレベルで、選手によっていろいろな弾道がありましたけど、それぞれのショットを徹底して打っている、という印象ですね。あとは、かなり多くの選手がコーチと話しながら1ショット1ショットを打っているのが印象的でした」(田中コーチ)

ロリー・マキロイやジョン・ラーム、ダスティン・ジョンソンをはじめ、どの選手も「信じられないような高弾道」だというが、その中で印象的だったのがチリのホアキン・ニーマン「すごく低い弾道のドライバーショットを打っていて、自分のスタイルを貫く強さも感じました」と田中は言う。

「あとはブライソン・デシャンボー。本当に体が大きいですね。練習中はとにかくスピン量を気にしていて、コーチと確認しながら打っていました。“ゴルフの科学者”っぽいですよね。あとパット練習ではどの選手も真剣に練習している中、ブラント・スネデガーだけは適当というか、何かをやるっていうのではなくて、非常にリズム良くパッと(目標を)見て感覚的に打っていたのが印象的でした」(田中コーチ)

さて、試合では石川をサポートすべく尽力する田中だが、見どころの一つとして「マキロイのラフからのアプローチ」を挙げた。

「ラフが厳しいというのはコメントの中でも大多数の選手が触れていたんですが、マキロイだけはラフについてあまり言及していませんでした。ラフからのショットに自信があるのかな、と気になりました。あくまで僕の単純な興味ではありますが」(田中コーチ)

3連覇のかかるブルックス・ケプカに世界ランク1位のジャスティン・トーマス、タイガー・ウッズや松山英樹も参戦と、注目選手を挙げたらキリがないほどのビッグタイトルである全米プロ。5年ぶりに海外メジャーへ挑む石川と、それを支える田中の活躍にも注目だ。

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