23歳にして海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」を制したコリン・モリカワ。優勝の決定打となったのが最終日16番ホールのパー4で1オンを決めたドライバーショットだ。このスーパーショットをプロゴルファー・中村修が解説。

まるで練習ラウンドのようなスムーズな動きでパー4の1オンに成功

全米プロ最終日、通算10アンダー首位タイで迎えた14番ホールで、コリン・モリカワはチップインバーディを決めて一歩リード。15番をパーとし、16番パー4にたどり着きました。

画像: 全米プロゴルフ選手権を制したコリン・モリカワ(写真は2019年のシュライナーズホスピタル 撮影/姉崎正)

全米プロゴルフ選手権を制したコリン・モリカワ(写真は2019年のシュライナーズホスピタル 撮影/姉崎正)

16番はフロントエッジまで278ヤード、カップまで294ヤード。ティ位置は前日よりも前を使用していたので、モリカワの飛距離だとドライバーをカットで打ってぴったりの距離となっていました。

この状況でドライバーを持ち、グリーン右サイドのバンカー横に切られたピンを刺しイーグルチャンスにつけるのですが、見ていて感じたのは、ドライバーを抜いた瞬間から1オン狙いというマネジメントに一切の迷いがなかったこと。ティショット前にはキャディのJJとこんなやり取りもしていたそうです。

「(JJが)どうしたい? と聞いてきた。僕はドライバーで打ちたい、と答えた」(モリカワ)

一打のリードを守りにいくのではなく、勝ちにいく攻めのゴルフを貫きました。この16番のショットを見て昨年の全英女子オープンの渋野日向子を思い出した人も多いのではないでしょうか。渋野日向子は思い切りよく振り抜きましたが、モリカワは距離と方向性を両立させたドライバーで打ったライン出しショットのようでした。

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モリカワは距離感をインパクトの強弱で調整せずにスウィングスピードを少し落としながら、ややカット軌道で振り、左へのミスを消しました。特筆すべきは、スウィングのテンポはいつも通りのゆっくりと始動するテークバックから下半身、体幹、腕、クラブ……と動きの連動が非常にスムーズであったこと。

たとえばタイガー・ウッズなら極限の集中力を発揮し、打った後は鬼気迫る表情が画面から見られるような場面でしたが、モリカワはまるで練習ラウンドのようなスムーズさで振り抜いたのです。メジャー初優勝がかかる最終日の16番ホールで勝負に出たショットとは思えないくらいでした。

結果はご存知の通り。ドライバーでトータル291ヤード飛ばし、エッジに落ちたボールはピンに向かって転がり文句なしのイーグルチャンスにつけ、しっかりとパットを沈め後続を突き放しました。23歳のメジャー出場2戦目とは思えない落ち着いたプレーで、残り2ホールをパーでしのぎ見事に優勝を手にしましたね。

モリカワにかかっていたプレッシャーは計り知れませんが、たとえば我々の場合でもベストスコア更新がかかるドライバーショットや優勝を争う競技の一打を想像するだけで、心臓がバクバクしてきませんか? もちろん学生時代からトッププレーヤーとして活躍し、プロ入り後も結果を残してきたモリカワですが、自分を信じて目の前のやるべきことに集中した23歳は今後どこまで活躍するのか? 大きな期待が膨らみます。

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