今週開催の「ノーザントラスト」から始まるPGAツアープレーオフシリーズの見どころ、そしてプレーオフ終了後すぐに開幕する2020-2021年シーズンの展望について、海外取材経験20年のゴルフエディター・大泉英子が語る。

現在フェデックスカップランク1位はジャスティン・トーマス

今年は新型コロナウイルス感染拡大により、世界のゴルフツアーのスケジュールが大幅に変更された。男子海外メジャーは全米プロ1試合のみの開催に終わり、「2019〜2020年PGAツアーシーズン」は約10試合減の全33試合で、9月7日に最終日を迎える「ツアー選手権」で閉幕する。

プレーヤーズ選手権以降、約3ヶ月の中断があったため、「もうシーズンが終わるの?」という拍子抜けなスケジュールになっているが、今週から3週間、「フェデックスカップ・プレーオフ」が始まる。 

「ノーザントラスト(マサチューセッツ州TPCボストン)」「BMW選手権(イリノイ州オリンピアフィールズCC)」「ツアー選手権(ジョージア州イーストレイクGC)」の3試合であるが、これらの試合は例年通り、「ノーザントラスト」にはフェデックスカップポイント上位125名、「BMW選手権」には上位70名、「ツアー選手権」には上位30名が進出する。

画像: 現在フェデックスカップランク1位となっているのは、今季3勝を挙げたジャスティン・トーマス(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

現在フェデックスカップランク1位となっているのは、今季3勝を挙げたジャスティン・トーマス(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

現在、フェデックスカップ1位は今季3勝、世界ランク2位のジャスティン・トーマス。2位には「全米プロ」チャンピオンのコリン・モリカワがつけている。松山英樹は18位にランクインしているため、このまま行けば最終戦「ツアー選手権」に進出できるトップ30に入る見込みは高いだろう。

画像: 松山英樹は現在フェデックスカップランク18位(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

松山英樹は現在フェデックスカップランク18位(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

一方、第2戦の「BMW選手権」進出に赤信号が灯っているビッグネームたちもいる。リッキー・ファウラー(88位)、トミー・フリートウッド(89位)、ブルックス・ケプカ(97位)、ジョーダン・スピース(100位)、ジャスティン・ローズ(109位)だ。彼らの今週の戦いぶり次第では、今季終了ということになるため、1打を争う気の抜けない戦いとなるだろう。

画像: 写真左からリッキー・ファウラー、トミー・フリートウッド、ブルックス・ケプカ、ジョーダン・スピース、ジャスティン・ローズ。ビッグネーム5名もプレーオフ初戦の結果次第では2戦目に進出できない可能性がある

写真左からリッキー・ファウラー、トミー・フリートウッド、ブルックス・ケプカ、ジョーダン・スピース、ジャスティン・ローズ。ビッグネーム5名もプレーオフ初戦の結果次第では2戦目に進出できない可能性がある

通常、レギュラーシーズンで優勝すると1試合につき500ポイントが与えられるが(WGCイベントでは550ポイント、メジャーでは600ポイント)、今年はコロナウイルスの影響もあり、試合数が減っていることもあってフェデックスカップ・プレーオフの最初の2試合は2000ポイントではなく、1500ポイントが与えられることになっている。

昨年から始まった3試合目「ツアー選手権」でのスコアシステムには変更はなく、2試合目までのポイントランクに従って、1位の10アンダーを軸に2位8アンダー、3位7アンダー……といった具合に初日のスタート時のスコアにハンデをつける方法で行われる。

というわけで、まだまだフェデックスカップ優勝賞金15ミリオン(約16億円)を巡って一発逆転も夢ではない。

プレーオフ終了後は翌週から新シーズンが開幕

このプレーオフが終われば、すぐその翌週には「セーフウェイオープン」を皮切りに「2020-2021年シーズン」が始まる。コロナの影響で「2019-2020年シーズン」に開催できなかった「全米オープン」や「マスターズ」といったメジャーも、年内のスケジュールに入ってくるので、選手たちにとっては相当な過密スケジュールとなっている。春先の中断中、時間を持て余していた選手たちも、ここぞとばかりに9月以降は試合に出場しなければならないだろうが、来年もコロナが終息するかどうかはわからないため、試合に出場できるうちに少しでも上位を目指したいところだろう。

「全米オープン」や「マスターズ」は無観客での開催が決まっているが、他の試合に関してはまだアナウンスがない。「少なくとも9月までは観客を入れないのではないか?」あるいは「年内は無観客では?」などの見解がいくつかあるが、確かなところはまだわかっていない。

そして日本人の我々にとって、もっとも気になるのは「ZOZOチャンピオンシップ」の開催についてだろう。今のところ「CJカップ」(韓国開催)も「ZOZOチャンピオンシップ」も正式な発表はないが、海外メディアなどが報ずるところによれば、選手や関係者の移動のリスクから「『CJカップ』はラスベガス、『ZOZOチャンピオンシップ』はシャーウッドCCで開催されるのではないか?」という見方もあるようだ。

「CJカップ」前週は「シュライナーズホスピタルズforチルドレンオープン」がラスベガスで行われるので、そのまま2週連続でラスベガス開催にしたほうが安全面でのコントロールがしやすい。また「ZOZO」のシャーウッドというのは、前年度優勝者であるタイガー・ウッズがホストの非公式試合を以前ここで行っていたこともある上、米チャンピオンズツアーも開催したことがあるので、このコースの可能性を選ぶ確率が高いという見方だろう。

また、WGC・HSBCチャンピオンズは開催地の中国政府からの要請により、いかなる国際スポーツイベントも今年いっぱいは開催しないということになっており、しかも中国以外の地での開催は望んでいないため、他の2試合のように米国での開催の可能性はない。

11月には「マスターズ」を控えていることもあり、今年の「アジアスイング」の先行きは不透明とも言われている。

最後に試合直前に行われているスポンサー向けのプロアマ戦についてであるが、現在PGAツアーでは一切行われていないが、米チャンピオンズツアーではすでに行われているという。プロアマ戦も観客を入れての開催も、“一般人をコース内に入れる”という意味では同じなので、その対処をどうするのか、具体的な方法がなければ実現は難しい。なんとか年内には対策の目処が立ち、せめて来年1月のハワイシリーズから有観客・プロアマありの日常が戻ることを期待したいところだ。

※2020年8月20日12時15分 文章を一部修正いたしました。

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