PGAツアー・チャンピオンズ「チャールズ・シュワブ・シリーズatオザークスナショナル」でシニアデビューを果たし、2位と4打差をつけ完全優勝したフィル・ミケルソン。果たしてシニアツアーデビューへの出場を決断した理由とは?

予選落ちで今季終了。ならばとシニアに参戦していきなり優勝

今年の6月に50歳になったフィル・ミケルソンが、8月24日〜26日の3日間で行われたPGAツアー・チャンピオンズ(シニアツアー)「チャールズ・シュワブ・シリーズatオザークスナショナル」でシニアデビューを飾り、初参戦Vを飾った。初日に11バーディ、1ボギーの61で単独首位に立つと、2日目は64(8バーディ、1ボギー)、最終日の3日目は66(1イーグル、5バーディ、2ボギー)をマークし、22アンダーで優勝。2位のティム・ペトロビックとは4打差だった。つい先月も50になったジム・フューリックがシニアデビュー戦「アリーチャレンジ」で初優勝を飾ったばかり。ミケルソンの優勝で、デビュー戦Vの選手は20人となった。

「本当に楽しい1週間だった。たくさんのいいことが見つかったし、課題もわかった。こうして顔なじみのプレーヤーたちとまた一緒にプレーし、優勝争いができて本当に楽しかった」

画像: シニアツアーデビュー戦で勝利を挙げたフィル・ミケルソン(写真は2019年のシュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン 撮影/姉崎正)

シニアツアーデビュー戦で勝利を挙げたフィル・ミケルソン(写真は2019年のシュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン 撮影/姉崎正)

先週のPGAツアー「ノーザントラスト」には、フェデックスカップランク(FCR)67位で参戦したものの、初日に74を叩き、2日目に68で挽回したものの予選落ち。FCR75位に転落し、次週の「BMW選手権」に駒を進めることができなかった。2007年にフェデックスカップが始まって以来、毎年必ず「BMW選手権」には出場していたミケルソンだが、今年は予選落ちも多く、思うような成績を残すことができていなかったのだ。彼は「ノーザントラスト」で予選落ちしたのちに、3日後に始まるチャンピオンズツアーに急遽出ることを決断。突然のシニアデビューとなった。

「僕はずっと調子がよかったので、もっとプレーがしたかった。本当はシカゴ(BMW選手権)でプレーしたかったけどね。(BMW選手権、ツアー選手権に出場できないため)2週間、オフにはしたくなかった。だからシニアツアーに出ることにしたんだ。長い間会っていなかった人たちと競い合えるのをとても楽しみにしているよ」

大会前の会見でこう語っていたミケルソン。9月にはキャリアグランドスラム達成を目論む「全米オープン」も控えており、試合に出ることで自分の調子をキープし、精神的にも研ぎ澄まされた状態を保ちたかったようだ。

コースは距離もさほどなく、ドライバーを頻繁に使う必要もない。戦略的なティショットが必要とされ、正しいクラブで広いコースに向かって正しい場所にボールを運ぶことを必要とするコースだ。そんなコースでプレーすることで、自分のショットの精度を高め、積極的に攻めることもできたことに自信を持つこともできたようだ。

「リラックスしながら、自分の思うようにスウィングして積極的に攻めることもできた。こうしたことは最近、レギュラーツアーではなかなかできなかったので、いいチャンスだった」

また、最近では地元サンディエゴのティーチングプロ、デレク・ウエダにパッティングを習っているそうで、そのことも彼の好プレーを後押しした。彼は昔からショートパットに苦しみ、特に有名なシーンでは2006年にウィングドフットで開催された「全米オープン」で優勝を目前にしながら、ショートパットを外して2位に甘んじた、という苦い思い出がある。「パットが本当に調子いいんだ」と本人が語っているように、バーディ量産の陰にはウエダによる細かいストロークの分析と指導が奏功しているようである。ちなみにウエダはザンダー・シャウフェレ、チャーリー・ホフマン、D.A.ポインツ、クリス・ライリーなどを指導した経験を持つ。

今後は1週間半ほどオフを取り、2020〜2021年シーズン初戦の「セーフウェイオープン」に出場する。そして翌週の「全米オープン」に向けて調子を整えてくることだろう。過去、50歳になってシニアツアーで優勝し、翌週のPGAツアーでも優勝した選手にクレイグ・スタドラーやフレッド・ファンクがいるが、スタドラーは「突然、どうプレーしたらいいかがわかるんだ。熟成されたいいワインのボトルをゲットするかのように、50という数字は魔法の数字。また再びいいプレーができるようになるんだよ」

40代に入ると、以前のような勢いも自信も失って、優勝できなくなる選手は大勢いるが、ミケルソンの場合は違う。最近、トレーニングや食事面でのケアを入念に心がけているおかげで、「今までになく調子がいいし、飛距離も伸びている」と胸を張る。それはPGAツアーでの成績にも現れており、一昨年は「WGCメキシコ選手権」で優勝、昨年は「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」で優勝を果たしている。今年は優勝こそないものの、7月末の「WGCセントジュード招待」で2位に入り、50歳になっても若手に大きな存在感をアピールしている。

来月に予定されている「全米オープン」は2006年に優勝を逃し、悔しい思いをしたウィングドフットでの開催。50歳以上でのメジャー優勝は過去に前例がないが、今度こそ因縁の地でリベンジを果たし、キャリアグランドスラムを達成して欲しいと、全世界のゴルフファンが待ち望んでいる。

This article is a sponsored article by
''.