ミスが続いてイライラし、そのまま立て直せずにズルズル崩れて今日も100を切れなかった。プロも指導するメンタルトレーナー池努は、気持ちを切り替えるためのスイッチは意思の力を使わずに対処する方法「プリコミットメント」を勧めるという。一体どうやって?

事前準備できるメンタル対策「プリコミットメント」

あなたは、こんな経験をしたことがありませんか?

「〇〇な状況になったら☐☐をしよう」と決めたはずなのに、いざコースでプレーしていると忘れてしまって実践できなかった。そんな経験です。

たとえば、「ラウンド中は“決めたポイントをやりきる”というように決意した。しかし、いつの間にか決めたポイントではなく、スウィングのことばかり考えてしまい結局ゴルフが崩れたまま終わってしまった」

「ミスをしてネガティブになったら深呼吸をして気持ちを落ち着かせると決めたはずなのに、ミスをするとイライラして深呼吸どころではなかった」

画像: ミスをした後に意思の力を使わずに切り替えられる「プリコミットメント」を用意しておこう(写真/増田保雄)

ミスをした後に意思の力を使わずに切り替えられる「プリコミットメント」を用意しておこう(写真/増田保雄)

このように私たちはトラブルに対する対処など、あらかじめ決めていたことを意志の力だけで実践することを苦手としています。なぜ意志の力だけで対処するのが難しいかというと、大きな要因のひとつとして事前にトラブルへの対処を決めているときの冷静な感情と、ゴルフ中の感情は違うことがあげられます。

ゴルフだけでなく日常生活でもこれは起こることではないでしょうか。お子さんの言動に対してすぐに感情的になって怒ってしまう人が「今後は息子には感情的にならないで冷静に叱ろう」と決めたとしても実際に「怒りスイッチ」が入った状態では簡単には冷静になることは実践できないものです。

いくつかの研究によると上記のように意志の力を使い対処するやり方では、対処できる可能性は50%以下になるとも言われています。それぐらい決めたことを意志の力で実践し続けることは難しいのですね。

そこで今回の記事では上記のような課題に対する具体的な対策として「プリコミットメント」というメンタルテクニックを紹介していきます。このプリコミットメントとは、対処が難しいと考えられる出来事への事前対策のことを指します。

たとえば、いつも8時に起床しているところ、明日は5時に起きる用事があるとします。そこで、寝坊する可能性を回避するために「べッドの3メートル先に目覚まし時計を最大音量で設置しておく」こうすれば5時に起きざるを得なくなりますよね。この事例のように実践せざるをえない対策を講じておくことをプリコミットメントというのです。このプリコミットメントをゴルフに応用していくのです。

実際にサポートするプロゴルファーの方にもおすすめする方法に次のようなものがあります。「ミスをしてネガティブになり、切り替えたいときはスコアカードに挟んでいるメンタルメモを書いたカードを見る」という方法です。

このように、今回のラウンドで実践したいメンタルスキルを簡単に書き出したメモをスコアカードと一緒に入れておくなどの事前準備をしておくことで、想定外のミスやアクシデントがあり感情的になっていたとしても意思の力を使わずにトラブルへの対処をしやすくなります。

先ほどの目覚まし時計の例と同じように、ポイントは“意志を使わない対策”をすることです。スコアカードは定期的に必ず見るものですのでそこにメンタルのメモを書いていれば必ず目を通すことができます。こうしておけばラウンド中にミスをしてもイライラしたり、感情的になっているときでもメモを見ることで気持ちを切り替えるスイッチを入れやすくなるはずです。

イライラしたりネガティブになることは誰にでも起こります。その感情を切り替えてプラスに転じさせることが重要です。他にもやろうと決めていることを誰かと約束することもおすすめです。「ミスをしてネガティブになったらプラスのセルフトークで気持ちをきりかえる」というテーマをメンタルコーチとしっかりと約束していればおのずと実践しやすくなります。

メンタルトレーニングを本などで勉強し理屈は分かったけど試合ではうまく学んだ知識を活かせていないというゴルファーはこのプリコミットメントを活用すると良いと思います。

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