460ccの大型ドライバーがどうも苦手、というゴルファーは一定数いる。それは一体なぜか? どうしたら振りやすくなるのか? そこを考え続けるギアライター高梨祥明が自らの考えを述べる。

大型ドライバーがうまく使いこなせない。そこで考えたのが“ヘッドの軽量化”

今回のお話は、ゴルフ業界のトレンドというわけではなく、筆者自身とその周辺で少しだけ盛り上がっているゴルフクラブのヘッド重量設定の話である。最初にキーワードを明示しておくと“ヘッドの軽量化”がテーマ。

画像: メタルヘッドからチタンの大型ヘッドにギアが進化してもドライバーのヘッド重量は200グラムを目安に作られている

メタルヘッドからチタンの大型ヘッドにギアが進化してもドライバーのヘッド重量は200グラムを目安に作られている

たとえば、ドライバーヘッドの場合、200グラム以内を一つの目安として作られている場合が多いが、どうやらその重さに“やられている”ゴルファーが少なくないのではないか? そういう実感がある。それは次のような実験をここ数年繰り返してきたことで行き当たったものだ。とりあえず、この3年間でやったことを列記してみたい。

・とにかく硬いシャフトを探して装着する
・超カウンターバランスにする
・40インチまでシャフトを短くする

これは試してみたことの大雑把な順番であるが、結果として、とにかく硬いシャフトを選び、さらに短尺仕様にすれば、最近の大型ドライバーの操作性がアップして“苦手意識”がなくなってくることがわかった。もちろん、その効果は使い手による。正解・不正解とかではなく、従来のドライバーがうまく打てない場合は、超硬・短尺仕様にすることで一定の成果が見込める感触を得た、そういうことである。

硬い、短い、カウンターバランスなどと書くと、それぞれに異論反論が出てきそうだが、そのどれもが実は同じことを目的として試されたものである。その目的は、結局、“ヘッドを軽くしたかった”、のである。

画像: メタルヘッドの時代もドライバーヘッドは、200グラム前後が目安で作られた

メタルヘッドの時代もドライバーヘッドは、200グラム前後が目安で作られた

シャフトを硬くすれば、ヘッドが軽く感じられる。カウンターバランスにして手元側を重たくすれば、ヘッドが軽く感じられる。シャフトを短くすれば、やはりヘッドが軽く感じられる。200グラム前後で作られている従来のドライバーヘッドで、振りやすさや操作性を上げていきたい。あるいは他のクラブ(アイアンやウェッジ、パター)との繋がりをアップさせたいと考えた時に、経験的にやりたくなってしまった方法が、“ヘッドを軽くする(感じさせる)”ことだったのである。

重たいヘッドを使いやすくするためのシャフト中心のフィッティング法

現在の大型ドライバーがうまく打てず、硬い、短い、カウンターバランスなどを施したらそこそこ打てるようになった。そういう体験をすると、ヘッドが重さに“やられていた”可能性が濃厚だと考えるようになる。そして、シャフトが長く、よくしなり、ヘッドの効いた仕様の“振り感”に、どんどん違和感を感じるようになってくる。

クラブにうまく順応し、良い結果を出すのが、スキルアップ(上達)ということもいえるから、現代ドライバーに対応できていない現状は、客観的にみれば“自分が下手だから”ということになるのかもしれないが、実際はクラブ自体の振りやすさを変えてあげれば、格段に打てるようになる。もっとビュン! と振れるようになる。もっと狙ったところに、遠くに飛ばせるようになる可能性も十分にあると思うのである。その鍵を握っているのが、“ヘッド重量”なのではないかと思うのだ。

画像: 460cc時代もヘッド重量は200グラムが標準的。同じ重さでより体積を大きくする。それがヘッドの進化だった

460cc時代もヘッド重量は200グラムが標準的。同じ重さでより体積を大きくする。それがヘッドの進化だった

試しに、愛用ドライバーのヘッド部を上に、グリップを下にして素振りをしてみていただきたい。誰もが小気味よく、ビュン!と振れるようになったはずである。この状態は、超カウンターバランス/しならないシャフト(硬さ)が、もたらしたものである。同じクラブでも、先端(ヘッド)の重さ次第で振りやすさをコントロールできるということだ。

女子ツアーでヘッドの“ウェイト外し”が流行った! 巷で“軽・硬シャフト”が流行った! 米ツアーで“短尺ドライバー”が増えた! など、ドライバーのチューンに関する話題が定期的に出てくる昨今だが、これも目的は同じなのではないかと思う。そのどれもが重たいクラブヘッドを自分に合う“振りやすさ”に整えるためのアイデア。苦肉の策に見えるのである。

だからこそ、ヘッド重量のバリエーションがこれからのカスタムフィッティングには必要なのではないかと思う。重心を動かすためのウェート可変機能も重要だが、もう一つ、ヘッド重量を“マイナス”するためのウェイトシステムがあると非常にありがたい。そんなふうに思うのだ。

現在のフィッティングは、進化した最新ヘッド(重め)で好結果を出すための“個別シャフト選び”が主流となっている。しかし、使いやすさ、振りやすさに大きく影響するヘッド重量を選ぶことができたなら、シャフトの細かいフィッティングも今ほど必要でなくなってくる可能性もあるのではないだろうか。もちろん、ヘッドを軽くし過ぎれば、インパクトエネルギーが減るなどの不都合も出てくるのかもしれないが、そこは研究の余地である。振りやすさを変え、エネルギーロスも引き起こさない良き塩梅(新基準)も生まれるのではないか、と思う。ゴルフクラブに合わせてゆっくり振るのではなく、ある程度自分の力で“ビュン!”と振れることを基準にクラブ選びをしていくことが、振る力を維持し、ゴルファー寿命を伸ばすことにも繋がる。そんな思いもあるのである。

振りやすさとは人が感じるものであり、みんなが一律のスペックでいいということには絶対にならない。だからこそ、バリエーションが必要ともいえるのだ。ヘッドが重たいか、軽いかというのも、方法論の一つに過ぎない。目的は気持ちよくクラブを振って、狙ったエリアにボールを運ぶことである。

写真/高梨祥明

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