「ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント」で今季初優勝を挙げた小祝さくら。笹生優花とデッドヒートを繰り広げ、惜しくも2位に終わった翌週にコースレコードで優勝へと上り詰めたスウィングをプロゴルファー・中村修が解説する。

抜群のショット力にパットが噛み合って6打差圧勝

先週の小祝選手は、所属先のホステス大会であり出身地でもある北海道で開催された「ニトリレディス」で、2戦連続優勝を狙う笹生優花とマッチプレーのような優勝争いの末、2打差で優勝を逃しました。

普段はあまり感情を表に出さない小祝選手ですが、記者会見で開口一番「一番は悔しい。パットが入らなかった」と話していたことが印象に残っています。

しかし、その1週間後には、好調のショットに加えパッティングも修正し2位に6打差をつけて見事に優勝を手にしたのだからすごい。

全英女子オープン(AIGオープン)への出場資格を得ていましたが、国内ツアーに専念することを選択し「ニトリレディス」で2位、今大会で優勝としっかりと結果を残した点も素晴らしく、悔しさをバネにツアープロとして大きく成長した姿を見せてくれたのではないでしょうか。

画像: 「ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント」で今季初優勝をコースレコードで飾った小祝さくら(写真/大澤進二)

「ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント」で今季初優勝をコースレコードで飾った小祝さくら(写真/大澤進二)

スタッツを見ても54ホール中45ホールパーオンして全体の2位、パット数27.67で全体の3位と3日間を通してショットとパットがかみ合っていたことがわかります。

地面反力を積極的に使うスウィング

改めてスウィングを見てみると、左右のブレが非常に少ないスウィングです。地面からの反力を積極的に使うことで回転力を得て、体の回転に伴ってフェースをターンさせるタイプですね。

その際、手先でフェースをターンさせるのではなく、下半身で作った回転力を体幹に伝え、最終的にへッドにエネルギーを集約して飛ばしています。

まず画像Aのアドレスとトップの位置を見ると、バックスウィングでの右サイドへの移動は最小限で、深い捻転のトップが取れています。

画像: 画像A オーソドックスなスクェアグリップで握り右への移動は少ない深く捻転されたトップ(右)(写真は2020年「ニトリレディス」代表撮影/上山敬太)

画像A オーソドックスなスクェアグリップで握り右への移動は少ない深く捻転されたトップ(右)(写真は2020年「ニトリレディス」代表撮影/上山敬太)

続いて画像Bは切り返しの瞬間ですが、左足のつま先に目を向けると、トップからの切り返しで左のつま先に加重されている(右写真)ことが確認できます。トップに向けて右足のかかとに加重されたものが、左のつま先に移動していくことで、このあとに見られる地面からの反力を得る動きにつながっていきます。

画像: 画像B トップで右のかかとに加重し(左)切り返しでは左足つま先に移動(右)させることで地面からの反力を効率的に使えるようになる(写真は2020年「ニトリレディス」代表撮影/上山敬太)

画像B トップで右のかかとに加重し(左)切り返しでは左足つま先に移動(右)させることで地面からの反力を効率的に使えるようになる(写真は2020年「ニトリレディス」代表撮影/上山敬太)

画像C左を見ると、インパクト前の段階で、すでに左ひざが伸びていることがわかります。積極的に地面反力を使うタイプの場合、左つま先を踏み込んで左ひざを伸ばすことで回転力に変換しますが、インパクト前にはすでにひざが伸びていることが重要です。それにより回転力を得たいわけですから、インパクト後では遅いからです。

また、頭の高さが変わらず、前傾角度が崩れていないこともポイントとなりますが、小祝選手の場合それらの条件すべてが満たされているのがわかります。

画像C右のインパクトでは、反力を受けて左足のかかとは浮いていますが、つま先は残っています。それだけしっかりと地面を踏んでいることがわかります。

画像: 画像C 地面を踏み込みひざを伸ばすことで地面からの反力を回転力に変換する場合、頭の高さはキープされつつインパクト前には左ひざが伸びていることが重要(写真は2020年「ニトリレディス」代表撮影/上山敬太)

画像C 地面を踏み込みひざを伸ばすことで地面からの反力を回転力に変換する場合、頭の高さはキープされつつインパクト前には左ひざが伸びていることが重要(写真は2020年「ニトリレディス」代表撮影/上山敬太)

安定したショット力に優勝争いの中でも目標とするスコアに集中し自分のプレーに集中できるメンタル。そして悔しい思いから1週間で修正したパットと総合力がグンと高まった小祝選手。3勝目、そして賞金女王という大きなタイトルを目指したいと顔を上げて語りました。

同世代や下の世代の活躍に刺激を受けながら、地道にコツコツと努力を積み重ね、一歩一歩成長していく小祝選手の活躍、これからもますます期待できそうです。

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