PGAツアー最終戦「ツアー選手権」を制し年間王者に輝いたダスティン・ジョンソン。19-20シーズンは3勝を挙げ世界ランクも1位とキャリアハイのシーズンを締めくくった。この強さは一体どこにあるのか。プロゴルファー・中村修が考察した。

スウィングと現代のギアが最高のマッチングを見せている

長く世界ランク1位に在位し、間違いなく現代最強のプレーヤーの一人でありながら、メジャーはいまだ1勝。シーズン通しての波も見られ、何かが足りない印象を受けることもあったダスティン・ジョンソン(DJ)。

しかし、長い中断が開けて以降の今シーズン終盤にかけては、今が全盛期なのでは? と思わせる活躍を見せてくれています。その要因は3つあると私は思います。

画像: 19-20シーズンにツアー選手権を含め3勝を挙げ年間王者に輝いたダスティン・ジョンソン(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

19-20シーズンにツアー選手権を含め3勝を挙げ年間王者に輝いたダスティン・ジョンソン(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

ひとつはギアです。ダスティン・ジョンソンといえばフェースの開閉を抑え、体の回転スピードで飛ばすプレーヤー。そんなスウィングの特性に、現代の大型ヘッドドライバーと、スピンの少ないボールは非常によくマッチしています。クラブの進化の方向性が、DJのスウィングとピッタリとマッチした。これは小さくありません。

また、今シーズンは7番ウッドやユーティリティなど、以前ならDJが絶対にセットに入れなかったようなクラブもバッグに入れており、強い武器となっています。

もうひとつ、「スパイダー」パターの存在も見逃せません。実はDJは本来はクラシカルなブレード型パターを好む選手。ですが、それでは結果が出ないことから、大型マレットで非常に重心が深いスパイダーパターに、操作性を高めるショートスラントネックを装着したモデルを使用しています。

自分の好みに固執せず、結果の出るクラブを選べる。最近のDJには、このような発想の柔軟性を感じます。

画像: 契約するテーラーメイドのクラブ、ボールのギアとダスティン・ジョンソンのスウィングがマッチしたという

契約するテーラーメイドのクラブ、ボールのギアとダスティン・ジョンソンのスウィングがマッチしたという

ふたつ目のピースはスウィングです。これは「変わらない」ことが強み。試しに2015年と2020年のスウィングを比較してみましたが、ややトップがコンパクトに収まるようになった以外、大きな変化は見られません。

画像: 左は2015年のキャデラック選手権、右は2020年のWGCメキシコ選手権わずかにトップでのクラブの位置がコンパクトになっている(写真/姉崎正)

左は2015年のキャデラック選手権、右は2020年のWGCメキシコ選手権わずかにトップでのクラブの位置がコンパクトになっている(写真/姉崎正)

長く彼のコーチを務めた名伯楽、ブッチ・ハーモンに指導を受ける際、左手首が手のひら側に折れるクセを直したほうがいいかと尋ねると、ブッチは直さなくていい、それよりも球筋をフェードに変えて100ヤード以内を徹底的に磨くようにとアドバイスしたと聞きました。

そのスウィングと、前述したようにギアの進化が重なったことが、今大きなアドバンテージとなっているのは間違いがありません。

最後のピースはメンタル面です。以前は些細なことから崩れるもろさをどこかに感じさせましたが、2015年に第一子、2017年に第二子がパートナーとの間に生まれてから、メンタル面から崩れることが少なくなったように感じます。

メンタル面が落ちついたことで、プレッシャーのかかる場面でもピンを狙うショットを打て、決めるべきパットを落ち着いて決められるようになったのではないでしょうか。

2008年の初優勝から毎年欠かさず優勝を積み重ね、PGAツアー22勝を挙げているDJ。PGAツアーの2019-2020シーズンは終了しましたが、すぐに2020-2021シーズンが開幕します。延期になっていた全米オープンは来週、マスターズは11月に開催されます。メジャー2勝目を目指す円熟味を増したDJの快進撃はまだまだ続くのではないでしょうか。

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