プレーオフ最終戦「ツアー選手権」の決着をもって、PGAツアー2019-20年シーズンは終了となった。早くも今週開幕する2020-21年シーズンを前に、今季の松山英樹の活躍を、在米ゴルフジャーナリスト・アンディ和田がデータから分析した。

賞金ランク12位でフィニッシュ

PGAツアー2019-20年シーズンが終了しました。新型コロナウィルスの影響で3カ月の中断があったことで行われたメジャー大会は1試合のみという変則シーズンとなり、開催された試合数は36試合(前年度は46試合)でした。

画像: フェデックスカップランク10位、賞金ランク12位でPGAツアー2019-20シーズンを終えた松山英樹(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

フェデックスカップランク10位、賞金ランク12位でPGAツアー2019-20シーズンを終えた松山英樹(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

2013年にプロ転向し2014年からアメリカでフルシーズンを戦っている松山英樹は、7年目も上位30位までしか出場できない最終戦の「ツアーチャンピオンシップ」まで戦い抜きました。2013年のプロ転向時からの米ツアー成績は下記の通りです。

年度試合数予選通過優勝2位3位トップ1025位以内FEDEXランク獲得賞金 ($)賞金順位
20136626690,473
2014242011412282,835,07727
2015252312919163,758,61915
2016231711814134,193,9549
201722203371288,380,5704
20182118412132,687,47739
20192422271593,335,13723
2020201712513153,665,82512

ここで注目していただきたいのはフェデックスカップではなく賞金ランクの順位です。「フェデックスカップ」というシーズンを通してのポイントレースはプレーオフの3試合(過去は4試合)でポイントがリセットされ、最終戦をハンディ制にしたことで、年間を通じてのパフォーマンス評価の指標としては賞金ランクのほうが比較しやすいと感じます。

2016年には賞金ランク9位、2017年に3勝を挙げて賞金ランク4位という好成績を残していましたが、今シーズンは過去3番目の賞金ランキング12位というポジションでシーズンを終えています。昨年秋に日本で開催された「ZOZOチャンピオンシップ」での2位、そして2週間前の「BMWチャンピオンシップ」と韓国開催「CJカップ」の3位という結果が光っています。

ショット力は全選手中2位と過去最高

細かいショットデータをチェックしていくと、ツアーでの屈指のショットメーカーと評価される松山のショットの安定度が確認できます。

グリーンまでたどり着くまでのショット力を評価する指標「ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーン」では、シーズン3勝を挙げて賞金ランクトップだったジャスティン・トーマスに次いで2位で、 ジョン・ラームやダスティン・ジョンソンよりも高い数値でした。この部門の過去7年間では今年の2位が最高順位でした。PGAツアー全選手の中でショット力が2位ですから、非常に高い精度を誇っていることがわかります。

【松山英樹の歴代SG:ティ・トゥ・グリーン順位】
2014:4位
2015:7位
2016:6位
2017:3位
2018:16位
2019:3位
2020:2位

そして今年躍進を見せたのはグリーン周りのデータ(ストローク・ゲインド・アラウンド・ザ・グリーン)でした。2020年シーズンの松山はこの部門で6位。グリーン周りからのアプローチは現地の様々なメディアでも注目されるほどです。

【松山英樹の歴代SG:アラウンド・ザ・グリーン順位】
2014:43位
2015:26位
2016:94位
2017:16位
2018:60位
2019:12位
2020:6位

そして、グリーン上の総合指標となるストローク・ゲインド・パッティングはシーズン170位でした。

【松山英樹の歴代SG:パッティング順位】
2014:156位
2015:86位
2016:102位
2017:167位
2018:78位
2019:97位
2020:170位

パッティングの距離に分別すると、

3メートル以内:154位
3メートル~4.5メートル:157位
4.5メートル~6メートル:139位
6メートル以上:61位
3パット防ぎ率:142位

というデータが残っています。

ショットとグリーン周りの数値がとても良いので、どうしてもパッティングのランクを指摘することになってしまいがちですが、プレーオフ2戦目「BMWチャンピオンシップ」で見せたような粘り強いパーパットを沈めることができた好材料があります。パッティングの好不調の波が穏やかになってきている予感はあります。今シーズンの一番の収穫はやはり、グリーン周りと、数字には表れない部分でパッティングのスキルがアップしてきたことではないでしょうか。

そして、今週からすぐに新しいシーズンが始まるPGAツアー。来週は全米オープン、11月にはマスターズというメジャー競技が迫ってきています。

メジャー競技の厳しいセッティングに対しても、ショット力、そしてグリーン周りのリカバリー力のある松山には期待して良いと感じています。

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