PGAツアー2019-20年シーズン最終戦「ツアー選手権」を制し、自身初の年間王者の座を勝ち取ったダスティン・ジョンソン。そんな彼が、自身の好調ぶりについてコメントした。

新型コロナウイルスの影響で、6月のPGAツアー再開以降、異例の無観客&PCR検査でのトーナメント開催が続いているが、先日の「ツアー選手権」でひとまず2019〜2020年シーズンが幕を閉じた。

3週間の「フェデックスカップ・プレーオフ」を経て、フェデックスカップチャンピオンに輝いたのは、ダスティン・ジョンソン。プレーオフシリーズの3試合を「ノーザントラスト」優勝、「BMW選手権」2位、「ツアー選手権」優勝と圧倒的な強さを見せ、見事、初のフェデックスカップトロフィと約16億円のボーナスを手繰り寄せることができたのだ。ちなみに、最終戦の「ツアー選手権」にフェデックスカップ1位として乗り込んだ選手で、総合優勝を果たした選手は2009年のタイガー・ウッズ以来のことである。 

画像: ツアー選手権を制し、2019-20年シーズンの年間王者となったダスティン・ジョンソン(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

ツアー選手権を制し、2019-20年シーズンの年間王者となったダスティン・ジョンソン(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

「フェデックスカップチャンピオンになれて、とても満足しているし、誇りに思う。フェデックスカップチャンピオンは、自分が本当に欲しかったものであり、そのトロフィを手にしたかったんだ。僕のゴルフ人生で達成したいことの一つだった」

ツアー最終戦の「ツアー選手権」連続出場回数は12回だが、これはツアー最多記録。2014年は個人的な理由により欠場しているが、長年に渡って世界ランクもトップ10を外すことのない、非常にステディなプレーヤーである。特に今年の彼は、8月初旬の全米プロ2位に始まり、4週間で“優勝2回、2位が2回”とここ1ヶ月の絶好調なプレーぶりが光っていた。

だが、それ以前はどうだったのか? 彼の今年の終盤までの活躍ぶりが思い浮かばない人も多いのではないか、と思う。実際、コロナでツアーが中断するまで、1月の「セントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ」の7位が最高位だった。6月の再開初戦の「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」では予選落ち。2週後の「トラベラーズ選手権」で今季1勝目を挙げたものの、「メモリアルトーナメント」では連日の80叩きで予選落ちである。しかもその翌週の「3M選手権」は棄権。「今年のDJは調子が悪いな」と思ったゴルフファンも多いだろう。

事は昨年に遡るが、昨年の「ツアー選手権」は実は最下位で終了していた。その2週間後に左ヒザの手術を決行。12月の「プレジデンツカップ」まで3ヶ月間をヒザの治療とリハビリに充てていた。そして今年は「トラベラーズ」で優勝後、背中痛のためMRI検査を受けている。ヒザのケガが治ったと思いきや、背中痛を患っていたため、思うようなプレーができなかったのだ。

「去年、何が起こったのかすら覚えていないよ。ずいぶん昔の話だからね」

「(メモリアルで80を叩いていた頃のことは)覚えてないね。あまり調子が良くなかっただけだ」

彼はもともと言葉数の多いタイプではないが、特にネガティブな事象について深く語ることはない。記者からのネガティブな内容の質問に対して「よくわからない」「覚えていない」という言葉は彼の口からよく聞かれるが、本当にそうなのか、あるいはなるべくネガティブなことは考えたくないと軽く受け流す「メンタルコントロール術」なのかは定かではない。しかし、調子が悪くても淡々とプレーして、悪い時をやり過ごす態度は、長年に渡って世界ランク上位をキープしている秘訣なのかもしれない。

「全米プロ」で2位に入ると、元世界ランク王者は息を吹き返す。まるで別人のように自信と強さを取り戻し、世界ランク1位、フェデックスカップ1位の座を巡ってジョン・ラームと激しいバトルを展開した。

圧巻は「BMW選手権」最終日の二人の戦いだろう。最終日の18番グリーンで約13メートルのロングパットを入れてプレーオフに持ち込んだジョンソンに対し、プレーオフでジョン・ラームは約20メートルの超ロングパットをカップイン。優勝を決めた。今年は無観客のため、ギャラリーたちの興奮に満ちた大歓声はなかったものの、世界ランク1、2位の激突が大いにツアー終盤戦を盛り上げた。

ここのところの自身のプレーぶりについて、ジョンソンは以下のように語っている。

「今までで恐らく今が、最もベストなプレーができている。全てのことがかみ合っていて、自分のやっていることにすごく自信があるんだ。ここ4週間、とてもいいプレーができており、非常に満足している。非常に安定感があるし、ゲームのどのパートにおいても、すべてうまくいっている。今日は優勝できるかどうか、自分でよくコントロールできていたと思う」

記者からの「世界で最高のプレーヤーだと思うか?」の問いに対し、迷いも遠慮もなく「そう思う」と答えたジョンソン。今週から早速来季のシーズンが始まるPGAツアーだが、春先のコロナによるツアー中断の煽りを受け、過去に例のないほど試合数が増えている。毎週のように試合があり、しかも「マスターズ」や「全米オープン」に関しては、異例の年間2回開催となっているため、体調管理さえしっかりできれば、好調を持続できるジョンソンのようなタイプには圧倒的に有利な1年となるだろう。

ツアー通算23勝目を挙げ、自信に満ち溢れたDJ。ここ数年は弟分のブルックス・ケプカに押され気味だったが、2021年シーズンは再び絶対王者として抜群の強さを見せつけるのではないか。来週にはウィングドフットでの「全米オープン」を控えているが、彼の好調ぶりが今後どこまで続くのかにも注目が集まる。

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