第120回「全米オープン」がニューヨークのウイングドフットGC西コースで現地時間の17日木曜日から開催される。毎年開催コースの変わる全米オープンで、日本のエース松山英樹はどんな戦いを見せてくれるのか? コースとの相性は? 在米ゴルフジャーナリストアンディ和田がレポート。

ハンディ10がプレーしたら軽く100を叩く超難関コースで開催

新型コロナウイルスの影響で延期になっていた全米オープンが3カ月遅れでやっと開催になります。今年のコースは大都会ニューヨークからすぐ近くの名門ウィングドフットGC(西コース)です。ここでで全米オープンが開催されるのは今回で6度目、2006年大会よりも213ヤード距離が長くなり総ヤーデージは7477ヤード。パーは70と変わりませんが、今年は5番がパー5、9番をパー4と入れ替えています。 コースレートは76.9。 今年はとても深いラフのセッティングで現地の解説者は優勝スコアーは間違いなくオーバーパー。 ハンディ10のアマチュアゴルファーがプレーをしたら軽く100を叩くだろうと話していました。

さて日本からは松山英樹、石川遼、今平周吾、そしてアマチュア世界ランク1位の金谷拓実の4選手が参戦しますが、ここでは優勝候補にも挙げられる松山英樹に注目します。

画像: 第120回「全米オープン」に出場する松山英樹(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

第120回「全米オープン」に出場する松山英樹(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

松山の全米オープンは今年で8回目。 初出場は2013年で、日本国内で行われた予選をトップ通過して出場権を獲得しました。難易度の高い名門メリオンGCで最終日に「67」の好スコアを叩き出し、10位タイでのフィニッシュでした。

下記のリストは過去7年間の全米オープンの結果です。

年度開催コース(パー)順位初日2日目3日目最終日スコア賞金(米ドル)
2013メリオンGC東(70)10位71757467287 (+7)168,530
2014パインハーストリゾートNO.2(70)35位69717474288 (+8)46,803
2015チェンバースベイ(70)18位70717270283 (+3)113,686
2016オークモントGC(70)予選落ち7478  152 (+12)0
2017エリンヒルズ(72)2位74657166276 (-12)1,050,012
2018シネコックヒルズGC(70)16位75707966290 (+10)163,435
2019ペブルビーチGL(71)21位69737070282 (-2)117,598
2020ウィングドフットGC(70)

2016年大会で予選落ちがありますが、翌年2017年は2位タイフィニッシュ。 エリンヒルズでは最終日に14位からスタートして6アンダー「66」と追い上げ日本人選手としては最上位タイの2位でフィニッシュしました。過去7回参戦で獲得賞金は166万ドル(約1億7500万円)、1打毎の賞金は約9万9000円という計算になります。

全米オープンといえば、狭いフェアフェイ、深いラフ、速く硬いグリーンという厳しいセッティングで粘り強いゴルフを要求されるセッティングで有名です。「オールドマンパーとの戦い」とよく表現されますが、松山対「オールドマンパー」とのラウンドはアンダーパーが10回、イーブンパーが2回。過去26ラウンドの内訳は10勝14敗2分となりますね。

今回のウィングドフットGC(西コース)は巨匠A.W.ティリングハスト氏の最高作と評価が高いコースです。米ゴルフダイジェストの最新USAゴルフコースランキングでは11位。松山にとっては初めてのウィングドフット挑戦となりますが、過去に松山がPGAツアーで経験したティリングハスト設計のコースでは予選落ちはなく、安定した好成績を収めています。

2019全米プロベスページパーク(黒)16位3オーバー
2018ノーザントラストリッジウッドCC15位3アンダー
2016全米プロバルタスロールGC(L)4位9アンダー
2014バークレイズリッジウッドCC30位4アンダー

コース設計家との相性は重要な要素の一つといっていいでしょう。 加えて、主にショットの精度を表す指標である「ストロークゲインド ティートゥグリーン」でシーズン2位とショットメーカーの松山にとっては嫌いなコースではないのではないかと感じます。

ティショットでドローフェードを打ち分けて攻めるプレースタイル、抜群の切れ味を持つアイアンショット、そしてどこからでも寄せてくるアプローチを持つ松山にとって、難易度は高いコースですが、相性は悪くないと思います。

全米ゴルフ協会のセッティングは時にはサディスティックで究極の我慢比べとなりますが、グリーン周りのタッチも向上しているので松山がグリーンを外したときにどのようにパーを拾ってくるかにも注目です。

最後にウィングドフットGC西コースはパー3を除く14ホールのうち、左にドッグレッグするホールが7ホールもあります(右ドッグレッグは4ホール)。 持ち球が左から右に曲がるフェードボールヒッターのダスティン・ジョンソンやジャスティン・トーマス、ジョン・ラーム、トニー・フィナウらにはやや不向きと感じる解説者の意見もあります。

ドローヒッター有利だとすると、ローリー・マキロイ、ザンダー・シャウフェレ、アダム・スコットに有利という意見もあるようです。松山英樹も調子が良い時はしっかり球がつかまるドローボールが武器だと私は感じるので今週は十分期待して4日間見守りたいと思います。

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