不安やイライラやプレッシャーを感じているとき、それが他人ならば「イライラしても仕方ないよ、切り替えていこう!」と声をかけられるが、自分となるとそう簡単に客観的には見ることができなくなるもの。自分の問題を他人事のように客観視するための方法を、プロも教えるメンタルコーチ・池努に教えてもらった。

もう一人の自分にキャディをしてもらおう

私たちは他者に起きた問題に対してアドバイスすることよりも、自分の問題に対して自分で冷静にアドバイスすることを苦手としています。

たとえば、あなたが車通りの多い二車線の道路で車を運転しています。そして、あなたの目の前の車(以下A)が急いでいるのか、車線変更を繰り返しながら、少し危ないと感じる運転をしています。その後、赤信号になり左車線にあなたが停車したら右手の追い越し車線でAと横並びになりました。そして、あなたは思うのです。「混んでいるんだから車線変更してもあまり意味ないよ。冷静に運転したらいいのに」と。

しかし、逆にあなたがAの立場ならどうでしょう。目的地に向かい到着時間がギリギリか遅れてしまう立場だったとすると上記のあなたのような冷静な考え方ができるでしょうか?

画像: プロならば「帯同キャディ」に話を聞いてもらえるが……アマチュアならば「セルフキャディ」と会話して、イライラをなくそう

プロならば「帯同キャディ」に話を聞いてもらえるが……アマチュアならば「セルフキャディ」と会話して、イライラをなくそう

多くの人にとって、このような思考を持つことは難しいはずです。ゴルフでも同じです。ミスを連発してへこんでいる後輩がいたら「ミスはあるものだから次に切り替えなよ」と簡単にアドバイスできるはずですが、自分がミスを連発しているときに後輩への声掛けと同じように自分にアドバイスできるでしょうか。やはり自分事になると主観的な感情が生まれ、客観的な思考は難しくなるのです。

このように私たちは自分に不安や焦り、プレッシャーやストレスを感じているときに自分を客観視することは簡単ではありません。そして、今回あなたに提案したいメンタル改善法は「自分の問題を他人事で考える」という手法になります。これを実践することで気持ちの切り替えはすごく円滑になります。

この「自分の問題を他人事で考える」効果はカナダのウォータール―大学の研究で効果が実証されています。実験ではまず被験者を次の2グループに分けます。

A:自分の問題を自分で解決策を考える
B:自分の問題が親友に起きたとして解決策を考える
(※問題とは金銭問題、試験への不安、他者とのトラブルにまきこまれるなど)

このように自分目線での解決案と他者からの目線での解決案を出し、その案を第三者に採点してもらったところ、結果は自分の問題が親友に起きたとして考えたBグループの得点がAグループの2倍近く高い点数になったのです。

この実験で分かったように人は主観を離れ他人事で問題をみつめることで脳は客観的視点になり、問題を冷静な判断をしやすくなるのです。つまり、自分の問題を主観で見つめて問題解決をするよりも、他者目線で客観的に観る方が問題解決しやすいのです。

では、どのように「自分の問題を他人事で考える」ことをすればいいのかというと、よくサポートするプロゴルファーにリクエストするのは「セルフキャディ」です。これは自分のゴルフをもう一人の自分がキャディーとして観ているイメージです。

判断に迷ったり、ミスにイライラしたら、ミスが続いて焦ったりとしたときに「セルフキャディ」にアドバイスを求めるのです。「次のショット、どこを狙おうか悩む。どうしたらいい?」、「ミスが続いてほんとへこむわ~。どうしたらいい?」というように。

そして、後輩にアドバイスするかのように客観的に回答するのです。元女子プロゴルファーの宮里藍さんも著書「I am here.」(角川新書)で他人を見るような目で自分と会話をできているときは冷静でいることができ、自分自身をニュートラルな状態に戻せていたと言っています。

今回の記事では「自分の問題を他人事で考える」ことで冷静な感情にアプローチすることをおすすめしていきました。すごく効果的な手法です。ぜひ、実践で試してみてほしいと思います。

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