秋の新商品が各メーカーから続々と発売されているが、そのうちのひとつがテーラーメイド「ミルドグラインド2ウェッジ」タイガーモデルだ。タイガーファンなら一度は使ってみたいと考えるウェッジをゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが試してみた。

“タイガーと同じ”ウェッジの使い心地は?

9月の新製品発表ラッシュに少し埋もれた格好になってしまったが、テーラーメイドから「ミルドグラインド2 タイガー・ウッズ スペシャルエディション グラインド ウェッジ2本セット」(※以下『タイガーグラインド』)が、9月11日に数量限定で発売になっている。

同社のセレクトフィットストア限定販売で、専用のBOXにタイガー・ウッズからのサンクスレターがついたコレクターズアイテムだ。価格は8万円税抜。ウェッジ2本の価格としては高価だが、タイガーの限定品と思えば、十分納得できる。

「ミルドグラインド2」は、ソールを機械加工で仕上げていて、製品精度が高いことを売りのひとつにしている。タイガー・ウッズは毎試合ウェッジを変えるほど、新品ウェッジの溝とフィーリングにこだわりがあるため、形状の個体差が少なく、常に同じものが出来るこの製法を気に入っているという。

画像: テーラーメイドから「ミルドグラインド2ウェッジ」タイガーモデルが発売された

テーラーメイドから「ミルドグラインド2ウェッジ」タイガーモデルが発売された

今回の「タイガーグラインド」は、そんな同モデルの特徴を活かし、タイガー・ウッズのために施されたソールグラインドを再現した、文字通り、タイガー仕様のウェッジだ。よく知られているように、ツアープロはウェッジを削って、自分好みのソール形状にして使っている選手が多い。つまり、この「タイガーグラインド」はタイガーのノウハウの詰まったソール形状を市販化するという試みなのだ。これはギアマニアでなくても、がぜん期待感が高まるクラブだろう。

ミルドグラインド2 タイガー・ウッズ スペシャルエディション買ってみた

さて、アメリカでもこの限定セットは販売されるのだが、彼国ではBOXがついていない「タイガーグラインド」単品での販売も行っている。セットが799ドルに対し、そちらは1本199ドルとかなりリーズナブル。BOXとタイガーのサンキューレターは捨てがたいが、それを我慢すれば、こちらのほうが手は出しやすい。いわゆるコレクターズアイテムとしてではなく、実使用のために、リシャフト前提で購入するのにも良さそうだ。

限定セットのシャフトは「ダイナミックゴールド ツアーイシューS400」が装着されているが、ヘッドは限定モデルとの違いはなさそうなので、筆者は単品販売の並行輸入品を56度、60度の2本で購入してみた。シャフトはツアーイシューではなく、通常の「ダイナミックゴールド ウェッジフレックス」だ。

見た目はプロパー品の「ミルドグラインド2」とほとんど変わらないが、ロフト角56度のバックフェースには、タイガー仕様を表す「TW-12°」の刻印がある。ロフト角60度は「TW-11°」だ。この数字はバウンス角を表していて、意外にもバウンス角が大きいことがわかる。ちなみにプロパー品の60度はバウンス角8度。一般ゴルファーが使用するモデルより、「タイガーグラインド」のほうが、バウンス角が大きいのだ。

画像: 56度のバックフェースにはタイガー仕様を示す「TW」とバウンス角を示す「12」と刻印がある

56度のバックフェースにはタイガー仕様を示す「TW」とバウンス角を示す「12」と刻印がある

形状の一番の違いは、リーディングエッジ部分だ。「タイガーグラインド」は大きく面取りがしてあり、表示上のバウンス角が大きいのは、この削りが影響しているところもあるだろう。こうした形状だと、刃の部分は芝に入りやすく、その後でバウンスが受けるかたちになる。

練習場のマットはもとより、花道やラフなど状況の異なる芝の上からも打ってみたが、どんな局面でも、まずボールの下に歯が入って、それからソールが当たって抜けていく。これは56度、60度ともに共通する特徴で、お助け要素を強く感じる形状だ。

56度は、フェースがより起きるようなバウンス効果を感じるソールで、やや低めにボールを前に飛ばしたくなる挙動だ。足を使ったピッチエンドランや距離のあるバンカーなどで、活躍してくれそうだ。

60度は、バウンスはややなだらかで、フェースを開いて使ってもズルっと抜けてくれるヘッド挙動。そのままスクエアに使ってもボールは上がりやすいが、ふわりと浮かせて止めるボールを打ちやすい。フェースに乗る感じは強いので、高く上げてもスピンはかかりやすいようだ。

画像: ややなだらかなバウンスの60度

ややなだらかなバウンスの60度

56度と60度で、はっきりと特徴が分かれていて、どちらの番手でどんな球筋を打ってほしいのか、クラブが教えてくれるかのような主張があるウェッジだ。前に向かう推進力で寄せる56度。球を上げて、強いスピンで止める60度。2本をバッグに入れたときに、まるでプレースタイルまで決まってしまうかのようだ。やはりこのモデルは、2本で一組。セットで使ったほうが、性能をより発揮できるだろう。

構えると、プロパー品よりもリーディングエッジの丸みが少なく、アイアンライクなストレート気味の形状で、このあたりもタイガーの好みが出ているところだろう。「ミルドグラインド2」の特徴であるノーメッキのフェース面の効果もあってか、どちらの番手も強いスピンがかかる。これはプロパー品にも言えることだが、このモデルのスピン性能は市場でも屈指の高さだ。

長さは56度が35.5インチ。60度は35.25インチ。バランスはそれぞれD6とD4とかなり重め。実際に打った感じでは操作性は悪くなかったが、軽いシャフトにリシャフトするか、少しシャフトカットしたほうが、多くのゴルファーにとっては使いやすいクラブになるかもしれない。ちなみに日本で販売される56度は、ライ角が63度だが、海外仕様は64度になっている。

画像: 構えてみるとリーディングエッジの丸みがなく、ストレート形状だ

構えてみるとリーディングエッジの丸みがなく、ストレート形状だ

試打した印象は、フェアウェイはもちろん、ラフやバンカーもやさしく打てて、結果も安定しやすい。素晴らしく扱いやすく、これがタイガーのノウハウが詰まったソールなのかと、感動する使用感だった。

小技でも世界屈指の技術を持つタイガーだが、キレキレのシャープなウェッジではなく、バウンス効果がしっかり働くやさしいウェッジで、その美技を駆使しているのだ。これは、アマチュアにとっても良い気づきになるのではないだろうか。

プロモデルなので、ヘッドはやや小振りで難しそうに見えるが、かなり幅広い層のゴルファーが扱えるだろう。攻め方も含めて、使っているとゴルフが上手くなれそうなウェッジで、タイガーが好きな人以外でも一度打って欲しいと思えるクラブだ。

日本でも、出来れば限定品以外の取り扱いをスタートして欲しいところ。テーラーメイドは新しいプロパー品では、このグラインドを活かさない手はないと思う。タイガー・ウッズという選手の偉大さの一端を感じることの出来るクラブだと言えるだろう。

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