日本オープンでツアー2勝目を挙げた稲森佑貴。難セッティングでこそ輝くそのゴルフを、プロゴルファー・中村修がスウィングとギアの両面から解説した。

稲森選手といえばフェアウェイキープ率。昨年まで5年連続1位と、圧倒的な成績を残しています。ツアー2勝が両方日本オープンということと、その正確性はもちろん深く関わりがあると思います。日本オープンのようにラフが手強いセッティングでは、やはりフェアウェイキープがセカンドでグリーンをとらえるためには重要ですからね。

昨年までの稲森選手の飛距離は平均で270ヤードと、ツアーでも飛ばないほう。しかし、270ヤード先のフェアウェイに置くところからゴルフを組み立てる、その精度は改めて極めて高いことを、今回の優勝で示したと思います。飛ばない稲森選手が600ヤードを超えるパー5の18番でバーディを決めて勝ったのが象徴的でした。

フェアウェイをしっかりととらえて、そこからゴルフを組み立てていく稲森選手のゴルフ。それを支えるひとつめがドライバーです。使用しているのはダンロップの最新モデル「スリクソンZX7」。注目したいのは44.75インチという長さです。

画像: 2勝目を挙げた稲森佑貴(写真は2020年の日本オープン 撮影/姉崎正)

2勝目を挙げた稲森佑貴(写真は2020年の日本オープン 撮影/姉崎正)

稲森選手なりの飛距離と方向性のベストバランスを求めた結果がこの長さなんだと思いますが、しっかりと振り切れる長さを選んでいる点がいい。トレーニングの成果で飛距離も伸びているといいますが、飛距離だけを追求しないスペックは、アマチュアゴルファーにもお手本にしてもらいたいですね。

そしてドライバーの下にはフェアウェイウッドが2本、ユーティリティが2本と、上を厚めにしているのも特徴的です。しかも、19度の3UTはカーボンシャフト、23度の4UTはスチールシャフトと、シャフトを変えているのも面白い。3UTでは飛距離も稼ぎ、4UTではアイアンの流れで使っていくという流れが見えます。

上が厚い分、セットのピッチングウェッジ、50度、58度とウェッジは3本体制。カタログスペックではZX5アイアンのピッチングウェッジは44度ロフトなので、ロフトピッチは6度、8度とかなり開きます。この3本の距離の打ち分けを相当な練習を積んでいることだと思います。

勝負を決めた18番ホールでは、ドライバー、ユーティリティ、ウェッジのまさにこの3本を使ってバーディを奪ってみせましたが、高い精度を生かしてプラン通りにプレーする、稲森選手の真骨頂を見ました。

画像: トレーニングで飛距離も伸びているというが、やはり稲森のスウィングといえばフェアウェイキープ率が物語る安定性だ(写真は2020年のフジサンケイクラシック 撮影/大澤進二)

トレーニングで飛距離も伸びているというが、やはり稲森のスウィングといえばフェアウェイキープ率が物語る安定性だ(写真は2020年のフジサンケイクラシック 撮影/大澤進二)

スウィング面に目をやれば、体を揺らしたり腕を大きく振ったりと飛ぶけど曲がるような要素をことごとく排除しています。腕の動きはコンパクトにして、体幹を使ってしっかりと振り切る、方向性に特化したスウィングを作り上げています。

自分の持ち味を最大限に生かしたスウィングとセッティングでツアーを戦う稲森選手ですが、彼の持ち味が最大限に発揮される舞台こそが日本オープンなんだと思います。海の向こうに目をやれば、300ヤードをキャリーで楽々超える飛距離とパワーで全米オープンを制圧したブライソン・デシャンボーのゴルフが話題ですが、26歳の若さで早くもいぶし銀の味を出す、稲森選手のゴルフも素晴らしいもの。

これから稲森選手が他の試合ももちろんなのですが、なんといっても日本オープンでどんな結果を残すのか、少し気が早いですが、今から楽しみです。

1W:スリクソン ZX7ドライバー(9.5 度、44.75 インチ、 ディアマナZF60X)
3W:スリクソン ZXフェアウェイウッド(15 度、テンセイ CK BLUE60TX)
5W:スリクソン ZXフェアウェイウッド(18 度、テンセイ CK BLUE60TX)
3UT:スリクソン ZXハイブリット(19 度、フジクラ MCH90X)
4UT:スリクソン ZXユーティリティ(23 度、NS プロ モーダス3ハイブリット)
5〜P:スリクソン ZX5アイアン (NS プロ モーダス3プロトタイプ)
50度:クリーブランド RTX ZIPCORE フォージド (NS プロ モーダス3プロトタイプ)
58度:クリーブランド RTX4フォージド (NS プロ モーダス3プロトタイプ)
パター:オデッセイ ストロークラボ TEN
ボール:スリクソンZスター

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