河本結の米ツアー挑戦をコーチとしてサポートを続ける目澤秀憲。今季メジャー3戦目「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」では渡米し、河本のサポートを努めた目澤に「日本と世界の差」はどこにあるのかを聞いてみた。

世界レベルとの差はコースの難易度の違い

「世界レベルの選手との差を振り返って考えると、いろいろあると思いますが簡単に言えば日本の選手は開催されたアロニミンクGCのようなコースで試合をしたことがないですよね。距離があってグリーンのアンジュレーションが強く、グリーン周りが刈り込んでありその先には深いラフ。そしてPGAオブアメリカがセットした厳しいピンポジションのセッティングでした。スコアを伸ばすというよりも選手の良さを引き出しながらも、僕たちにとっては課題が浮き彫りになる宿題をもらえたセッティングでした」

全米女子プロの会場となったアロニミンクGCは出場した河本結、渋野日向子が「今まで経験した中で一番難しいコース」と口を揃えた難コース。

ただでさえ難しいレイアウトに加え、これでもかというくらいグリーンの前後左右の端に切られたピンポジションが難易度をさらに高めていた。さらに日を追うごとにグリーンが硬くなり、止めることさえ難しくなっていったという。

画像: 米女子ツアーでルーキーとして奮闘する河本結(写真/LPGA GettyImages)

米女子ツアーでルーキーとして奮闘する河本結(写真/LPGA GettyImages)

「パー70であの長さのセッティングはやったことがなかったですね。なので向こうの選手がどれくらいのスコアで上がってくるのか、自分がどれくらいの位置いるのかも肌感覚でつかめませんでした」

傾斜のかかる厳しいピン位置に対しては、上って下って曲がるような難しいラインが残るし、ナイスショットがピンから遠ざかるように転がることも珍しくない。

それほどの難条件でも上位選手は決勝ラウンドで伸ばし合う展開になり、3位に入った畑岡奈紗は決勝の2日間で68、64と8ストローク伸ばし、2位のパク・インビは66・65と9ストローク、優勝したキム・セヨンは67・63と10ストロークを伸ばしている。

トップ3のうち、キム・セヨンと畑岡奈紗は260ヤード以上の飛距離があり、フェアウェイキープ率は高くはないがパーオン率が高いという似たタイプ。2位のパク・インビの飛距離は240ヤードに届かないが平均パット数2位とパットが生命線とタイプは異なる。

画像: KPMG全米女子プロゴルフ選手権でバンカーからピンを狙う河本。この写真からも難易度の高さがうかがえる(写真Darren Carroll PGA of America)

KPMG全米女子プロゴルフ選手権でバンカーからピンを狙う河本。この写真からも難易度の高さがうかがえる(写真Darren Carroll PGA of America)

この結果から目澤は、「得意分野を伸ばし苦手分野の底上げすることで日本の選手にも大いにチャンスはある」としながらも、「パッティングの向上についてはマスト」だと感じたようだ。

「厳しいピン位置に寄せきれなくて、そこからパットを決めなければならないですし、厳しいパーパットも決めなければなりません。また、メジャーともなると出場選手も多く午前と午後のスタートでコンディションも変わります。天候や風が変わることも少なくありませんし、グリーンの状態も変わります。そういう自分ではどうにもできないことでも受け入れ、プラスに変換できるタフさは必要だと思います」

そして、これはよく言われることだが「スポット参戦で結果を出すことは難しい」ということも、現地に足を運んで改めて感じたようだ。

「この環境に来ないとわからない部分もたくさんありますね。グリーンの違いや芝の違いによるアプローチの技術(の違い)。自分のプレースタイルの得意なところとそうでないところ。それにゴルフコースだけでなくや食事、ツアーでの生活も含めて様々な経験をしていく中で成長し身につけていくものだと思います。日本ツアーで活躍している上田桃子さんや有村智恵さん、シン・ジエなどの外国人選手の強さは、やっぱりすごく厳しい舞台でやっていたからなんだ、と改めて感じました」

その考えをさらに補強したのが、現地での松山英樹との会話だったという。

「今回初めて話しをする機会をもらえて、改めてすごい選手だなと思いました。ショートゲームは間違いなく世界で5本の指に入ると思います。(松山の周りには)世界ランク1位や2位の選手がすぐそばにいる。その中で自分で自分を追い込んで練習できている、その姿勢がすごい。一朝一夕ではなく8年間積み重ねてきたものを感じました。目標設定だったり学ぶものがたくさんありました」

画像: 直に話をして、松山英樹のすごさを改めて痛感したと目澤は言う(写真は2020年全米オープン写真 USGA/Darren Carroll)

直に話をして、松山英樹のすごさを改めて痛感したと目澤は言う(写真は2020年全米オープン写真 USGA/Darren Carroll)

日本の男女エースといえる松山英樹も畑岡奈紗もコーチをつけていない。そのことに目澤は危機感を覚えている。「自分たちももっとスキルを高めていかなければならい。ティーチングからコーチングへと昇華させ、松山英樹のような選手をサポートできるように頑張りたい」と思いを新たにしたという。

世界のトップ選手は優れたコーチがサポートしている場合がほとんど。海外で見聞を広めた目澤が、今後日本選手のレベルをさらに引き上げ、世界で活躍する選手を多く輩出するコーチになる日を楽しみにしたい。

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