ビッグネームが出場を回避し話題が乏しい今週のPGAツアー、バミューダ選手権で熱視線を浴びている選手がいる。ウィル・ザラトリス、24歳。ジュニア時代ジョーダン・スピースのライバルだった彼はいま赤丸急上昇中の注目選手なのである。一体どんな人物?

ザラトリスがクローズアップされるようになったのはブライソン・デシャンボーが圧勝した全米オープンのこと。デシャンボーばかりがスポットライトを浴びたためその他の選手の印象がほぼないが、その大会でコーンフェリーツアー(下部ツアー)を主戦場にするザラトリスが世界ランク1位のダスティン・ジョンソンと並び6位タイに入ったのだ。

ほぼ無名だがじつは彼、ジュニア時代ジョーダン・スピースのライバル。サンフランシスコに生まれたが息子のゴルフの腕前に将来性を見出した両親がジュニアゴルフが盛んなテキサスに移住。11歳だったザラトリスはそこでスピースに出会った。

「ジュニアの試合で後続に8打差をつけて勝っていたジョーダン(・スピース)。引っ越してから一番最初に友達になったのが彼だった」とザラトリスは米ゴルフダイジェストに投稿した手記にそう綴っている。

画像: ジョーダン・スピースとジュニア時代のライバルでもあるウィル・ザラトリスが全米オープンで6位タイにつけていた(写真はGettyImages)

ジョーダン・スピースとジュニア時代のライバルでもあるウィル・ザラトリスが全米オープンで6位タイにつけていた(写真はGettyImages)

「あれは07年の夏のこと。僕らは誰かの母親が運転する車に乗って、毎週少なくとも3回ジュニアの大会を渡り歩いていた。車の後部座席でジョーダンや他の友達とふざけ合って、最後には決まって運転中の誰かの母親に“いい加減にしなさい”といわれるのがオチ。砂嵐のような熱風が吹くテキサスで過ごしたあの夏をいまも決して忘れることはない」(手記より)

群を抜く実力を持つ3歳年上のスピース少年の活躍に触発されザラトリスも16歳(2013年)で全米ジュニアに優勝。かの有名なハービー・ペニックにテキサス大学時代トム・カイトやベン・クレンショーとともに指導を仰いだデビッド・プライス(ベントツリーGCのヘッドプロ)に師事。「教わったのはスウィングではなくメンタルの方だった」。

アーノルド・パーマーの母校ウェイクフォレスト大を卒業し18年にプロ転向したときすでにかつてのライバル(スピース)は雲の上の存在。だがジュニア時代の仲間の成功が「大きな刺激と糧になった」と20年にはコーンフェリーツアーで出場全試合予選突破、優勝1回、トップ10入り10回で20-21年シーズンのレギュラーツアーのテンポラリーメンバー(条件付き)に昇格した。バミューダ選手権の初日は46位タイとやや出遅れたが今後の活躍が大いに期待されている。

上り調子のザラトリスに対してスピースは未だ復活の糸口を掴めずにいる。ザラトリスが注目された全米オープンでは予選落ち。17年の全英オープン(ツアー11勝目)を最後に優勝から遠ざかり、かつての世界ランクナンバー1は現在75位だ。

ジュニア時代、スピースには逆立ちしても敵わなかったザラトリスがいまや新星と騒がれる。人生は悲喜こもごもだがいずれプロの世界でスピースとザラトリスが優勝争いする。そんなシーンが見てみたい。

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