ティショットのOBや3パットなどミスを引きずると、プロでさえも切り替えは難しい。ミスしたことを何度も考えてしまう「反すう思考」から脱却するにはどうしたらいいのか? 気持ちを切り替えるコツをプロも教えるメンタルコーチ・池努に教えてもらった。

ひとつのミスを何度も思い返すことで不安や焦りが生まれてくる

痛いミスをするとそのミスを引きずってしまうことはありませんか? そのミスが頭から離れずに、それ以降のプレー中に切り替えようと思っても「あのミス」のことを考えてしまう。「こうしておけばよかった」「なんであの選択をしたのだろう」「あのミスのおかげでスコアが……」このように私たちは過去の出来事について何度も何度も考えてしまうことがあります。

画像: ミスを引きずり何度も考えてします「反すう思考」から脱し、好プレーを呼び込むには?(写真/増田保雄)

ミスを引きずり何度も考えてします「反すう思考」から脱し、好プレーを呼び込むには?(写真/増田保雄)

実際に、サポートするプロゴルファーからもよく相談を受けますが、過去の痛い失敗や批判などをずっと考えてしまう。このような思考のことを反すう思考といいます。反すう思考とは「繰り返し考え続けてしまう思考」のことです。ミスに対してこの反すう思考が続いているとき私たちの感情は不安やあせり、びびりなどに振れていきます。

この反すう思考が鬱病の大きな原因としても確認されていることからもわかるように、反すう思考に対処するスキルを身につけることはメンタル面の安定、そしてそれがミスをしてもミスに左右されないゴルフのメンタルづくりにつがるはずです。ここではこの反すう思考の改善方法について紹介していきたいと思います。

反すうしている自分を承認する

ここまでの話を読んでみて「反すう思考はよくないんだ」と思われたかと思います。確かにゴルフ中に反すう思考をすることは健全なメンタルにつながらないので反すう思考を止めることは大切です。しかし、「反すう思考がプレー中に継続的に長く続くこと」がマイナス要素なだけで「ミスをしてマイナス思考になること」自体は当たり前のことです。

人は常に理想を持つ生き物です。理想を持つからこそ現実と理想のギャップがあったときはマイナス思考になります。つまりへこむことは理想を持つ人として当然のことなのです。「ミスを引きずっている自分」に対して「引きずる自分はダメだ、メンタルが弱い」などとマイナスなレッテルを貼らずに「そう考える自分もOK」と自分を認めることが大切です。マイナス思考をする自分をけなすことなく認めてほしいのです。

そして、その自分をも認めることができればその時点で反すう思考を軽減することができます。つまり、自分の思考自体は否定せずに認めていくことが反すう思考を減らすポイントになるわけです。

問いをWhyからWhatに変える

次に大切なポイントが「自分に問う問いです」ミスや批判などに対し反すう思考しているとき私たちは自然と「なぜあんなミスをした?」「なぜいつもこうなる?」とWhyで自問自答を繰り返しています。「なぜあんなミスをした?」と問いかけるとどんな答えが出てくるでしょうか? ミスへの要因や条件などを延々と考えてしまうことになりますし、自分を責めることにつながり反すう思考を止めるどころか悪化することさえあります。そして、さらに目の前のプレーとは関係ない思考を繰り返してしまいます。

このときに有効なのがWhatで自分に問いかけなおすことです。どういうことかと言うと次のように自分にWhatで問うのです。「今何に集中すべき?」「何を改善できるだろうか?」「何があればパフォーマンスがあがる?」「今すべきことは何?」このように問いかけることでWhyとは違い、目の前のプレーに必要な思考につながりやすくなります。そうすることで頭の中が切り替わり、前向きな思考になります。

人は一日5万回も思考すると言われています。当然、ゴルフをプレーしているときも常に考えごとをしています。今回紹介した反すう思考が感情に左右していることは言うまでもありませんね。

今回の記事では反すう思考を止める、軽くするための2ステップとして「反すうする自分を認める」、「問いをWhyからWhatに変える」という流れを紹介してきました。簡単かつ実践しやすいものだと思いますので反すう思考が多いと感じた方はぜひ、試してみてほしいですね。

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