PGAツアー「バミューダ選手権」はブライアン・ゲイの勝利で幕を閉じた。7年ぶりの復活優勝までの道のり、そして契機とは? 海外取材経験20年のゴルフエディター・大泉英子がレポート。

例年であれば「WGC・HSBCチャンピオンズ」の裏試合として開催される「バミューダ選手権」。だが今年は、コロナウイルスの影響でHSBCが中止となったため、「バミューダ選手権」優勝者にフェデックスポイント500ポイントとマスターズ行きのチケットが授与されることになった。

そんな昇格試合で優勝したラッキーなプレーヤーはブライアン・ゲイ。2013年以来、7年ぶりの優勝で、通算5勝目で、48歳でのツアー優勝は、2015年ウィンダム選手権に51歳で優勝したデービス・ラブⅢに次ぐ年長記録だ。

画像: バミューダ選手権で7年ぶり通算5勝目を挙げたブライアン・ゲイ(写真はGetty Images)

バミューダ選手権で7年ぶり通算5勝目を挙げたブライアン・ゲイ(写真はGetty Images)

「こうして再び優勝者の仲間入りできて、本当にすばらしいよ。長かったね。昨年ここで3位タイに入って、なんとなくいい感じがあったんだ。バミューダに帰ってくるのが楽しみだったよ。コロナ騒ぎで自宅で隔離以来、すごいスランプに陥ってしまって、なんとか元通りになるよう頑張ってきたんだ」

最後の優勝からは7年以上も経過してしまったが、最も調子が悪かったのは、今年、コロナウイルスの影響によるツアー中断明けの頃。ツアー再開後も無観客のため、会場内はとても静かでエネルギーを感じることができない上、自身のモチベーションも上がらなかったという。

また、普段はパッティングが得意な彼だが、全然思うようにパターも決まらない。いろいろと試してようやく復調してきたところで、相性のいいバミューダでの試合を迎えた。しかも今週から1日500人限定で、ギャラリーを入れた。無観客でモチベーションが上がらなかったゲイにとって、この上ないタイミングだった。

「今週はファンたちが会場にやってきたが、そのことがたぶん自分にやる気の火をつけたんだと思う」

「僕はバミューダ芝で育ってきた。大好きなんだ。フロリダに住んでいるから、風もそんなに気にならない。ここはバミューダ芝だし、距離も長くない。(僕のような)ショートヒッターにもチャンスがあるコースなんだ」

今時の選手たちは皆、若く、飛距離も出る。48歳のゲイも少しでも飛距離を出すためにジムにも通ったこともあった。だが、彼は飛ばない代わりに方向性と小技には自信がある。キンバリー夫人や家族、友人たちは「まだ優勝できるよ!」と励まし続けてくれたのだという。

自分を信じてゴルフというゲームをやり続ければ、何が起こるかわからない。最近ではお粗末なゴルフをしていたと語るが、それでも一生懸命練習に励み、何かが変わってくれることを信じてゴルフを続けた結果転がり込んできた優勝だった。

「カパルア(優勝者のみが出場できるセントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ)やマスターズなど全然頭になかったが、新年をカパルアで迎えることができるのは、信じられないほどすばらしいことだ」

「過去6ヶ月、どんなプレーをしてきたかを考えれば、今回の優勝は過去最高に驚きの優勝だ。どの優勝も特別だけどね。プレーオフになった時はキャディと、最初のホールでバーディを取って、優勝しよう、って話をしてたんだよ」

ウィンダム・クラークに追いつき、プレーオフに持ち込んだゲイは、キャディとの会話通り、プレーオフ1ホール目でバーディを奪い、復活優勝。世界ランクも328位から176位に浮上した。あきらめなければ優勝もできるし、オーガスタにも行けるのだ。

 

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