ヒッコリー(クルミ科)という木で作られたシャフトのクラブを使うゴルフ競技「日本ヒッコリーゴルフオープン」が開催された。シャフトの材料といえばスチール、あるいはカーボンが現代の常識だが、なぜあえてヒッコリーなのか。大会の優勝者に話を聞いてみた。

ヒッコリーゴルフとは、100年以上前のスペックで作られたクラブを使い、当時のファッションに身を包んで楽しむゴルフのこと。愛好家による大会も存在し、11月12日には兵庫県の神戸ゴルフ倶楽部で「日本ヒッコリーゴルフオープン」が開催されている。

ヒッコリーゴルフにはどんな魅力があるのか? 優勝した若松吉己さんに、ヒッコリーゴルフを始めたきっかけはどんなことだろうか。

「2年ほど前、友人に誘われたことがきっかけです。初めてプレーしたときはドライバーが200~30ヤードとモダンゴルフ(最新ギアでプレーする“普通のゴルフ”のこと)に比べて30ヤードほど飛ばないのが印象的。ただアイアンは番手を変えればいい話ですし、飛ばないから大怪我もないですし、意外と普通にプレーできてしまったことに驚きましたね」

画像: 日本ヒッコリーゴルフオープンで優勝した若松吉己さんはハンディ10.2の腕前を持つゴルファー

日本ヒッコリーゴルフオープンで優勝した若松吉己さんはハンディ10.2の腕前を持つゴルファー

ヒッコリーゴルフの魅力にハマった若松さんは、ヒッコリーゴルフを始めてわずか3カ月で出場した2018年の世界大会「ワールドヒッコリーゴルフオープン」でなんとチーム優勝。さらに翌年も出場し、連覇を達成したというから凄い。そんな若松さんにヒッコリーゴルフの魅力について話を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「ゴルフの難しさと雰囲気、この2つを楽しめることがヒッコリーゴルフの面白さだと思います。アイアンも5㎜くらいしかソール(幅)がないので少しダフったら全然滑ってくれなくて難しいんです。でも、タイムスリップというか130年くらい前のゴルフを味わえている感覚が楽しいんです。今は派手なウェアが多いですが、ニッカボッカ(ニッカーボッカーズ)にハイソックスを履いてプレーできる、お洒落も楽しみのひとつです」

画像: 100年以上前のスペックで作られたクラブでプレーするヒッコリーゴルフ(撮影/平賀元)

100年以上前のスペックで作られたクラブでプレーするヒッコリーゴルフ(撮影/平賀元)

クラブは100年以上前のスペックで作られているため、フェースの芯に当てないと飛距離ロスが激しいことから「モダンゴルフより慎重に打ちます(笑)」とのこと。現代のクラブに比べるとヘッドも小さく、難しく感じてしまうゴルファーが多いかもしれないが若松さんは「ヒッコリーゴルフを始めてからモダンゴルフがもっと楽しくなった」と教えてくれた。

「今のクラブはミスの許容範囲が広くて芯に当たらなくても比較的前に転がってくれますが、ヒッコリーは芯に当てないとまったく飛ばないんですよ。ヒッコリーゴルフを通じて芯に当てる大切さを学び、自然と70パーセントくらいの力で打つようになりましたし、モダンゴルフでも無理しなくなるんです。(飛ばなくても)番手を上げればいいだけだなと考えられるようになってゴルフが凄く楽になって、スコアも良くなったんですよね」

独特の世界観やお洒落を楽しむことができ、普段のゴルフにも好影響があるというヒッコリーゴルフ。一度試してみたい!?

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