開催時期を1年延期し、2021年7月に開幕予定の東京五輪。ゴルフも競技種目に含まれているが、気になるのはどの選手が出場するのか、という点だろう。代表選手の選出法から、現時点でオリンピックに一番近い日本人選手は誰なのかまで、一通りおさらいしてみよう。

代表選手を決めるオリンピックゴルフランキングとは?

まずは東京五輪の代表選手を選出するための「オリンピックゴルフランキング」についておさらいしてみよう。

オリンピックゴルフランキングとはゴルフの国際競技連盟である国際ゴルフ連盟(IGF)がホームページ上で毎週発表するもので、男女の世界ランキング(女子はロレックスランキング)をもとに算出されている。

世界ランクと見比べるとその違いは一目瞭然。端的に、オリンピックゴルフランキングは「現時点で誰がオリンピックに出られるか」がわかる仕組みになっている。

東京五輪の開催が延期となったことで、ランキングの集計期間も1年延長。男子は2018年7月1日から2021年6月21日までの期間、女子は2018年7月8日から2021年6月28日までの期間で算出される。

オリンピックへの出場資格を得るための条件は?

東京五輪に出場できるのは男女それぞれ60名。では、出場資格は具体的にどのような条件を満たせば得られるのか。以下の4点を確認してみよう。

【1】男子は2021年6月21日、女子は2021年6月28日時点でのオリンピックランキング上位15位までの選手(各国最大4名)

【2】16位以下は、15位以内の有資格者も含め、1カ国2名が上限

【3】アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアの5大陸ごとに一人も出場資格を有するアスリートがいない場合、男女ともに最低1つの出場枠が保証される。

【4】大会ホスト国(日本)に出場資格を有するアスリートがいない場合、男女とも最低1つの出場枠が保証される。

つまり基本的には試合で結果を出し、世界ランクランキング上位に位置することが重要となっている。そのうえで、同国籍でもトップ15までに入れば4人まで、それ以下なら2人が代表の枠となる。それを踏まえ、現在最新となる2020年11月24日時点での男子オリンピックランキング上位15名の顔ぶれを見てみよう。

<男子>

1 ジョン・ラーム(スペイン)
2 ジャスティン・トーマス(アメリカ)
3 ロリー・マキロイ(アイルランド)
4 コリン・モリカワ(アメリカ)
5 ブライソン・デシャンボー(アメリカ)
6 ウェブ・シンプソン(アメリカ)
7 ティレル・ハットン(イギリス)
8 アダム・スコット(オーストラリア)
9 トミー・フリートウッド(イギリス)
10 松山英樹(日本)
11 イム・ソンジェ(韓国)
12 ルイ・ウーストハイゼン(南アフリカ)
13 エイブラハム・アンサー(メキシコ)
14 ビクトル・ホブラン(ノルウェー)
15 マーク・リーシュマン(オーストラリア)

上記のランキング更新時点で最新だった11月22日付けの世界ランキングと比較してみると、8位にはザンダー・シャウフェレ、9位にはパトリック・カントレー、11位にパトリック・リード、12位にブルックス・ケプカ、13位にダニエル・バーガー、14位マシュー・ウルフと、15位以内に限っても複数のアメリカ人選手がいるのだが、出場できるのは15位以内で各国最大4名のため、アメリカ国籍の選手は層の厚さがゆえにその資格を得るための戦いも激化しているわけだ。

ちなみにマスターズを制し世界ランク1位に位置するダスティン・ジョンソンは、今年3月に東京五輪出場を辞退しているため、ランキングには反映されていない。

現時点での“有資格者”男子は松山・今平

さて、以上のように複数の有力な米国人選手がシステム上姿を消しているため、世界ランク17位の松山英樹(11月22日時点)も、オリンピックゴルフランキングでは10位に繰り上がっている。

松山英樹が15位以内にいるとはいえ、16位以下の出場枠は15位以内の有資格者を含めて各国最大2名なので、日本の男子選手の出場枠は現状ではあとひとつ。

画像: 松山英樹は現時点でオリンピックランク10位(写真/2020 Masters Tournament)

松山英樹は現時点でオリンピックランク10位(写真/2020 Masters Tournament)

2020年11月24日に公開された男子オリンピックランキングを参照すると、世界ランク77位でオリンピックゴルフランキング29位の今平周吾が該当者となる。ちなみに、その次は石川遼で世界ランクは106位。石川がオリンピックに出場するためには、2021年6月21日までにポイントを積み重ね、今平、あるいは松山の世界ランクを上回ることが条件となる。もちろん、ランク15位以内に3人とも入ることができれば、3人揃っての出場が可能だ。

女子は畑岡、渋野が出場圏内。今季好調の古江も肉薄

では女子はどうか。11月24日に更新された最新の女子オリンピックランキングから、日本人選手の状況だけ押さえておこう。

7位 畑岡奈紗
12位 渋野日向子

画像: 現時点では畑岡奈紗(左)、渋野日向子(右)の2名が出場圏内

現時点では畑岡奈紗(左)、渋野日向子(右)の2名が出場圏内

この2人は現時点で15位以内。もし現時点で締め切りとなれば、日本代表は畑岡・渋野のコンビとなるわけだが、直近の試合結果によって急激に順位を上げた選手がいる。今季3勝を挙げ、最終戦でも3位タイの渋野を上回る単独2位でフィニッシュした古江彩佳だ。

画像: 今季から国内女子ツアーにフル参戦し、3勝を挙げる古江彩佳(写真は2020年の伊藤園レディス 撮影/矢田部裕)

今季から国内女子ツアーにフル参戦し、3勝を挙げる古江彩佳(写真は2020年の伊藤園レディス 撮影/矢田部裕)

古江は11月23日付けの世界ランキング(ロレックスランキング)で16位。15位に位置する渋野のすぐ下につけているが、最終戦の結果を受けて渋野を上回る見込み。そして、ロレックスランキング20位には鈴木愛も位置している。理想的なシナリオは、畑岡、渋野、古江、鈴木の4名とも2021年6月28日のタイミングでオリンピックゴルフランキング15位以内に入り、4名ともに日本代表として東京オリンピックに出場することだろう。

ちなみに、鈴木に次ぐのはロレックスランク59位の稲見萌寧、73位の上田桃子、76位の小祝さくら……といったところ。いったいどの選手が国を背負って出場するのだろうか。答えが出るのは、2021年6月末だ。

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