「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で年内の日程を終えた男子ツアー。コロナ禍の中で、開催されたのはわずかに6試合。少ない試合数の中でも、若手の活躍が印象的だった今年の男子ゴルフを、プロゴルファー中村修が振り返った。

20代の優勝者が4名

例年は1月の「SMBCシンガポールオープン」で開幕し、4月第2週のマスターズ翌週から国内での戦いが始まる男子ツアー。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、国内ツアーは9月の「フジサンケイクラシック」が国内初戦となりました。

その間「ゴルフパートナーエキシビジョントーナメント」などツアー外のチャリティを目的とした試合が開催されたり、選手がスポンサーを募り試合を開催したり、YouTubeのチャンネルを開設したりと例年には見られなかった活発な活動も数多く見られました。

画像: 左上からフジサンケイクラシック優勝の星野陸也(写真/大澤進二)、日本オープン優勝の稲森祐貴(上段右 写真/姉崎正)、三井住友VISAマスターズ優勝の香妻陣一朗(下段左 写真/有原裕晶)、ダンロップフェニックス優勝の金谷拓実(下段右 写真/姉崎正)

左上からフジサンケイクラシック優勝の星野陸也(写真/大澤進二)、日本オープン優勝の稲森祐貴(上段右 写真/姉崎正)、三井住友VISAマスターズ優勝の香妻陣一朗(下段左 写真/有原裕晶)、ダンロップフェニックス優勝の金谷拓実(下段右 写真/姉崎正)

国内では5試合の開催にとどまりましたので全試合振り返りましょう。堀川未来夢選手とのプレーオフの末「フジサンケイクラシック」を制したのは星野陸也選手でした。スリクソンの新しいモデルのドライバーを使った優勝で持ち前の飛距離を生かし勝利を手にしました。

2試合目の「日本オープン」では、国内ツアーに戻ってきた谷原秀人選手と優勝争いを演じ、最終ホールのバーディで優勝を手にしたのは日本一曲がらない男、稲森佑貴選手でした。ラフの深い難セッティングでの強さを見せ2度目の日本オープンを制しました。52歳の谷口徹選手が3日目の前半まで快調なプレーを見せてくれたり、二十歳前後のアマチュア選手の躍動があったりと選手層の広さが目につきました。

中でも5位タイで終えた320ヤードを越える飛距離見せた河本結選手の弟、河本力選手と杉原大河選手らの活躍は日本オープンの第一回大会以来のアマチュア優勝を期待させるほどでした。アマチュア世界ランク1位からプロ転向を果たした金谷拓実選手は7位とその存在をアピールしました。

続いて「三井住友VISA太平洋マスターズ」はアマチュアの中島啓太選手が昨年の金谷選手に続いてアマチュア優勝なるかという展開。最終日は強風の中、最終ホールのあわやアルバトロスかというイーグルで初勝利を手にしたのは香妻陣一朗選手でした。難コンディションでのプロの技術に匹敵するアマチュア中島選手のプレーぶりに次戦「ダンロップフェニックス」でどんなプレーを見せてくれるか楽しみになりました。

国内ツアー第4戦目「ダンロップフェニックス」では、混戦の中プロ初優勝を狙う22歳の金谷選手と21歳の石坂友宏選手、二人の4ホールに渡るプレーオフになりました。激闘の末初優勝を手にしたのは金谷選手でしたが、今季からレギュラーツアーに参戦した石坂選手もその存在を強烈にアピールしました。そして8位タイで終え2戦連続でローアマを獲得した中島啓太選手は日本人3人目の世界アマチュアランク1位に輝きました。もしかしたら来年のマスターズ出場という明るいニュースが届くかもしれませんね。

最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は、名物ホール18番パー3が勝負の行方を決めました。同スコアで並んだ最終組の岩田寛選手、谷原秀人選手、1組前のチャン・キム選手、2組前の大槻智春選手の4人のうち先にパーでホールアウトしたチャン・キム選手に勝利が転がり込みました。谷原、岩田両選手の久しぶりの優勝が見たかったのですが、来年の楽しみに取っておきます。

中堅やベテラン選手の活躍が少なく感じたのは試合数が少なかったことに加えてすべて無観客試合で開催されたことにも理由があると感じます。池田勇太選手や石川遼選手などギャラリーを沸かす選手にとっては無観客というのはモチベーションだけでなく観衆の中でこそ見られる集中力やスーパープレーにつながりにくかったのではないでしょうか。しかしアマチュア選手にとっては、それはいつも通りの試合風景であったとも言えるでしょう。ともあれ金谷拓実選手をはじめとする若い世代の風が来シーズンも吹き荒れることを期待します。そして、今季新たにコーチを迎えるも未勝利に終わった石川遼選手の来シーズンにも期待しています。

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