クラブメーカーだけでなくゴルフショップでもフィッティングに力を入れるところが増えてきたが、フィッティングするにあたり注意したいポイントが3つあるとゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロはいう。それは一体どんなこと?

近年、クラブメーカーではピンの躍進が著しく、ショップの中には一人勝ちの様相を呈しているところも少なくないという。人気の理由は様々だが、ほとんど類を見ないフィッティング前提のメーカーであることは、大きな要因のひとつだろう。

他のメーカーが行わない、グリップの太さやアイアンのライ角チェックにも長年こだわっていて、複数のヘッドと豊富なシャフト選択を組み合わせて、基本的にフィッティング後にオーダーするスタイルを取っている。全モデルにレフティがあるなど、儲かりづらいことも色々とやっていて、ユーザー本位のメーカーという印象が強い。

画像: フィッティング前提のメーカーであることもピンの躍進が著しい理由のひとつ(撮影/三木崇徳)

フィッティング前提のメーカーであることもピンの躍進が著しい理由のひとつ(撮影/三木崇徳)

そんなピンの人気も影響してか、最近はゴルフショップでもフィッティングに力を入れるところが増えてきている。それを後押しするのが、「トラックマン」や「GCクワッド」などの高機能な弾道測定器だ。室内でも高精度に弾道シミュレーションはもちろん、様々な弾道データやヘッド軌道を解析できる。昔は、試打室にネットが張ってあるだけというところが多かったことを思えば、隔世の感がある。

実際に打ってみて、計測データを確認しながらクラブを選ぶわけだから、買うほうにもがぜん納得感がでてくる。ここ1、2年は量販店店頭でも以前のような値下げ競争が落ち着き、あまり割引をしなくなってきているが、こうしたフィッティングや対面販売の強化がそれらを後押ししているのだろう。

気を付けるべき点1:飛距離偏重になりがち

良いことばかりのように見えるフィッティングだが、弊害が感じられることもある。今回はそれを3点紹介してみたい。ひとつは、クラブ選びがどうしても飛距離偏重になることだ。計測器には様々な情報が出るが、多くの場合、トータルの飛距離に注目しがちで、もっとも飛んだクラブが良いクラブという感じになってしまう。

画像: 弾道計測器を使用するフィッティングが増えてきて、飛距離だけでなくスピン量などからクラブを選ぶことができるようになった(撮影/三木崇徳)

弾道計測器を使用するフィッティングが増えてきて、飛距離だけでなくスピン量などからクラブを選ぶことができるようになった(撮影/三木崇徳)

そして、計測器の傾向として、ドロー系でスピンが2000回転/分前後の低スピン弾道のほうが飛距離が出やすい。それは現実でもそうなのだが、コースでは想定ほどランが出なかったり、低スピンだとフォローの風で失速することもある。当然のことながら、試打室の環境で、計測上飛ぶクラブが、色々な条件で常に良いパフォーマンスを出せるわけではない。

気を付けるべき点2:ハードスペック勧められがち

2つ目はショップにもよるのだが、ハードスペックなクラブを選びがちなことだ。とくに、シャフトが硬めのものを勧めるクラブフィッターは多い。硬いと追随性が上がるので、それで操作性を出したり、つかまりを良くしたりするやり方もある。それで結果を出せる人も多いので、一概には言えないのだが、RよりもS、SよりもXを使ったほうが、なんだか上手そうに見える心理を狙っているのではと思うケースも少なくない。よりハードなスペックを使えるとなると、喜ぶゴルファーは多いのだ。

画像: ハードスペックのシャフトを選んでいないかという点も注意したい(撮影/三木崇徳)

ハードスペックのシャフトを選んでいないかという点も注意したい(撮影/三木崇徳)

また、その硬いシャフトが適正に見えるほど使えている場合でも、試打室の中でノープレッシャーの状態でフルスイングしたスピードと、コースでターゲットを狙うスウィングはやはり異なるものだ。ある程度の腕前になると、フルスウィングだけでなく、巧みなクラブコントロールが要求される。過度なハードスペックは実戦的ではないし、スウィングを悪い方向に向かわせるおそれもある。

気を付けるべき点3:「ミスはノーカン」にしがち

3つ目は、ミスショットをカウントしないフィッターが多いことだ。何発もドライバーを打って、良かったショットのデータを残し、悪いショットは消してクラブ選びの考慮に入れないことが少なくない。しかし、そのミスショットはラウンドしていると実際に出る球でもある。

スコアを作るには、大きなミスショットをせず、そこそこのショットを積み重ねていく必要がある。会心の一打があっても、その倍も荒れた弾道が出るクラブでは、かえってスコアメイクの足を引っ張りかねない。「いやいや良いんだ、オレは一発の今日イチが出れば満足だから」というゴルファーも多いので、その手のタイプには安定感は不要だろう。球は荒れるが飛距離性能の高いドライバーを選べばいいと思う。

そうでないなら、大きなミスショットが出にくいクラブを選ぶほうが、スコアメイクにつながる。しなりのタイミングが取りやすいシャフトで、スピンもあまり減りすぎず、結果がまとまるものがいい。そういうクラブは計測器で測ると、いわゆる飛ぶクラブに飛距離で負けてしまうことが多いので、フィッティングでは選ばれにくくなる。測定器の飛距離が出てしまっているので、どうしても飛ぶクラブを選んでしまいがちになるのだ。

気の利いたクラブフィッターさんは、意外と一番飛ぶドライバーではなく、タイミングが取りやすく、安定して飛ばせるドライバーを選ぶ。彼らはその人のスイング傾向やクラブを変えたときの変化をよく見ているからだ。そんなクラブを選ぶと、単に結果だけでなく、将来的にはスウィングも良くなっていく副産物もある。

そのあたりの見極めは難しいのだが、コツはクラブフィッターさんに自分がどうしたいのか伝えることだ。とにかく、一発でいいから大きく飛ばせるクラブがほしいのか、上達目指してスコアアップしたいのか、それだけでその人に合うクラブは変わってくる。目的がはっきりしていれば、フィッターさんは適切なアドバイスをしてくれるだろう。

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