2020年も様々なクラブが発売されたが、全体的な傾向を総括するならば「大慣性モーメントドライバーの年だったと言えるでしょう」と、業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人。詳しく話を聞いてみよう。

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。2020年もあとわずかとなりました。今年は、コロナ禍の影響でゴルフ界でもたくさんのイレギュラーが発生した年でした。しばらくは影響も残るとは思いますが、少しでも業界発展の力になれたらと思いつつ、過ごしていきたいと思います。

さてギアオタクとして2020年に発売されたクラブを勝手に統括してみました。2020年は、大慣性モーメントドライバーの年であったと言っても過言ではないでしょう。過去に2度ほど慣性モーメントを高めるブームがあったと記憶していますが、今年のブームは、今までで一番大きかったと感じています。

画像: テーラーメイドの「SIM」(左)やピンの「G425MAX」(右)をはじめ、大慣性モーメントを高めたモデルが2020年は数多く登場したと小倉氏

テーラーメイドの「SIM」(左)やピンの「G425MAX」(右)をはじめ、大慣性モーメントを高めたモデルが2020年は数多く登場したと小倉氏

過去のブームでは、重心から離れた位置に重量を配分するためにヘッドを四角くするなど、慣性モーメントを高めるために何かしらが犠牲になっていたイメージがあります。技術的にまだ超えるべき点が残っていたのでしょう。

しかし今年発売された慣性モーメントを売りにしたクラブは、見た目的に適度な慣性モーメントを持つクラブと差がなく、メーカーがキャッチコピーなどでアピールしない限り、わからなくなりました。

さらに今までは主にアベレージ向けのクラブに使われていた項目でしたが、アスリート向けのクラブにも慣性モーメントを高めたモデルが登場しました。ツアープロが操作性よりも直進性の高いモデルのほうが結果が出ると判断し、メーカーにリクエストしたのか、それともメーカーがツアープロの考え方を変えるぐらい良いクラブを先に作ったのかは分かりませんが、世界のツアープロがそういったクラブを使い始め、世界のアスリートゴルファーに浸透した印象があります。

もともと慣性モーメントの大きいドライバーをピンやコブラといった一部のメーカーはずっと作り続けていたのですが、どのメーカーもここまで慣性モーメントを重視した年はなかったと思います。この流れは、ヘッドサイズ、反発係数、長さをルールで上限を決められている以上、進化の余地は慣性モーメントぐらいしか残っておらず、必然と言えば必然と言えますね(編集部注:慣性モーメントもルールで上限が定められている)。

ドライバーが進化すれば、他のクラブも当然変わってきます。今年発売されたFWやUT、アイアンなどのモデルの中に大慣性モーメントのドライバーとのマッチングを考えて設計されたんだろうなぁと感じるモデルがいくつかありました。

もともとアベレージゴルファー向けのモデルには、そういった設計になっているものが前からありましたが、ツアープロやアスリート向けのモデルにもそう感じさせるクラブがありましたね。

例を挙げるなら、テーラーメイドのP770アイアンやキャロウェイのXフォージドCBなどです。小ぶりで厳しいライにも対応できそうなヘッドサイズでありながら、直進性が高く打点のミスに強い。直進性が高くミスに強いアイアンは今までたくさんありましたが、シャープで小ぶりなヘッドでこういった性能を持っていたモデルはあまりなかったと思います。

画像: テーラーメイド「P770」(左)、キャロウェイの「XフォージドCB」など、シャープな見た目ながらやさしいモデルも増えたという

テーラーメイド「P770」(左)、キャロウェイの「XフォージドCB」など、シャープな見た目ながらやさしいモデルも増えたという

さて2021年はどんなクラブが発売されるのか!? 今後ゴルフクラブはどんな進化を見せるのか!? を来年最初のコラムに書きたいと思います。みなさま2020年大変お世話になりました! 良いお年をお迎えください。来年もまたよろしくお願い致します。

 

 

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