今日こそベストを出すぞと意気込んで臨んだラウンドの出だしからOB……。そのまま立ち直ることができずにボギーやダボが止められない。こうなれば誰でもネガティブ思考になってしまうもの。そんなときに自分を認めてくれ、応援してくれる人がいてくれたら? プロも教えるメンタルコーチ・池努がネガティブからポジティブに切り替えるテクニックを教えてくれた!

自分をリスペクトしてくれる住人を頭の中に置いてみよう

あなたはゴルフや仕事のミスで自分を責めることはありませんか? 私がサポートしてきたプロゴルファーもサポートする以前は試合中の自分のミスや試合後の結果が想定より良くないと、自分を責めてしまい、ネガティブな感情からなかなか抜け出せないという方が多くいました。

しかし、ここで紹介する内容を自分に落とし込んだサポートゴルファーは試合やコースで大きなミスをしても不必要に自分を責めることも減り、次のプレーへの影響も少なくなります。紹介するメインテーマは「自分へのリスペクト」です。これを心理学用語ではセルフコンパッションといいます。あまり馴染みのない言葉ですよね。

画像: 出だしからOBで大叩きして崩れそうになったときに自分を励ましていくれる応援者がいてくれたら。自分をリスペクトする住人を頭の中に置く「セルフコンパッション」でネガティブからポジティブな思考に変えていこう(写真/有原裕晶)

出だしからOBで大叩きして崩れそうになったときに自分を励ましていくれる応援者がいてくれたら。自分をリスペクトする住人を頭の中に置く「セルフコンパッション」でネガティブからポジティブな思考に変えていこう(写真/有原裕晶)

セルフコンパッションとは自分を敬うことや自分へ優しくすることを指します。自分のこどもが運動会やお遊戯会に出るときに優しく見守るような目線で自分自身をリスペクトする状態をセルフコンパッションといいます。

心理学の研究の中でもこのセルフコンパッションを身につけている人は自分を責める思考が減少しうつ病などの心理疾患のリスクが減ることがわかっています。また、このセルフコンパッションを向上させることで課題に対してチャレンジングな行動ができるようになり、スポーツやビジネスの生産性も向上していくと言われています。

では具体的にどのような思考や取り組みをしていけばいいのかを説明します。

たとえば、あなたが出だし1ホール目のティショットでOBを打ってしまったとします。出だしからつまずくことで「うわ~最初からOBかよ。なんでスタートからミスすんだよ…。次もミスしたら最悪だ…」などと考えてしまうのものだと思います。

そして、さらに2ホール目ではアプローチやパットでまた痛いミスをしてしまいました。すると「なんで練習した成果がでないんだ。本番に弱いな~……」などとどうしても自分を責める思考になるはずです。

このような状態でセルフコンパッションするときのポイントが自分の中に「自分を最大限リスペクトしてくれる誰か」を置いておくことです。これをここではリスペクトセルフと呼ぶことにしましょう。このリスペクトセルフは誰でもいいのです。実際に自分を一番認めてくれている人(両親、祖父母、親友、パートナー、もしくは自分自身)を設定しましょう。そして、リスペクトセルフが自分の脳内に住んでいるイメージをするのです。

では、話を戻しますが上記であげたように出だし1ホール目のティショットでのOBや2ホール目のミスが起き、自分を責めそうになっているあなたのところにリスペクトセルフが語りかけてくれるのです。「チャレンジにミスはつきものよ。〇〇(自分の名前)らしく前向きにいきなさい」「〇〇はいつも楽しめる人よ。今日も楽しんで」と。この自分を励ます、敬う、ミスをした自分を認める思考がネガティブ思考になった自分を「うん、そうだね。ありがとう。次のショットも頑張るよ」と前を向くようにと変えてくれます。

親交のあるスポーツ心理学の大学教授の方が「日本人アスリートは負けたら自分を責め、勝ったら仲間を褒めてどちらにせよ自分をなかなか認めない。アメリカ人アスリートは負けたら相手を褒め、勝ったら自分を褒め、どちらにせよ自分をさげずに認めることが上手である」というような傾向が分かっていると情報提供してくれました。

この日本人の自分をなかなか認めることができないマインドがパフォーマンスの制限につながっているという見方もあるのです。日本人の大切な心構えに謙虚という言葉があるように「勝って兜の緒を締めよ」ではないですが、欧米人に比べ自分をリスペクトすることが得意ではありません。

しかし、スポーツにおいて日本人が持っている能力を発揮するため日本人らしい謙虚な心に加え、このセルフコンパッションもとても大事な要素だと考えるのは私だけではないはずです。あなたのゴルフや仕事のパフォーマンスアップにもぜひこのリスペクトセルフを使い、自分らしいパフォーマンスにつなげてほしいと思います。

This article is a sponsored article by
''.