新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京などに2度目の緊急事態宣言が発令された現在、ゴルフ場には新たな変化が訪れている。ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが現状を語る。

この1年、ゴルフ界もまた新型コロナウィルスの大きな影響があった。特に3月から5月、最初の緊急事態宣言が出たあたりは、他の業種と同様、多くの事業者が深刻なダメージを被っていた。

ゴルフコンペなどが相次いで中止となったため、ゴルフ場は直前割引などで何とかゴルファーを集客しようとしたが、客単価の低下に苦労した。ゴルフショップは悲惨な状況で、新製品が最も売れる時期のひとつである春のゴルフシーズンに、売上が前年比で半減するほどの大きなダメージを受けた。多くの人がコロナ禍で苦しむ中、ゴルフクラブを買うのは、なんとなく不謹慎といった空気もあったかもしれない。

潮目が変わったのは夏からだ。ゴルフ場の来場者数は8月に大手ゴルフ場チェーンが前年比で115%を超えるなど、地域差はあるものの多くのゴルフ場で大幅増となった。ショップも盛況で、9月にピン「G425」、10月にタイトリスト「TSi」と話題作が登場したこともあり秋以降は非常に活気があった。この秋に過去最高の売上を出したショップもあるほどだ。

画像: 秋に登場した新モデルPING「G425」(左)、タイトリスト「TSi3」(右)

秋に登場した新モデルPING「G425」(左)、タイトリスト「TSi3」(右)

これを後押ししたのが、いわゆる若年層ゴルファーの登場で、ショップ店頭ではスターターキットと呼ばれる初心者用のフルセットが完売するお店が続出し、在庫不足となった。練習場やコースでも若い人のグループが多く見られるようになった。

まさに降って湧いたような好況だが、この現象は日本だけでなく海外でも起きている。日本と比べて桁違いのコロナ被害が起きているアメリカでも、11月に前年比で157%の来場者数があったという。クラブの売上も好調で、テーラーメイド、キャロウェイといった大手はこの逆風の中、堅調な人気があり、ロックダウン中の売上減を取り戻す勢いだ。

これは世界的に、ゴルフがコロナに強いレジャーとして認知されている証だろう。ロックダウンした海外の都市の中には、ゴルフをするのは許されているケースも少なくなかったという。野外で行うスポーツとして、比較的リスクが少なく、歩くことで健康に寄与する側面も評価された。深刻な被害を受ける業界が多い中、この好況は業界にいる人間として、後ろめたい気持ちになるほどだった。

画像: 昨年の秋頃から予約が取りづらくなり、年明けはナイターゴルフに行ったとコヤマ

昨年の秋頃から予約が取りづらくなり、年明けはナイターゴルフに行ったとコヤマ

そんなこともあり、秋口からはゴルフ場の予約が非常に取りづらくなってきた。予約枠が空いておらず、空いていたとしても早朝の7時台スタートやナイター営業しかないことも多かった。

12月になると既に年末年始はほぼ満杯で、元日でさえゴルフ場は多くの来場者で賑わっていた。筆者は、正月の1月3日にナイターゴルフに行った。真冬のナイターはもちろんはじめての経験で非常に寒かったが、他に枠が空いていないのだから仕方ない。

しかし、そんな好況が終わりを迎えたのが、1月7日に発令された2度目の緊急事態宣言だ。発令後、早1週間になるが、インターネットのゴルフ場予約サイトでは、ポロポロと予約枠が空きはじめている。少しアクセスの悪いゴルフ場だと、休日でもガラガラになるところも出てきた。ほんの1ヵ月前とは全く違う状況がそこにある。

予約が空いている理由は様々だろう。それまで埋まっていた予約もキャンセルとなり、コンペは中止となった。コロナに強いレジャーとはいえ、不要不急の外出をやめようという呼びかけに呼応した格好だ。ゴルファーにも世間体というものがあり、家族の目もある。リスクが低いとはいえ、みんなが三密を避けて、外出を自粛する行動をとっている中、遊びに行くことはバツが悪そうだ。

事の是非はともかくも、この寒い時期にせっかく増えていた来場者数がまた大きく減ってしまうのはやはり残念だ。早く状況が改善し、緊急事態宣言明けの2月にはまたゴルフ場に人が戻って欲しいものだ。一方、ショップはゴルフ場ほどの減少がなく、踏みとどまっているように見える。おそらく2月以降に発売されるであろう、大手メーカーの2021年新製品が大きな後押しになるはずだ。

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