優勝を挙げたケビン・ナをはじめ、PGAツアー「ソニーオープンinハワイ」ではカート道からの救済が可能だったのにもかかわらず、その権利を行使しない選択をした選手が見られた。選手たちがその決断をした理由とは? プロゴルファー・中村修が解説。

カート道から打つほうが「良いライ」だった

PGAツアー「ソニーオープンinハワイ」を制し、通算5勝目を挙げたケビン・ナ。最終日はスタートの1番ホールから波乱の展開だった。

画像: ソニーオープンinハワイを制したケビン・ナ(写真/増田高寛)

ソニーオープンinハワイを制したケビン・ナ(写真/増田高寛)

ナは1打目をフェアウェイ左に外し、ボールはカート道の上で止まってしまったのだが、救済の権利を行使せずにカート道からフェアウェイウッドで打つことを選択。これがナイスショットで、211ヤード飛ばしてパーセーブに成功。カート道からのショット動画はPGAツアー公式SNSでも公開されている。

Twitter: @PGATOUR tweet

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さらに、今大会14位タイでフィニッシュしたピーター・マルナティも6番ホールでナと同様の状況に陥るも、カート道から救済せずそのまま打つことを選び、カップまで6ヤード地点まで寄せる素晴らしいショットを見せた。

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いずれの選手の場合も無罰での救済が可能だったはずだが、それをしなかったのはなぜか? プロゴルファー・中村修はこう解説する。

「もし救済してドロップを選択した場合、ワイアラエCCのバミューダ芝のラフにボールが埋まってしまっていたでしょう。すると、彼らにしてみればカート道よりも余計ライが悪い状況から打つことになるんです。より不都合が生じるからこそ、カート道から打つ選択をしたのだと考えられます」(中村、以下同)

今回の2選手のようにドロップすることでライが悪くなる場合はもちろん、木が邪魔でスウィングできない、ピンに対してバンカー越えになったりするとピンを狙えない状況になるなど、カート道から打つ選択をする理由はシチュエーションによって様々あると中村は言う。

もちろん、バミューダ芝のラフを回避できるからと言って、カート道の難易度が低いわけでは決してない。その選択肢を実行できるのは「ダフらずボールにコンタクトできる彼らの技術に裏打ちされていることは間違いない」と付け加える。

ちなみに打ち方としては、「直接ボールにコンタクトしようとするあまり、入射角がダウンブロー過ぎるとクラブを傷つけることにもなるし、わずかでもダフってしまうとソールが跳ねてトップすることになります。わずかにアッパー軌道で打つくらいのイメージでフィニッシュに向けて振り抜くことがポイントです」と中村。

とはいえ、カート道から打つのはクラブも傷つく可能性があるし万が一の怪我や事故のリスクもある。PGAツアー選手の真似はせず、無難にドロップするほうが得策だろう。

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