タイガー・ウッズは競り合う相手の勝負所のパットに対し「入れ!」と心のなかで唱えるという。勝つためには当然外してくれたほうがいいはずだが……同伴者のプレーすら自分にプラスに変える最強のメンタルをプロも教えるメンタルコーチ・池努が解説!

あなたは同伴者が好プレーをする姿を見て何を想いますか?「ナイス!」と心の中で想う、または実際声がけをするタイプですか? それとも「ナイス!」と声がけはするけど、心の中で嫉妬心など複雑な感情をいだくタイプでしょうか?

ここでは「同伴プレーヤー」の好プレーに対するとらえ方について紹介していきます。たとえば自分と同じぐらいの実力のゴルファー3人とあなたがラウンドすることになったとします。同じ実力の人とゴルフをするので当然「スコアで勝てたらいいな」と考えるはずです。そして、勝ちたいと考えるからこそ、同伴者が良いプレー、自分より良いスコアでゴルフができているときに負の感情も起きやすいものです。

ティショットで同伴者がミスをしたときに心の奥で「よしっ」と思うことや同伴者のバーディーパット、パーパットに対し「外してほしいな」と思うことや実際に外れることで「よし、よし」と思うことも人間であればあるはずです。ある意味その思考は「勝ちたい」からこそ起こる思考でもあり感情です。

ただ、問題もあります・私たちの脳は主語がしっかりと認識できないと言われているのです。どういうことかというと「(〇〇さんが)ミスしてほしい」「(〇〇さんがミスをして)ラッキー」と思うことは他者に対しての言葉なのですが、それはある意味自分に「ミスをしてほしい、ミスしてラッキー」と言っているようなものだというのです。

つまり、他者の愚痴を「あの人はここがだめ」「あの人はこの考え方がおかしい」と延々と語っていることは自分自身のダメ出しをして自己否定をしていることにつながるのです。

画像: タイガーは競り合う相手のパットでも「入れ!」と願うという。これが相手のプレーも自分のプレーも「成功イメージ」にフォーカスできている証拠のようだ(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/姉崎正)

タイガーは競り合う相手のパットでも「入れ!」と願うという。これが相手のプレーも自分のプレーも「成功イメージ」にフォーカスできている証拠のようだ(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/姉崎正)

たしかに、常に人のダメ出しをしているような愚痴っぽい人で健全なメンタリティの人はあまりいないような気がしませんか? 私の契約アスリートで素晴らしいメンタリティを持っている方は本当に他者に対しての愚痴が少なく、むしろリスペクトに溢れている傾向になります。

要するに「同伴者が良いプレーをすることを応援し、良いプレーを賞賛することが自身のメンタリティを安定させる」ということです。ゴルフを勝負事ととらえているプレーヤーからすると何を綺麗事言っているんだと怒られそうですね。有名な話だと思いますがタイガー・ウッズは優勝争いをしている同伴者の成功を心から願っていると聞きます。

優勝争いをしている場面でもタイガーは相手のパットに対して「入れ」と願うのです。これは裏を返せば、相手のプレーも自分のプレーも「成功イメージ」にフォーカスできている証拠です。

ここが大事なポイントで相手のプレーも成功を願うことは自分の好プレーに直結するのです。難しいパットが残った時になかなかカップインするイメージは作りにくいものです。過去のミスイメージが出てくることで「成功イメージ」より「ミスイメージ」にフォーカスが当たることが多いゴルファーも実際に多いです。

たとえば、他者のパットに対して「ミスしてほしい」と思考することはそれと同時にパットへのミスイメージを描いていることになり、そのミスイメージを何度もすることは自分のパットでもミスを想像することに繋がっている可能性が大きいのです。

ここまで解説すれば同伴者に対して好プレーを願ったり、好プレーを賞賛することがいかに大切なのかが理解できるのではないかと思います。

健全なメンタリティをつくりあげる上で自己対話、いわゆるセルフトークは本当に重要なファクターです。自分の使う言葉は自分のメンタリティに反映されまます。だからこそ、自分に対してプラスな言葉を使うだけでなく、他者のプレーに対してもプラスな言葉を使っていく。結果的に、あなたのメンタルも安定し、相乗効果的に良いゴルフにつながるかもしれませんね。

画像: 【初心者向けレッスン④】ゴルフクラブはどう振り上げるのが正解? 飛ばし屋プロ・高島早百合が教える「バックスウィング」のコツ youtu.be

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