クラブ選び・カスタムの際にチェックすべき項目のひとつが「クラブのバランス」。振り心地に影響する大切な要素だが、「一定のバランスにこだわり続けるのは、技術進化した現代のクラブの場合良い選択ではない可能性があります」と言うのは業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人。詳しく話を聞いてみよう。

振り心地の目安として重要だが、もっと優先すべき項目があるかも

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。突然ですが、みなさんはクラブのバランスはどのくらい気にされていますか? C9とかD1とかで表現するあれです。ヘッドバランス、スウィングウェートとも呼ばれ、クラブの総重量に対して、ヘッドの重さの比重を示したものになります。

10の位がアルファベット、1の位が数字で表され、10の位はAが一番軽くB、Cとアルファベットが進むほどヘッドの比重が大きくなり1の位は数字が大きくなるほど比重が大きくなります。A0が表記できるもっともヘッドの比重が軽い数値で、ヘッドの比重が大きくなればA1、A2となっていき、A9の次はB0となるわけです。

このバランスは、主に振り心地に影響を及ぼします。同じ長さ、同じ重量のクラブでもバランスが大きいクラブほどスウィングした時にヘッドの重さを感じやすく、シャフトに負荷がかかるためしなりが大きくなりやすくなります。

画像: 振り心地の目安となるクラブバランス、どの程度こだわるのが正解?(写真はイメージ 撮影/増田保雄)

振り心地の目安となるクラブバランス、どの程度こだわるのが正解?(写真はイメージ 撮影/増田保雄)

このバランスという項目、ちょっと前まではD1神話というものがあり、ゴルフクラブはD1バランスが一般的に振りやすいとされ、アマチュアにはD1以外のバランスだと打ちにくいクラブだと判断されがちだったのです。そのためメーカーはできるだけD1に近いバランスでクラブを作り、アマチュアにも振りやすいクラブですよ~とアピールしていたわけです。

このD1が振りやすいという話は、50年以上前スチールシャフトが一般的になってきた時に、ドライバーからウェッジまでみな同じ銘柄のスチールシャフトを装着していたため、バランスが揃っていたほうがどの番手を持っても振り心地が揃いやすいですよ~という話が元になっています。その話が徐々に変化し、アマチュアにはD1ぐらいが振りやすいという話になったようです。

確かに20年ぐらい昔なら、このD1神話はある程度正しかったといえます。当時は、シャフトの性能が今ほど高くないため、バランスが変わるとシャフトのしなり方が大きく変わってしまい振り心地も変わってしまいました。

しかし今ではシャフトはもちろんヘッドも大きく進化し、昔の基準はまったくあてになりません。今では同じぐらいのヘッドスピードのゴルファーでもD4ぐらい大きめのバランスが出ているほうが飛ぶといった方もいれば、C8ぐらい軽めのバランスのほうが飛ぶといった方もいます。

またクラブによっても使うゴルファーに合ったバランスは変わってくる可能性があります。前のクラブがD1ぐらいで振りやすかったからといって次のクラブがD1で振りやすくなるとは限らないのです。

クラブセッティングのなかでもバランスはクラブの振り心地を揃える上で重要な項目にはなりますが、重量や長さ、キックポイントなどで振り心地はかなり揃えられます。バランスは振り心地などのひとつの目安になることは間違いないのですが、もっと優先すべき項目がある、優先順位が下がったというのが適切な表現かもしれません。あまりこだわりすぎると飛距離アップの可能性を失ってしまうかもしれませんよ。

 

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