PGAツアー「ファーマーズインシュランスオープン」で2位に5打差をつけ勝利を挙げたパトリック・リード。そんな彼は昨年9月からスウィング改造を行ってきたというが、その裏側を海外取材経験20年のゴルフエディター・大泉英子がレポート。

コーチがレッドベターになって初優勝

今年の「ファーマーズインシュランスオープン」は、パトリック・リードが自身最大ストローク差の5打差で優勝。昨年の「WGC・メキシコ選手権」に続き、ツアー通算9勝目を挙げた。この優勝により、フェデックスカップランクと世界ランクでともに10位に浮上。2013年以降、2017年を除いて毎年1勝以上は挙げていることになる。

「すばらしい。今回の優勝は格別だ。去年、全米オープン直後にコーチを変えて、大々的にスウィング改造を行った後だからね……3日目を終えて首位で迎え、最終日を最終組でプレーし、ラウンド中最後までいい感じのショットを打て、ショートゲームでなんとか凌いで優勝することができた。正しい方向に向かっているということだよ」

リードは、昨年9月の「全米オープン」が終わった直後の日曜日の夜にデビッド・レッドベターの元に向かい、3日間に渡ってスウィング指導を受けた。彼のスウィングは今まで一辺倒のスウィングで、改造するのは相当大変だったという。だが、ゴルフ場だけでなく、家でのドリルなどの宿題もレッドベターから課され、それを真面目にコツコツと努力してこなした甲斐あって、少しずつボールストライキングの感覚も良くなり、ラウンド中でも応急処置的に修正することができるようになってきたという。

画像: ツアー9勝目を挙げたパトリック・リード(写真はGettyImages)

ツアー9勝目を挙げたパトリック・リード(写真はGettyImages)

「小さな改造点があちこちに見られると思うけど、それと同時に今までしばらく打ったことのなかったようなショットが打てるようになってきた。今では向かい風などの中でも真っすぐも打てるし、少し緩やかなカーブを描いたような弾道も打てる。ドローもフェードもOKだ。いったん噛み合えば、いつも小手先で調整しながら打つよりも、今のスウィングの方がずっとゴルフはしやすい」

まだスウィングは改造中で完成はしておらず、自分が目指すところまでは辿りついていないため、自身が優勝した「マスターズ」の最終日よりももっと緊張したとリード。それでもレッドベターからは「100%のスウィングでなくても勝てない理由はないよ。このコースをどう回ればいいかわかっているんだから、ただコースでいいスコアを叩き出し、頑張ればいいだけだ」と日頃から言われており、その言葉を胸に最後まで自信を持ってプレーした。

さて、彼の言葉で今大会、よく出てくるキーワードがある。「Resilience(レジリエンス)」という言葉だ。これは簡単に言うと、“失敗したり困難な状況に陥っても、くじけずに問題点を探り出し、なんとか解決する方向に持っていくこと”である。彼の言葉で言えば、「打ちのめされても、最後には(ノックダウンせず)立ち続けること」だ。

彼は過去、大学時代にスコアの改ざんやゴルフ部員のパターを盗んだこと、2019年「ヒーロー・ワールドチャレンジ」でのバンカーでのライの改善容疑など数々の問題が浮き彫りにされてきた。「マスターズ」で優勝した時も、過去の問題が掘り起こされ、祝福と言うよりは批判の声が高まったこともあった。そして今大会でも3日目の10番ホールで起きたルール上の処置の仕方について、批判的な目で見る人も多かった(実際は、競技委員からもリードの処置は適切だったということで罰打はなかった)。

そんな彼がトーナメントで優勝するには、人一倍「レジリエンス」の精神が必要である。自分が正しいと思えば、SNSでの痛烈な批判やギャラリーからの心ないヤジなどを気にせずに、自分が正しいと思うことをやり抜き、結果を出すしかない。おそらく、他の選手以上に打たれ強い精神力の強さ(いい意味での図々しさ)が、長年の人生で培われているはずであり、批判を受ければ受けるほど、彼の「レジリエンス」の精神は強くなっているのかもしれない。「レジリエンス」はスポーツ選手だけに限らず、ビジネスでもなんでも、成功したい人間なら誰もが必要な要素だ。

どんな選手でもゴルフの調子がいい時や、人間関係がうまくいっている時は比較的心穏やかに、自信を持ってプレーできるのかもしれない。だが、彼には何かあると常に「負のイメージ」が付きまとう。今回は無観客で開催されたので、観客からのヤジがなかっただけマシだったかもしれないが、記者会見では何度も記者たちから「ルールの問題があったが、プレーに影響は出ないのか?」といった類の質問が飛んでいた。そんな時でも冷静に自分の正当性を主張し、やり過ごしていける精神力を持つリード。今年の「全米オープン」は再びこのタフなトーリーパインズで開催されるが、「このようなタイプのコースで全米オープンが開かれる場合、“レジリエンス”の精神が必要」と彼は語っている。

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