練習器具にも様々なバリエーションがあるが、「日本独自の進化を遂げた、海外では見られないようなものもあるんですよ」と言うのは、国内外の最新ゴルフギアに精通するプロゴルファー、ノリーこと堀口宜篤。日本と海外の練習環境の違いも含め、詳しく話を聞いてみよう。

マットが主流の練習環境だからこそ生まれた練習器具

国内外のクラブはもちろん練習器具も結構チェックしていますが、中でも面白いなと思ったのが、「アドレスキーパープロ」という練習器具。横田英治プロ監修のもと作られたそうで、作り自体は土台となる部分に伸縮・角度調整可能な棒が設置されたシンプルなもの。しかし実際に使ってみるとかなり万能で、気に入っていますね。

画像: アドレスキーパープロ

アドレスキーパープロ

例えば、写真Aのように手元の正面に置いてスウィングするだけで、手元の浮きをチェックできます。スタンス位置よりやや右側に置けば、アウトサイドへのテークバック、ダウンスウィングになっていないかもチェック可能。

画像: 写真A:手元の真上に棒が位置するように置いてスウィングすることで、手元の浮き上がっていないかをチェックできる

写真A:手元の真上に棒が位置するように置いてスウィングすることで、手元の浮き上がっていないかをチェックできる

棒の長さや角度にも自由が利くのもミソ。体のすぐ左側に置けば、ダウンスウィングで体が左に突っ込みすぎていないか確認できますし、足元に置けば前傾角度がキープされているかの目安に使えます(写真B)。

画像: 写真B:足元に置いて前傾角度のチェックも可能

写真B:足元に置いて前傾角度のチェックも可能

棒を短く収納した状態でボールの真上に棒が来るように設置すれば(写真C)、インパクト前後の動きもチェックできます。体・クラブが正しい通り道から逸脱すると棒に触れるよう調整して置いておくだけで良いので、かなり汎用性が高いんですよね。

画像: 写真C:棒を短く収納した状態でボール直情に位置するよう置けば、インパクト前後のクラブの通り道もチェックできる

写真C:棒を短く収納した状態でボール直情に位置するよう置けば、インパクト前後のクラブの通り道もチェックできる

何より一番良いなと思ったのは、身に着けなくても良い点。スウィング矯正の練習器具って腰であったり腕であったり、体のどこかしらに装着して使うものが多いんです。たしかに効果的なんですが、同時に型にはめられている感じもします。でもアドレスキーパープロは自立してくれるので、自然にスウィングしながら矯正してくれるのが良いですね。

ざっと紹介しただけでも便利さの一端は伝わったかと思いますが、実は同じような練習器具って、広い海外市場でも見たことがないんですよね。個人的にアドレスキーパープロは、日本の練習環境に合わせて独自進化したものだと感じています。

というのも、そもそも日本とアメリカではアマチュアの練習環境って全然違うんですよね。日本だと打ちっ放しと言えば、マット上からボールを打つような形が大多数。芝から打てる練習場もありますが、ポピュラーとは言えません。

対してアメリカの練習環境って、打ちっ放しであっても基本的には芝から。そもそも土地の広さが違いますからゴルフ場の数が圧倒的に多く、パブリックコースであれば練習場のみの利用も可能。アマチュアたちもゴルフコースの練習場に通い、芝の上で練習しているわけです。

もちろん日本のような練習場もありますし、ロサンゼルスのような大都会であれば東京と大差ない練習環境ではあると思いますが、芝から打てる環境があるならみんなそっちを利用しますよね。本番であるゴルフコースに限りなく近い環境なわけですから。

で、ここからが本題なのですが、海外のゴルファーって練習時にアライメントスティックを地面に刺して使っているんですよ。ちょうどアドレスキーパープロのように体やクラブの動きをチェックするためですね。

それもあってアライメントスティックはポピュラーな練習器具なんですが、日本で同じことをしようと思ってもできません。当然ですがマットには差せませんからね。

一方でアメリカの練習場でアイアンを打つ場合、少しずつ芝が削れることになるので都度都度立ち位置を微妙に変える必要があります。なので、置き型の練習器具って移動のたびに微調整が必要ですから少し面倒。だったらアライメントスティックを抜いて差し直した方が、屈む動作が入らない分楽ですよね。

でも日本のマット環境なら地面が削れる心配はありませんから、同じ位置で繰り返しボールを打つことができる。だからこそ置き型の練習器具って効果的ですし、アドレスキーパープロはマットが主流の練習環境だからこそ生まれた練習器具とも言えます。

クラブやシャフトでも、国内と海外では用意されているスペックが違ったり、そもそも未発売というケースも少なくありませんが、それっておそらく体格やプレー傾向の違いを考えた結果ですよね。練習器具でもそれは同じこと。文化の違いはこういったところにも表れてくるんですね。

This article is a sponsored article by
''.