ギアライターの高梨祥明がゴルフクラブ選びの基礎知識を解説する短期集中企画。その3回目はクラブ重量の話。よく「振り切れる範囲で最も重たいモノがいい」と言われるけれど、その真意はどこに!?

飛ばすと狙う。それぞれの理想を追求した結果、つながりのないクラブセットになっている可能性がある

「振り切れる範囲で最も重たいモノがいい」。確かによく聞く適正クラブ重量のセオリーである。では、なぜ、なるべく“重たい”ドライバーがいいのだろうか? 今日はその意図について改めて考えてみたい。

・重たいほうが、スウィングリズムが一定になりやすい
・重たいほうが、慣性が大きくブレが少なくなりそう
・重たいほうが、インパクトエネルギーが大きくなりそう etc.

体感的に、なんとなく重たいドライバーの方が「安定して」振れそうな気がするのは確かである。軽くてヘッドスピードは上がるが狙いの定まらないドライバーを使うよりは、重た目で安定した弾道が平均して得られやすいドライバーの方がよい。これが「振り切れる範囲で最も重たいモノ」が推奨される一般的な理由であると考えられる。

今回は、ここにもう一つ、重ためドライバーが推奨される意味を付け加えてみたいと思う。それがクラブ同士の“つながり”を保つ、ということだ。

画像: 14本のクラブの重量の流れを考慮してセッティングすることが重要だ(撮影/有原裕晶)

14本のクラブの重量の流れを考慮してセッティングすることが重要だ(撮影/有原裕晶)

ゴルフはティショットを打ち、違うクラブに持ち替えてグリーンを狙い、グリーンを捉えればパター、外せばウェッジでアプローチと、ゴルフはライ・残り距離に応じて複数のクラブを“つないでいく”ゲーム。重ためドライバーの効用は、そのドライバーを使った時に得られる安定感や飛距離、ブレない弾道という単ショットだけに止まらず、ドライバーを孤立させない、という重要な役割があるのだ。

しかし、今、キャディバッグに入っている14本のクラブの中で、ダントツに軽いのがドライバーである。アスリート向けでも総重量310g前後、一般向けでは280gを切るドライバーも珍しくない。一方、パターはヘッドだけでも最近は350g以上ある。

フルショットするクラブと転がすクラブという大きな違いはあるにしても、ドライバーが14本の中で際立って、長く、軽くなってしまっているのは周知の事実。これに対して大きく飛ばすのではなく、ピン側を狙っていく感覚になるアイアン、ウェッジ、もちろんパターも依然として重た目のヘッド、そしてスチールシャフトが選ばれる。

飛ばしたいクラブと、狙いたいクラブ。それぞれの単ショットを考えてクラブを揃えていくと、ラウンドではとても同じ感覚で使いにくい、つながりのないセットになってしまう危険性が高くなるのだ。

ドライバーとパターは始まりと終わり!? 改めて考えたいクラブを使う“順番”

ここまでの話をまとめると、次のとおりになる。

・アイアンを90g以上のスチールシャフトにしている場合は、ドライバーも「振り切れる範囲で重たい」仕様にした方がセットのつながりは保ちやすくなる。例えば44インチ程度の短めに仕上げようとすることで、自然にシャフトも重ためを選びたくなり、その結果、各クラブのつながりが良くなってくる。

・総重量280g前後の超軽量ドライバーでいくなら、他の番手、アイアンも軽量カーボンシャフトにすることで、セットのつながりが保ちやすくなる。

・この場合、ドライバーと同じシリーズをフルセットで使うのが最もシンプルで間違いがない。

最後にクラブ同士のつながりというテーマで、見逃されがちなことを一つ。それがドライバーとパターのつながり、である。ティショットとパッティングは、イメージ的にスタートと終わりの間柄であるような気がしてしまうため、ホールの端と端、最も離れた存在だと認識されやすい。ともに単品購入するアイテムでもあるから、ドライバーはより飛ばせるもの、パターはよりカップインしやすそうなものというそれぞれの結果のみで購入を考えてしまいがちだ。

しかし、実際のラウンドではスタートホール以外、ドライバーショットは必ずパッティングの直後に行うものになる。これほど明確に“つながっている”ショットはないのである。

前述したとおりドライバーとパッティング、それぞれの理想を追求してきた結果、現在、その重量差はゴルフ史上最大になっているといっていい。あまり意識していないが、最もつながりのない“別物”を続けて使わなければならない、それが現代ゴルフなのだ。

パターの長尺化、アンカリングなどはある意味、長くなったドライバーとパターを調和させるために編み出された工夫だったと思うが、これはルール改定によっていきなり使用不可になってしまった。

ともあれ、グリーンが終わったらカートに乗って次のティーに瞬間移動! では、実は、軽量ドライバーの成功はおぼつかない。ドライバーを持ちながら歩いてインターバルを移動する。それが難しければ、ティーショットする前にゆっくりと素振りを繰り返し、ドライバーの重さと振り感に慣れてから打つ。そうした「感覚をリセットする」工夫が、長く、超軽量のドライバー使うためには必要不可欠となると思う。

もちろん、超軽量ドライバーを打ったら、次のショットの前に、同じように使用する番手でゆっくりと素振りを繰り返したい。クラブを持ち替えるたびに「感覚をリセットする」。それも最新クラブでイメージ通りの一打をつないでいくために必要なスキルである。

画像: 出たぞ!飛距離312ヤード!ゴルフ大好きタレントユージのドライバーショットをMAX365ヤードの美人プロが劇的改造!【高島早百合プロ】 youtu.be

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