ビクター・ホブランドPGAツアー「アーノルド・パーマー招待」を現地で取材した週刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウ。トップレベルの選手が集まる中で「とくに調子が良い」と感じたのはビクター・ホブランドだという。試合内容をおさらいしつつレポート!

こんにちはケンジロウです。

フロリダ州のオーランドよりお届けしております。ベイヒルクラブ&ロッジで行われていた、PGAツアーのフロリダシリーズ第二戦、「アーノルド・パーマー招待」が終わりました。ご覧になっていた方も多いと思いますが、最終的にブラインソン・デシャンボーがトータル11アンダーで優勝しました。

いやぁ、ブライソンは強かった。飛距離は出るわ、ラフからグリーンまで持って行くパワーもあるわ、パットは相変わらず入りますからね。またメジャーをとりそうな強さですよね。でも同組でデシャンボーを追い詰めたリー・ウェストウッドも素晴らしかった。最後までデシャンボーを楽にさせませんでしたからね。

画像: アーノルドパーマー招待を制したブライソン・デシャンボー

アーノルドパーマー招待を制したブライソン・デシャンボー

やっぱりPGAツアーのはレベルは高い。あんなに難しいコースで、みんな簡単に60台を出してきますからね。ほんと"化け物"だらけですよ。デシャンボーは池越えのショートカットでキャリー340ヤード近く出すし、グリーン周りのアプローチもみんな上手いし、久しぶりにPGAツアーの取材に来て、「本当に上手い選手たちが集結してる舞台なんだな」と改めて感じました。

そんな“化け物”たちの中で、特に調子がよさそうな選手を見つけました。ビクター・ボブランドです(日本だとビクターとかビクトル、ビクトール、そしてホブランかホブランドといずれかの表記になっていますが、ここではビクター・ホブランドと呼ばせてください)。

画像: 米・欧州両ツアーで戦う23歳、ビクター・ホブランド。2021年に出場した6試合中4試合がトップ10フィニッシュと、調子の良さが伺える

米・欧州両ツアーで戦う23歳、ビクター・ホブランド。2021年に出場した6試合中4試合がトップ10フィニッシュと、調子の良さが伺える

PGAツアーのファンならもちろんご存知かと思いますが、ビクターはコリン・モリカワやマシュー・ウルフと同世代。その世代は非常に層が厚いことで有名ですか、ビクターはその中でもとくに強かった選手です。2018年の全米アマに勝ち、2019年のマスターズとUSオープンでそれぞれローアマをとるなどし、世界アマランキング1位にもなりました。輝かしい成績をひっさげプロ転向したわけです。

プロ入りはビクターもコリンもマシューも3人ともほぼ同時ですが、コリンとマシューがひと足先にPGAツアーで勝ち、ビクターは出遅れた感がありました。さらにライバルのコリンはメジャーにも勝って、遠いところまで行ってしまいましたが、ビクターは焦ることもなく、徐々にそのコリンの背中が見える位置まで上がって来ているように見えます。今季はフェデックスランキングも現在3位で、世界ランキングも13位まで上りつめています。

彼の何が凄いかって? まずそのスウィングの迫力に圧倒されますよね。間近で見ていると、「そんなに振らなくてもいいのでは」というぐらい、ドライバーを振りちぎっています。体格は我々日本人と変わらないぐらいで、PGAツアーの中では小柄なほうだと思います。それでも瞬発力を使って躍動するようにスウィングするその姿は見ていてとても小気味いい。

ビクターもデビューしたての頃はまだ荒削りな感じはありました。ただベイヒルでの試合を見ていると、ジェイソン・デイとリッキー・ファウラーと同組でしたが、そのベテラン2人に動じる様子もなく、3人の中で一番落ち着いてプレーしていましたね。ベテラン二人がなかなかスコアを伸ばせないなか、どこか余裕のある感じでスコアを着実に伸ばしていました。

画像: アーノルドパーマー招待でも落ち着いたプレーが印象的だったとケンジロウ

アーノルドパーマー招待でも落ち着いたプレーが印象的だったとケンジロウ

松山英樹のコーチの目澤秀憲さんと話す機会があったので、ビクターの最近の強さの理由を聞いてみました。

「コンセッション(WGCワークデイ選手権)のとき松山プロの前の組で回っていて、彼のプレーを近くで見ることができました。また僕も月曜日に1人でコース来る機会があったので、彼の練習をじっくり見ていたんですよ。ジェフ・スミスというコーチがつくようになったんですが、デビューしたころよりスウィングが洗練されたなと感じます。PGAツアーで戦う中ではタイトなピンポジでもバーディをとっていかなきゃならない。そんなときに、何が必要なのかをコーチと話し合って練習している感じでしたね。

彼を初めて見たのは2年前のZOZO選手権でしたけど、そのときはけっこうシャローイングが強かったし、股を割っていた印象があります。でも今はナチュラルにそれを上手くスウィングに取り入れている感じがします。無理にシャローイングさせたり、下半身も割るような動きはなかったです。直接話してないのでリアクションでしか推測できませんが、おそらく(クラブ軌道が)インアウトの動きがきついから、ストレートに入れて出球をそろえるような練習してるのかなと。昔のスウィングだと試合になるとどうしてもインがきつくなるんだと思います」(目澤)

画像: ホブランドの最新スウィングを見て、「デビューしたころよりスウィングが洗練されている」と目澤は言う

ホブランドの最新スウィングを見て、「デビューしたころよりスウィングが洗練されている」と目澤は言う

なるほど。確かに昔はもっとループするような感じでインから下ろしてきて、ジャンプしながら飛ばしていましたよね。

「今のスウィングならあの結果はうなずけます。アマチュアのノリでただ飛ばすだけじゃなく、結果にコミットするような練習法になっています。まさに試合が育ててくれているんでしょうね。それにしても、こうしたベイヒルやリビエラ(編注:ジェネシスオープン開催コース)などの難しいコースで、自分の取り組んでいることをやり切れているのが凄い。コリン(・モリカワ)もそうですが、あの世代の選手は試合に勝っても同じところにとどまらず、パターを変えたり、メンタルコーチをつけたりして、どんどんいいものは取り入れています。ビクターも同じように、優勝したあとパターを変えて、それでパットのスタッツも良くなってきていますよね。今までの教科書的なゴルフより、自分の教科書を作っている感じがします。あの辺の世代の子はそこが上手いですよね」(目澤コーチ)

画像: パターチェンジによってパットのスタッツも良くなっている

パターチェンジによってパットのスタッツも良くなっている

こりゃビクターがメジャーをとる日も近いか!? 今後も注目してみていきましょう。

画像: 左足下がりのアプローチ、寄せるコツは“ウィークグリップ” !?アプローチの達人・伊澤秀憲が実演レッスン! youtu.be

左足下がりのアプローチ、寄せるコツは“ウィークグリップ” !?アプローチの達人・伊澤秀憲が実演レッスン!

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