“やさしく打てる”という理由で、5番アイアンの代わりにユーティリティやフェアウェイウッドを入れるゴルファーは多い。しかしクラブフィッター・菅野崇氏は「“やさしさ”だけでクラブを選ぶのはNG」だと語る。理由を聞いた。

5番アイアンというと、ロフトはだいたい21〜26度前後といったところ。多くの場合だいたい160〜170ヤード前後を打つクラブといったところになるだろう。

3番アイアン、4番アイアンをめっきり見かけなくなった昨今、5番はアイアンがバッグのなかでもっとも長くロフトが立ったアイアン、という人も少なくないはずだ。それをやさしく打てる9番ウッドやユーティリティに置き換える……という人も多い。

同じロフトなら5番アイアンよりフェアウェイウッドやユーティリティのほうがやさしく打てるのは間違いないように思えるが、菅野氏は、そこにしっかりとした目的が必要だという。

画像: 5番アイアンは本当に抜くべきか?(撮影/増田保雄)

5番アイアンは本当に抜くべきか?(撮影/増田保雄)

「たとえば安定して同じ距離を出したいというのであればフェアウェイウッドがいいし、ラクに距離を稼ぎつつ、多少の操作性もほしいならユーティリティがいい。だけど、どちらのクラブもラフに沈んだときやライが難しいときに使いこなすのはハードルが高いですよね。こういった状況でもグリーンに乗せたい、近づけたいというのであれば、実は5番アイアンを選んだほうが必要な働きをしてくれるケースもあります」

菅野氏がこういう背景にはクラブの進化がある。一昔前の5番はボールが上がらず、ミスヒットにも弱い印象があったが、昨今の5番は「7番と同じくらいの振り感で打てる」と菅野氏。その上で、「ただ7番アイアンが苦手というゴルファーはユーティリティを入れるほうがミスは少ないと思います」という。

「ソールが広いユーティリティやフェアウェイウッドは直進性が高く、ラクに飛ばせることができるというのが最大のメリット。それに対してロングアイアンは操作性がある。難しいと言われてしまえばそれまでだけど、操作ができるというのがアイアンの強み。オートマ車に乗るか、マニュアル車に乗るかの違いですね」(菅野)

林からの脱出や、前に木の枝があってどうしても低い球が打ちたい場合など、ロフトの立ったアイアンが使いたくなるシチュエーションはたしかにある。左にだけはミスしたくないパー3のティショットなどで頼りになることもあるだろう。

「やさしさ」はフェアウェイウッドやユーティリティが上。すべてを満たすクラブはない以上、最後はゴルファーひとりひとりの選択になる。170ヤード前後を打つクラブとして本当に必要なのは何か、この機会に見直してみてはいかがだろうか?

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