パティ・タバタナキットの優勝で幕を閉じた海外メジャー「ANAインスピレーション」。日本人選手も多数参加したが、そのプレー振りは? プロゴルファー・中村修がレポート。

抜群のアイアンショットで可能性を感じさせた河本結

海外メジャー「ANAインスピレーション」はタイ出身のパティ・タバタナキット選手の優勝で幕を閉じました。画面越しにプレーを観ていましたが、4日間の平均飛距離は323ヤードと男子並みの飛び。アイアンの高さやスピン量もバツグンで、正直勝つべくして勝ったと言えるでしょう。

一方、日本人選手はどうだったかというと、最高位は河本結選手で28位タイ。河本選手は前週の国内ツアー「アクサレディス」で見せたショット、パットの好調もあって、非常に可能性を感じさせてくれるプレーぶり。とくにアイアンの精度は高く技術もありますから、海外でも十分通用すると感じました。

画像: 河本結は日本人選手最高位の28位タイでフィニッシュ(写真は2021年のアクサレディス 撮影/有原裕晶)

河本結は日本人選手最高位の28位タイでフィニッシュ(写真は2021年のアクサレディス 撮影/有原裕晶)

一方で課題として浮き彫りになったのが、ティショットでのフェアウェイキープ率。最終日に関しては約92.9%としっかり合わせてくるあたり流石ですが、初日は50%、2日目が64.3%、3日目は42.9%と振るいませんでした。

やはり海外のコースセッティングだと、アイアンの技術があってもティショットをラフに外すと厳しい展開になってきます。ティショットの正確性が加われば海外メジャーでも十分上位を狙えると思います。

ポテンシャルを発揮した笹生優花

2001年生まれの笹生優花選手は50位タイフィニッシュ。印象的だったのは、気負わずいつも通りのプレーができていたこと。笹生選手自身英語での受け答えに不自由がありませんし、ジュニア時代には今大会に招待されたこともあるようなので、場慣れしていましたね。

画像: 笹生優花は予選を通過し、50位タイフィニッシュ(写真は2021年のアクサレディス 撮影/有原裕晶)

笹生優花は予選を通過し、50位タイフィニッシュ(写真は2021年のアクサレディス 撮影/有原裕晶)

飛距離を活かしたプレースタイルもいつも通りで、4日間平均飛距離は291ヤードと飛んでいます。ただやはり、海外コースの芝質による距離感の違いや深いラフへの対応などは、慣れがもう少し必要なのかなと感じられました。

ただ、そんな中でも予選通過しているのは流石の一言。飛距離自体は十分通用していますし、アイアンでの球の高さやスピン量も海外選手たちに引けを取らないものがありますから、今大会での経験、そして他の選手たちのプレーを見てそれを吸収することで、さらに強くなってくれるのでは、と思います。

ティショット安定もセカンドショットに苦労した渋野日向子

海外メジャー覇者の渋野日向子選手は残念ながら予選落ち。2日間ともフェアウェイキープ率は約85.7%と外していないのですが、セカンドショットが固く速いコースで思い通りの場所に止めることができず、苦戦していましたね。

画像: 渋野日向子はセカンドショットで苦戦し、予選落ちに(写真は2021年のアクサレディス 撮影/有原裕晶)

渋野日向子はセカンドショットで苦戦し、予選落ちに(写真は2021年のアクサレディス 撮影/有原裕晶)

アプローチやグリーン上でも海外の難セッティングに苦しめられましたが、現在スウィング改造の途上ながらもその精度が上がってきたのは良い兆候と言えるでしょう。

予選通過も「納得行くショットはひとつもない」畑岡奈紗の修正力に期待

そして米女子ツアーを主戦場とする畑岡奈紗選手は67位タイフィニッシュ。修正力の高い畑岡選手には珍しく2週連続での予選落ちから迎えた海外メジャーでしたが、やはりプレーを見ても調子は決して良くはなさそうでした。

ただ「納得行くショットはひとつもない」と言いながらも、しっかり予選通過を果たしているのは流石です。アプローチやグリーン上、ピンポジ……海外のコースセッティングに慣れているのは大きいでしょうね。

画像: 不調ながら予選通過を果たし67位タイフィニッシュとなった畑岡奈紗(写真は2020年のTOTOジャパンクラシック 撮影/大澤進二)

不調ながら予選通過を果たし67位タイフィニッシュとなった畑岡奈紗(写真は2020年のTOTOジャパンクラシック 撮影/大澤進二)

先週で不調から抜け出せはしなかったものの、大幅な修正ではなくちょっとしたきっかけで直るような気がしていますので、今後のプレーにも注目したいところです。

それぞれの選手たちに課題が見えたANAインスピレーション。個人的には、今大会2位のリディア・コーや3位タイのキム・セヨン、7位タイのパク・インビといった、ドライバーの飛距離で圧倒するわけではなく、パットやセカンドが良くてスコアが出ている選手たちが日本選手のお手本になるのではないかと思います。

もちろん海外のコースへの慣れという部分はありますが、ピンポジに対して外しちゃいけないところには外さない、無理した攻め方をせずに狙えるときだけ狙うプレーが印象的でした。

渋野、畑岡、そして河本の3選手は2週後の「ロッテ選手権」にも出場予定です。海外メジャーでの経験を受けて、どんなプレーを見せてくれるのか楽しみです。

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